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【落武者魂】 Oldtown1000k そのいち
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落武者魂

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Oldtown1000k そのいち

 これほど気の乗らないブルベも初めて。熱こそ無かったものの、咳と痰は前夜まで続いていて、でもまあ、ほとんど治りかけてはいるものの、あと一昼夜欲しかった。唯一、雨だけはまず考えられないのだけがすてきだ。これで雨も加わったらさすがに考え直してしまったろう。

 既にスタート地点には僕以外の全員が揃っていた。Mikeに宣誓書と長袖ジャージなんかをつめた小さなドロップバッグを渡す。ハイドレーションバックパックにつめていっても良かったのだけど、まあ、あるものは使うということで。Mikeからアナウンスが在ったけど、なにか聞き取れなかった。そしてそのままスタート。9人か10人で朝6時のサンディエゴを走り出す。

 ぱっと見た感じ、クリス、ケリー、ジョーン、トロントからの参加者は僕の知己だ。LA600でクリスと一緒につきあってくれたニコルはDNSのようなので、男性のみ。ということはクリスは彼の本来のペースで走るだろう。。水色のSCHWINNのシングルスピードを駆るのはケリー。濃い青のリーベンデールはジョーン。ケリーとジョーンはSDをメインに活動するサイクリストで、ジョーンはこれが最初のover600。彼の方が僕より強靭なサイクリストでは在るものの、今回のメンバーの中では比較的近い脚力。おそらくこの二人と一緒に走ることになるだろう。

 サンディエゴの町を抜け、登りにさしかかると集団は崩れる。やはり僕はケリーとジョーンと一緒になる。ケリーはちょっと頑固なじいさんだけど、とても親切に僕をカバーしてくれる。ちょっときれいだったり、きわどい服を着ている女性がいると指差すのはどうかと思うけど。ジョーンは温厚で恰幅のよい紳士といったところ。

 内陸にはいっていくにつれ、高度も上昇していく。気温も上昇していくが時間が早い上にやや曇天気味と在って恐れていたほどにはなっていない。CP1までは110km、どこで水を仕入れるのかが懸念だったもののケリーが案内してくれたGSで水を購入。とはいえ彼らから脱落してしまったときのことを考えてキャメルバッグにも水をつめる。全部で4リットルくらいを積んで走るわけだけど、仕方が無い。この区間はメキシコ・アメリカ国境沿いの砂漠なのだ。

 GSで休んでいるとケリーが「こいつはディフィカルトになるな」と繰り返す。風だ。CP1へは片道45kmくらいの折り返し部分がある。今は大きな旗が真四角にはためくくらいの追い風(気付かなかった)だけど、つまりそれは・・・。

 CP1へ近づくにつれ国境も近づく。やがて数百メートル先を国境が並走するようになる。焦げ茶のネズミ返しの着いた巨大な柵が地平線まで続いている。その向こうはメキシコ。でもこちらだってメキシコのようなものだ。時折抜ける集落で離されている言葉はスペイン語のようだし、廃墟となった店の看板もスペイン語。もともと、ここはメキシコ領土だったわけだし。

 ジョーンが「ジュン!砂漠だよ砂漠!」と僕にいう。地平線に走るフリーウェイに陽炎のように浮かぶGSがCP1。僕らは最終組として到着する。さてさて、向かい風の中を戻るわけだけど・・・。

 ケリーがビニール袋に氷をつめて足首の後ろ側へつめていた。痛むようだ。しかし1000kmのうち100km行ってない時点でそれってやばいんじゃないの?というか鉄人ケリーでもそういうトラブルはあるんだな。でも僕は何もできるわけではない。その状況、シングルスピードでも彼は僕よりも遥かに速く走り、登ることができるのだ。

 CP2までは140kmほど。45kmほど向かい風の中這々の体で砂漠を抜けると今度はクリーバーランド国立森林公園。50kmほどの行程で標高2000メートルまで上昇する。ハイ、ここで僕は脱落。水はあるものの、食べ物が無い。それに僕の脚力で彼らについていこうとしたら、のこり800km以上もつとは思えない。僕は僕のペースを守ることにして彼らから離れることにする。これで気楽で辛い一人旅だ。

 しかし登りにはいってからまったく店が無いというのは想像していなかった。小さな集落なりなんなりがあると思っていたのだけど・・・あまかった。水はさすがに大丈夫。だらだらと流れる汗に脱水を恐れながらガポガポ飲むけど、ボトルまで飲み干すまでにはいたらなかった。しかし、腹減った・・・と思いながら登っていると、スタッフカーが通りがかり「この先10マイルのところでドロップバッグ渡すからな!」と叫んでいく。よたよたとキューシートを広げると10マイル先に「店の前を左折」とある。この店の駐車場がドロップバッグ配給場所か。がんばれ、おれ。そのバッグにはあんぱんが入っている!

 考えてみれば森の山道。自然保護区らしい空気の良い気持ちのよい道だ、と言いたい。けど言えない。なにしろ辛い。僕に先行しているブルベライダーがかすかに見えていたが、一念発起したのかあるときからまったく姿が見えなくなった。それから2時間ほど格闘して、ホンダの巨大なトラックの脇でスタッフが手を振っているのが見えた。やった!あんぱん!俺偉い!よくあんぱんをつっこんどいた!うまいー!おいしいー!

 スタッフの言うには、僕の後ろに二人ほどいるはずとのこと。うーんいるかなあ。いるとすれば、さっき姿の見えなくなったサイクリストは、実はどこかで寝転んでいるというオチだろう。僕は長袖ジャージを着込み、あんぱんをかっくらう。ここからジュリアンまではまだ登りなんだろう?と問うと「少しだけね」と彼は答えた。ほんとかよ?

 驚くべきことに、だいたい本当だった。多少のアップダウンはあるといえ、緑多い稜線を行く高原道路。左手は森林で右手の方は砂漠。西海岸は海からの風がこういった稜線にぶちあたって雨を落とし、そこから先には空っ風が服ということになっている。ジュリアンまで結構な距離が在ったのだけど、陽が落ち切る前にCP2へ到着。アップルパイと古い鉱山の町。地元の有名な観光地のひとつだ。寒くなる前に、と残っていた防寒ウェアを着込み、ダウンヒルへ。ジュリアンから海岸へのだいたいのルートは2度ほど走ったことがある。だいたい5?6時間といったところか。午前0時過ぎにはモーテルへ到着できるんじゃないだろうか。

 別れ際にジョーンとケリーは「ラモナのデニーズでディナーを食ってるから!」と僕に言った。椅子に座ってディナー!なんという甘美な響き。暗闇の中2時間をかっ飛ばしてラモナの町に。ファーストフードの店などは閉まりつつあるけど、デニーズはまだあいているか?つうかどこだよデニーズ。ラモナの町を抜ける直前にようやくデニーズを発見。駐車場へ入っていくと彼らがちょうど出発するところだった。挨拶とお互いの安全を祈って再びの別れ。僕はデニーズで飯を食うのだ。

 ・・・デニーズに僕は何を期待したのか。食べ物のせいもあって、なかなかモチベーションがあがらず1時間近くを無駄に。のそのそと店をでて自転車にまたがる。ここから3時間ほど?かな。じつはここからサンディエゴへの道ははじめて。途中にCRがあったりするから面倒くさい。というかそのCRで下っているところで縁石に乗り上げて危うく落車しかけたり。

 考えることは時間の振り分け。今日の走行はだいたい想定していた最長の時間に近い。次のCPのクローズは午前3時。その次は65km先で午前8時半。65kmということは4時間を見込んでおくべきだろう。ということは、うーんと午前4時半前にスタートすればいい。とはいえパンク一発でゲームオーバーは怖いのでもう少し早くでるべきか。睡眠時間は90分欲しい。前後にシャワーや食事の時間をそれぞれ30分考えて2時間半。4時スタートとして1時半に到着すればなんとかなるのかな?

 12時過ぎには到着できるかな、と淡い期待を抱いていたものの、あと数マイルのところで道に迷い30分ほどロスト。結果、午前1時半丁度にモーテルへ到着。フロントでサインをもらい部屋に戻る。シャワーを浴びて、しっかり90分寝てやるんだ。

19時間30分経過 残り670km

つづく
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