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【落武者魂】 SR600第二話 大平街道
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SR600第二話 大平街道

 事前の予定では0時、つまり24時間で330kmほどを走って高山に到着。午前6時に再スタートという予定であった。おや? と思われる人もいるかもしれない。その「おや?」は「ずいぶん休むじゃねえか」というところにつながるのではないか。実にその通り。ときおり「SR600は普段の600kmブルベより楽な気がする」というコメントが聞かれることすらある。いや、実際には楽なことは決して無いけど、意外と休憩時間がとれるのも事実。これは600kmに50時間以上が割り当てられていること、コースのほとんどが山間にあって信号でのロスが無いこと、同時に交通量も少ないので、自動車に悩まされることが無いこと……などが積み重なって意外と速く移動することができるのだ。また、途中のタイムリミットがないのもよい。思い切って休憩しても、最後までに取り返せば良い。
 その結果が6時間の休憩時間であり、睡眠時間も十分に確保できるだろう。確保できなくては困る。何しろ、前夜は一睡もしていないのだから。

 さて、現実の状況を考えてみよう……。実は事前の予定では飯田に到着するのは14時であった。それを2時間前倒ししている。「まいてい」でゆったり昼食をとったり、コンビニをうろついたりして1時間を失ったが、それでも1時間。これから140kmくらいの間にそれが増えるかどうか。このまま進行しても7時間の休憩ができる。朝6時出発でOKというのはざっくりとした計算上のことだけど、それにしてもすごい。ほんとにそんなに休めるんだろうか? そんなことを皮算用している間に、道は大平街道を進んでいる。大平峠に続く登りだ。ここに入ると、木陰のせいもあるが急に涼しくなる。見ればあっという間に雲がかかってしまっていて、気温は25度くらいまで一気に下がってしまっていた。山道だが、しばらくはダム建設のダンプが多く走っている。遠くで雷鳴。うーん、皮算用は皮算用だったかなあ。

DSC00925.jpg


 大休という板碑の前で休憩。だって、「大平峠を行くものが休んだ場所」というのだもの。この道沿いには地名と説明の記された板碑が要所要所に立っていた。地名があるということは、ここは人の暮らしのあった場所なのだろう。GPSに表示される現在の地図では読み取れ無いような細々した地名が、かつての営みを感じさせる。のだけど、現在の現実世界では、まったく人のいない無人の峠だ。後で知ったのだが、50年以上前に集団移住によって無人化したのがこの大平(おおだいら)なのだそうだ。自動車道は、この峠を大きく迂回して設定され、この古い街道を通るものはいなくなってしまったのだという。

DSC00931.jpg


 それでも、こうしてかつての思い出を残すために地名などの板碑を整備しているのだと言うことらしい。ただ、いくらか痛んでしまっているのも見受けられてしまっていた。徒歩客や、我々のような自転車の旅人は、板碑に目を通し心をはせることもあるだろうが、自動車ではまったく見落とすばかりだろう。いつしか失われてしまうのではないかと思うと寂しい気がする。ジオタグ化してVRで表示できるように……。

DSC00937.jpg

 大平峠の前には飯田峠がある。このふたつの峠の間にはちょっとした平地があって、そこに大平宿が。事前に知識が無かったので、その現代とは思えない風景にはっと息をのむ思い。現代に残る宿場町といえば、妻籠や大内宿を思い出すが、観光地化されたそれらよりずっと素朴で侘び寂びをかんじさせる小さな集落。そんな空気の中でくつろいでいる人たちにカメラを向けるのも気がひけたので、そのまま通り過ぎる。雨の虞が無ければ、ここの茶屋で少し休んで行きたかった。
 峠の鞍部は謎のトンネル様の土管?。 下りはくねくねの細い道。しばらく行くと256号線にぶつかってしゅびーっと下ることができる。この下りの途中に蘭(あららぎ)という集落があって、それが近代文芸運動のひとつ、アララギ派の名の由来となったとされている。

 さらに256号線を下りきるあたりにふと古い町並みが。ああ、妻籠宿だ。ここも通るんだな、と気分はすっかり自転車旅行者。妻籠とか下呂とか、自転車抜きでゆったり過ごしたいなあ。

嬬恋


 悪名高き国道19号も、週末の日中とあってなんとか穏当に。そこからみっつほどの大きなうねりを越えると下呂だ。途中で雨が降ってきたのでレインウェアを着込んではいるけど、あまり酷くならないので助かっている。賑やかで明るい下呂の町で日没。下呂から高山までは位山という「暗い山」を行かなくてはならない。始まってしばらくは2車線あるのだけど、やがて細くなり真っ暗になる。コワイ、と思い始めるとどんどん怖くなる(幽霊とか嫌い)のだけど、動物の音はしないので救われている。どうも雨になると野生動物の動きは不活性になるようだ。そういえば、野生動物は濡れると乾かす手段が無いので、できる限り雨に打たれるのを避ける。それが現在の犬猫も水を嫌うことが多いのとつながっている、と聞いたことがある。そうなのかもしれない。
 さらに思うのは、意外とこのコースは「下り殺し」ではないなということ。SR600 Fujiは気持ちよく下れるダウンヒルが多く、タイムを取り戻せるけどNihon Alpsはそうではないという印象があった。それでとても不安に思っていたのだけど、下りが多いセクションで時間を取り戻すことはできている。このままいけば10時頃に高山に到着できる。予定より2時間も早い。そのすべてを休憩に割り当てることもできるが、明日の出発をいくらか早めた方が良いだろう。

DSC00946.jpg


 位山神社の写真をおっかなびっくり撮影。軽トラックが一台行き過ぎたが、向こうも少し驚いたかもしれない。でもまだ午後9時ごろだものなあ。許容範囲だろう。神社から先もしばらく登るが、その後の下りは道もいい。路面も乾いているように見える・・・と鹿が横切った。「シカくんなー!シカどけー!」と叫んで下っていると、コーナーを抜けた先でお祭り? いや、音楽野外フェス? ステージやオブジェが照明に照らされて、大勢の人が。百台くらいの自動車も停められている。こりゃいったいなんだ? と思っていると、それは後方に消え去って行き、再び暗闇の世界に。一体何の集会だったのだろうか。

 高山までは下り基調で、仮眠予定地の手前のコンビニで補給物資を買い込み、ホテルへ入る。やはり午後10時。朝6時発だと8時間もある。まあ、ちょっと早めることにして仮眠5時間ちょっと、その前後1時間を食事と準備などに割り当てよう。5時間って、もはや仮眠ではないな。ただの睡眠だ。
 問題は、すぐに眠りにつけるかどうかだ。去年のFujiでは眠ることができず、ベッドで悶々としていた。他にも寝付けなかったことは多々ある。繊細なんだよね、結局。ああ、眠れなかったらどうしよう。昨晩も寝てないんだぜ・・・。



次回:天に選ばれし者だけが登ることができるというノリクラ。不意な土砂降り。気温の低下。濡れ鼠になった絶望的な状況のトレラングループとすれ違う。それでも進むのか……このどこまでも続くノリクラ坂をよ……。開くか開かぬか確率は丁半ばくち。ゲートキーパーの下した審判は? 刮目して待て!
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