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【落武者魂】 シドニー!

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シドニー!

 オーストラリアは良いところで、シドニーのセントラル駅からでっかいスーツケースを二個、引きずっていたら5分の間に二回も歩道の段差の引き上げを手伝ってもらえた。なんという親切さ。けれども、このままでは1km先のホテルへ行くのに何人の手をわずらわせることになるかわからないので、タクシーを止めて乗って行くことに。
 この二日後、シドニーからメルボルンまでの1200kmを走る為にこの街に来ていた。初の南半球、豪州遠征。もう夏と聞いていたのだけど、やはり天候不順で意外と寒い。日によっては最高気温が30度を越えることもあるし、20度を割ることもあるという。メルボルンはシドニーより南にあって、つまりより気温は低い。南なのに。その間にはキャンベラという首都があってそこが第一日目の仮眠所となる。その翌日はオーストラリアのアルパインを越え、3日目はメルボルン側の高地、最終日はメルボルン郊外から市街へ向かうことになる。そのため、名称はシドニー・メルボルン アルパイン1200km。累積標高は15700mともされる(知らなかった。ウカツ!)サイクリスト耐久テストだ。

 ルートは一方通行。基本的に向かい風を受け続けることになるという。実際、前回の開催ではキャンベラからクーマまで120kmの直線区間が強風の嵐となって参加者を痛めつけたという。このイベントの少し面白いところは、1dayから4dayまでの四日間の区間に区切られ、それぞれオーバーナイトコントロールが設けられているのだけど、その日の午後4時以降にならないとドロップバッグは届かないということになっていること。もちろん、通常のRMルール通りに走っても良いのだけど、その場合はドロップバッグの恩恵を受けることが出来ない。ついでに言えばゴールも最終日の午後4時にならないとオープンしないとされているので、あまり速く走っても意味が無いということだ。
 ・・・まあ、速く走ることが出来る人間にとっては、ということだけど。



 車検はスタート前日にも行われる。シドニーのダウンタウンにある自転車ショップ裏手で行われた。主に灯火のチェック。オダックス・オーストラリアは普通の灯火にくわえて後ろにリフレクターの装備も義務づけている。チェックが終わったらブルベカードなどをもらってドロップバッグを預けて終了。他の参加者とちょっと挨拶したりする。
 それにしてもスタートまではどうしてもナーバスになる。空輸するためにばらして組み直した自転車がおかしくなっていないか、装備は忘れてないか、天候はどうなるのか、眠れるのか、それから先月のぎっくり腰はどの程度治っているのか、あるいは影響して来るのか、風向きは、気温は、ああ不安だらけ。不安だらけのまま、当日の朝を迎えた。本降りの雨・・・。



 着替えたり朝食を飲み込んでいたりするうちに雨は小降りとなった。
 ホテルを出てジョージア通りを北上してスタート地点へ向かう。ハーバーブリッジのたもとにある小さな公園には、すでにランドヌールたちが集まっていた。雲が低く立ちこめていて薄暗く、対岸のオペラハウスもあまり映えない。ブルベカードにサインをもらい、記念撮影を終えるとスタートになった。だらだらとしたスタート。しばらくはシドニー中心部なので、信号や交通があって速度も出ない。どちらかというと市街観光サイクリングと行った感じだ。



 1日目のコースプロファイルは序盤は低地。中盤から標高700mくらいまであがって小さなアップダウンを繰り返し最後に少し下ってキャンベラの街に入る。累積標高は4300m。330kmくらいで。なんかおかしい。最高標高は700mくらいだし、大きな登りってそれだけだよな? そっからアップダウンをくりかえすったってそんなにいくもんじゃないだろ。まあ、とりあえずシドニー近辺の低地で時間を稼ぎたいな。信号が多くって面倒だけど。

 まもなく低地で時間を稼ぐどころではないことに気付く。とにかくアップダウンが続く。街の郊外くらいは平坦になっているだろうと思ってたのだけど甘かった。シドニーというのは地図を見ていただくとわかるのだけど、込み入った地形に海が入り込んで湾を作っている。この込み入った地形は海が入り込んでいないところにだって延々続いているのだ。ちょっとしたリアス地形が海岸から内陸までずっとってこと。
 オーストラリアはもともとあった大陸に東側からでっかい島がどかーんとぶつかって現在のようになったということで、ぶつかってきたあたりの地形はそれで隆起したりしてアルプス的な地形を作り上げたのだそうだ。だから、平坦なんてないのだ・・・。



 舗装は意外と良くてあまり良く無い。
 何を言っているか分からないと思うけど、一般的に「路面が悪い」で想起されるような穴やヒビはそんなに厳しく無い。しかし、舗装面そのものが荒くって走行抵抗が大きいようだ。そのせいで脚を止めると速度の低下が大きく感じる。交通マナーはあまり良く無く、日本と大差ない。スレスレをかすめて行くドライバーも少なく無く、とりあえず威嚇するためクラクションをならしてくる輩もいる。しかも制限速度が一般道でも100km/hだったりするのでやっかいだ。さらに言うと、道幅もそれほど広くは無い。



 いろいろ不安を抱えながらスタートから120kmほどのポイントにあるPC1へ到着。小さな公園の奥でスタッフがサンドイッチやスープを用意してくれていた。ここまでは強く雨も降ることは無く、気温もそこそこ。あまり時間を稼ぐことは出来なかったが、飯はしっかり食べて再スタート。

 ルートは幹線をしばし離れ、しばし雑木林の中を走る。すでに前後の参加者はまばらになっていた。もうちょっと言うと、ほとんどのサイクリストははるか前方に去ってしまったようだ。小さなアップダウンを繰り返しながらちょっとした街を抜ける頃に雨が本降りとなったのでレインウェアを着込む。1時間ほど降り続いただろうか。止んだところで脱ぐ。しばらくすると高速道路の路側帯へルートは誘導された。アメリカのフリーウェイも自転車通行可部分があるが、オーストラリアでは高速道路を自転車が原則走行可能なのだそうだ。そのまま走り続け、PC2はなんとサービスエリアのレストラン。なんとも変な感じだ。



 日本からの参加者の多くが顔を合わせるが、実はすでにほとんどの参加者は去ってしまっている。時間の貯金も増えていない。明日が一番厳しいセクションだということを考えれば、今夜のオーバーナイトコントロールは最低でもクローズ1時間前には出ておくべきだ。そして晩飯やシャワー、睡眠などを考えると・・・不安になってくるな。まあ、出来ることを頑張ろうよ。



 いよいよルートは荒野に入って行く。荒野と牧場とが入り交じったような感じだ。大きな登りは無いのだけど、数十メートルの急な登坂が繰り返されるような道が続く。登って下って、でも次の登りまで勢いをつけて行くようなことはできないような道。日本で言えば広域農道的な道の作り。自動車が効率よく最短距離で進めるように設計されているので、多少の斜度は気にされていないのだろう。だが、自転車にはひとつひとつがボディブロウのように効いて来るのだ。
 救いは交通量が激減したこと。信号はまったく無いこと。
 PC3の手前で日本人先頭グループから脱落。やや遅れてPCヘ到着。このPCのあるTaragoは人口300人程度の村落。荒野の中の中継地で駅があるらしい。その村落の公園にPCが設置されていた。日没直後でまだうっすらと明かりはあったが、気温は下がっていてスタッフの方々はダウンジャケットを着込んでいた。僕は紅茶とサンドウィッチをもらってトイレに行ってここを発つ。すぐに真っ暗になった。首都キャンベラから70kmも離れていないのに、この寂しさはなんだろうと思っていたが、東京だって中心から70kmも離れれば奥多摩だものな。

 前にも後ろにもランドヌールの姿は見えない。行き交うクルマもまれだ。そのまれなクルマの一台が並走しながら声をかけてきた。スタッフのクルマかと思ったが、そうではないようだ。
「コレは何? なんかのチャリティーなの?」
 と年配の女性の声。
 なんと答えたものかと逡巡したが「チャリティじゃないです。ただの自転車イベントですよ」とだけ答えた。
 まあ、見りゃ分かるよな、そんなの。
「そうなの、がんばって!」
 そう言って去って行くクルマの先に久々の集落があったが、ルートはその手前でそれて今日もっともきつく長い峠へ入る。
 ここでちょっと腰の張りが気になったもので、中腹でちょっとストレッチをしたりした。腰痛ビギナーなので、案配がよくわからないのだ。10%ちょっとで100m〜200mくらい登る感じだったろうか。そこからは下り基調。しかしいつになっても首都らしい雰囲気にならないのだけど。

 道はいつのまにか高速道路になっていたが、交通量はほとんどない。静かだ。いくつかのインターチェンジをすぎるとようやく大通りが交差するようになってきた。GPSの表示でもキャンベラの市街に入って来たようだ。ただ、土地区画の整備だけして開発の進んでいない新興住宅地域のような雰囲気だ。やがて住宅地域の中へ分け入って行き、GPS的にはすでにキャンベラのPCなのだけど、暗いせいか見つからず少し焦る。少し戻ってYMCAの入り口を見つけた。スタッフに迎えられてホールへ入る。時刻は午前0時を回ったところ。クローズまで4時間。330km走って4時間しか貯金が出来なかった。あるいはここで食事だけして再スタートという選択もあったかもしれない。けれど、1200kmブルベの初めての夜でそれを選択する勇気は僕には無かった。食事をしてシャワーを浴びて少し寝よう。
 2時まで寝て、3時には出発しよう。

 おやすみなさい。
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