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【落武者魂】 SR600NihonAlps 第〇話
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SR600NihonAlps 第〇話

 2013年の夏は暑かった。連日に及ぶ猛暑日は市井の人々のみならず、SR600にチャレンジしたランドヌールたちを散々に苦しめた。SR600 NihonAlpsのレポートを探すと、熱射病で脱落していった幾人もの参加者の声が読み取れる。2014年は天候不順によって記憶される年となるだろう。2000m級山岳、さらには2700mもの乗鞍をコースとするこのチャレンジは、悪天候による影響を受けやすい。特に乗鞍への道は濃霧や強風などの悪環境になると、通行止めの規制がかかってしまい強制終了せざるをえないのだ。

 単に完走できるか否か、ということでも確率は50%なのに、乗鞍が通過できるか否かでさらに50%になってしまうわけで、つまりSR600 Nihon Alpsの成功確率はなんと25%。日本で最も難度が高いSR600のコースと言われることがあるのも当然なのである。



 若き友人T君がこのチャレンジをすると聞いた。T君は常に笑顔を絶やさず、温厚でトークも楽しい頼もしいヒルクライマー。今年はいくつかのブルベで一緒に走る機会もあり、彼とならこの苦しいライドもこなせるかもしれないと感じた。そこでスタート日時を聞くと、8月半ばの12時スタートだと言う。うーむ、深夜スタートか。個人的には深夜スタートはあまり好きではないのだよな。前夜の睡眠の確保が難しいから。とはいえ、とりあえずタイムスケジュールを試算してみようか・・・。

 お、なかなか良いじゃないか。まず乗鞍の通行規制時間にはまったく問題が無い。乗鞍のゲートシティ、330km地点の高山で宿泊をすることもできるし、その場合の到着時間は日をまたぐことは無いだろう。スタート直後の甲州街道や、国道19号などの交通の過酷な場所を比較的安心と思われる時間に通過できるのも良い。下栗などの信州奥地の峠を明るい時間に越えることができるし、これらの補給困難地でも日中ならいくらか安心だ。そうだ、新島々の悪名高きトンネル群もまだ帰宅する車の増える前なら・・・。
 考えれば考えるほど良い案に思える。さすがT君だ。よく練られている。さっそく申し込みをして、T君にその旨を連絡した。
「あ、僕はお昼の12時スタートですが」

 そんなわけで、僕は一人で走ることになった。



 ところで、先ほどのスケジュールに何か違和感を感じた人もいるかもしれない。なんで新島々までしか考えていないのか、ビーナスライン以降が夜間になるのはよいのか、などだ。確かにその通り。正直に言ってしまうと、高山あたりまでコースを読んでいたらお腹いっぱいになってしまったのだ。お腹いっぱいというのは、つまり「これムリ」ということ。高山まで行ければラッキー、飯田あたりで輪行して帰ればいいんじゃないかな、くらいに感じてしまったので、そこからはろくに予習もしなくなってしまった。だいたい、去年にFujiを走った後「これからは全部ツーリストカテゴリで走ろう。そしたら制限時間がなくなって、観光ライドができる」と誓ったはずではないか。
 よーし、それで行こう。高山まで行けたとしても、翌日は白樺湖あたりで泊まればいい。2〜3泊で楽しいサイクリング。それでいい。

 けれども一方では、乗鞍を越えれば間に合ってしまうという試算もできていた・・・。

****

予告・・・
深夜の甲州街道は暗く、行き交う車もまばらだ。左手の奥には南アルプスの山々が遠く連なり、その向こうの空を遠い稲光が照らしていた。それは湾岸戦争のバグダッドの対空砲火の映像を想起させ、これから始まる苦難の道程を予感させていた。
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