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【落武者魂】 GRR1200km 北の地獄の巻

落武者魂

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GRR1200km 北の地獄の巻

「ここには紙しかないんだ。ごめんな」 Grass Hopper CPのスタッフ

 わずかな仮眠を終えて妻とともに数百メートル先のSusanville CPへ向かう。ここも体育館のような建物だけどTaylorsvilleよりはかなり大きい。入り口近くにスタッフのチェックがもうけられていて、その先に食べ物がいろいろと置かれているテーブル、そして脚付きの担架が並べられていて仮眠スペースのようだ。奥にはシャワーなどもあるとのこと。

 胃腸の重さを感じているので、パスタやパンなどを無理無く食べられるだけ食べてCPを出る。スタッフから「しばらく追い風だから」と言われる。しかしすでに18時を回っており、迫りくる闇の方に不安がでてくる。6時間かかるとすると24時くらいにAdinか。まあよい。ここからはイーグルレイクの周辺にある4つの峠を越えることになる。それぞれは厳しいものではなさそうだが、全体的に高原ということで気温が下がるだろう。Susanvilleに運んでもらったバッグの中になぜか十分な防寒具が入ってなかったので、気落ちしながらAntelope passを登っていく。この峠はSusanvilleから北に見えるを山壁を斜めにナイフで削ったような道。非常にダイナミックだ。そこを1時間ほどかけて登る。うーん、ちょっと時間がかかりすぎだ。あの程度の睡眠では体力があまり回復していないが、いつものこと。回復力を鍛えたいなあ。

 峠のてっぺんで強風にさらされながらウィンドブレーカーを羽織る。すねだけが剥きだしなのが何ともいえずいやな具合。さて、Adinまで残り100km弱、耐久するとしますか。


 4つの峰が連続するかと思っていたら、それぞれの間に緩やかな場所が広がっていて、それが意外と心に堪える。ダウンヒルからヒルクライムまでスムーズにつながっていれば辛くても飽きないのだけど、こうただっぴろいところに放り込まれると結構厳しい。GPSに入力された峠のピークの表示を救いにこつこつとペダルを進める。二つめを越えるとイーグルレイク。すでにその先の山並みに日は沈んでいた。夜が僕を追い越していく。

 三番目の峠の前に小さなCPが。ここまで50kmほどで初めての人の営みの雰囲気があった。消防署の庭に天幕が張られていて、様々な食料が用意されていた。トイレは無く、紙だけはあるけど・・・とのこと。今思えば消防署のトイレが借りられたのではないだろうか。それともあれは消防の施設だけで無人? 他の休んでいたサイクリストにあわせてスタート。あとは最後の峰を越えると長い下りになるはず。一緒にスタートした参加者はすぐに見えなくなる。真っ暗。自分のライトに照らされる範囲の外は完全な闇。少し目をそらすと自分が立っているのかどうかもわからなくなる。空間失調?

 ようやく最後の登りを終えた。Adinまで長い下り・・・寒い!むちゃくちゃ寒い!余りに寒いのでブレーキひきっぱなし&ときどき停止。いきなりリタイヤ願望が跳ね上がるが、こんなところでどうやってリタイヤできるのか?電話も通じない。通りがかりのサイクリストに頼もうにも、彼らがCPでそれを連絡し、救援がくるのはいつになるのか。この闇の中で立ち尽くし続けるのはいろいろと無理がある。せめてSAGがやってくればリタイヤもできるのだけど・・・トイレにも行きたい・・・。だから進むしかない。「もうやめてやる」「さむいー!」などなど絶叫を山々に響かせつつ、這々の体で凍えながら1時半にAdin到着・・・。さらに到着チェックもそこそこにトイレへ飛び込む。ここから・・・トイレ耐久ブルベの始まり・・・。

 AdinのCPは田舎の集会所を借りているようだ。無駄に広い厨房があって、スープなどを出してくれる。ホール側の奥には衝立があってその先のくらいところが仮眠場所?ここでジョセフにSD600以来、ひさしぶりの再会。「どのくらい寝たの?」と聞くと「あんまり」とのこと。「私は遅いからあまり休めないんだ」と。

 軽く補給をとって、ドロップバッグから予備の防寒具を引き出す。これでなんとかなるか、と少しほっとする。体力の回復をはかるため、食卓の近くでエマージェンシーシートにくるまって15分ほど眠る。あまり眠った気はしないが、長くも休んでいられない。なにしろSusanvilleからの110kmに8時間ほどかかってしまった。目が覚めるとジョセフの姿は無かった。先に行ったのかと思い、旅支度。実際には彼は先に行ったわけではなく、ここで長い仮眠をとったようだ。僕は結局このCPで1時間半も費やしてしまった。トイレにこもったりして・・・。

 Adinから少し行くとAdin passという峠。それさえ越えれば行きの大きな登りはもう無い。無いのだけど、だんだんと睡魔が襲ってきた。下りきったあとの睡魔は特に厳しく、あまり目が覚めていた記憶がないほど。そういう意識低下状態の間に距離が進んでいればいいなあ、と思うもののGPSを見るとほとんど進んでいない。そういう半睡眠状態ではスピードもでないのか、そういった状態は一瞬でしかないのか、そのどちらもなのか。

 真っ暗な闇の中でライトの照射範囲だけをみつめている。すると、右端に路肩の白線しか見えない。その白線がふらふらと動いているのだけ。想像してほしい。真っ暗な中、視界の右端に白い縦線がゆらゆらしている光景を。これはものすごい催眠効果がある。時折背中からさっと照らされるように明るくなって目が覚める。クルマのヘッドライトかと思うが、頭上が開けた場所で月明かりが差し込んでいるのであった。見上げるとほぼ満月。そのおかげでライトはひとつしか点灯せずとも不安はない。路面は横方向のひび割れは多いものの、縦方向のひびや深い穴などは少ないので安心して走ることはできる。交通量が少ないのだろう、路肩につもるゴミも無い。でも眠い。

 やがて夜が明ける。眠さはMAX、便意もMAX。サドルに腰をかけていると、それによって圧力がかかっているのでなんとか耐えられるのだけど、ダンシングなどで腰をあげると解放されたと誤解した便意が僕を襲う。しかし腰を下ろしたままだと、路面のひび割れが引き起こす振動が便意を強めていってしまう。前門の狼、肛門の虎とはまさにこのこと。さらに時折寝ぼけて路肩に突っ込んだり対向車線に飛び込んだり・・・。ハイシエラののどかな風景が、その雄大なる退屈さが、固まりになって僕に襲いかかる。これは死ねる・・・。眠いんだよ・・・!もはや自転車とは関係ないところで辛い。辛すぎる!

 とにかくAlturasまでたどり着けば折り返しまでの残り30キロちょっとは平坦なはず。せめて600kmは走ろうよ、と自分を鼓舞しながら眠気と便意に耐えて7時過ぎにAlturasへ。到着チェックを受けてトイレへ飛び込む。ん?いまやばい感じじゃなかったか?どーんという気持ちとともにレーパンをチェック。まあ、大丈夫そう。だけど無色無臭のなぞの液体が排出された可能性もあるので、念のためパッドをよく拭いてさらに手を洗うための消毒アルコール(携帯してる)を塗っておく。気持ちだけでも清潔に。

 


 AlturasのCPは公民館(たぶん)。食堂でパンケーキをひとかじりし、DNFすべきかどうかしばし迷う。考えても考えてもトイレ問題と眠気以外はリタイヤ理由がない。後者はともかく前者は十分な理由になりそうだけど、脚も問題なく回ってるし、体力的にはまだ動ける。うーん、折り返しまではいってみるかなあ。おや?脚は問題ないって右膝や右足首が痛かったのは・・・触ると痛むやん。でも気づかないでいられるなら大丈夫!

 Alturasからは平坦と信じていたのに、実はゆるやかな登り。当てが外れるとがっかりしてポテンシャルが低下する・・・。坂というほどの坂は無いのでへろへろと進み続け、ただっぴろい草原へ。ここからは見えないが、草原の左手の向こうはGoose Lakeという湖だそうだ。そしてこの道の行く先はオレゴン。そしてその間にあるのがDavis Creekの折り返しポイント。ようやくたどり着いた北の果て・・・。トイレ、トイレ!何はなくともまずトイレ!

 


つづく
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