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【落武者魂】 Cascade1200km 第二話
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落武者魂

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Cascade1200km 第二話

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※Cascade1200全体コース(色違いの部分は2008年コースなど)

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※1日目プロフィール

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※2日目プロフィール



 複数日に渡るブルベの場合、睡眠時間を取れば取るほど翌日の余裕時間を奪うことになる。それを勘案にいれて起床時間を決める。まあ、もともと普通は問題にはならない。というのも、ブルベのスタート時点を考えてみれば、余裕時間はゼロだからだ。走っていれば、余裕時間は積み上がっていくはず。それが普通の場合の考えかた。ちょっとやっかいなのは、余裕時間がゼロなのに、その先がずっと登りだったりする場合。そしてその登りのてっぺんがPCだったりする場合だ。ナチェスから73km先のロッジポールのコントロールがまさにそれだった。70km以上に渡る登りの先にPCが設定されているのだ。とはいえ、斜度はかなり緩いので最低速度として設定されている時速13.3kmを下回ることはあるまいと思っていた。この速度を超えていれば、貯金が溜まっていく。そう思っていた時期が僕にもありました。


 恐るべき向かい風。
 平坦部分でも15kmを切ってしまう。ときに突風に煽られると時速10kmを割ってしまうことさえ。谷間に入り、いよいよ風が強くなってくると、タイムアウトの文字が脳裏をよぎる。そんなのあるのか? ありえるのか? 風は強まったり弱まったりという変化は多少はあるものの、とにかくきつい。僕を追い抜いていく人もいるが、たまには脱落してくる人を追い抜くこともあった。あるとき、三人組の先頭が、僕を追い抜きざまに「後ろにつけ」と手振りで示した。ありがたく後ろにつかせてもらう。この三人のうち二人はとてつもなく強く、一人はもうダメなようだ。僕に手を振ったサイクリストがひきつづけ、やがて下がると次のライダーはすぐに減速してしまって立ち漕ぎをしてもどうしようもならない。すぐに三人目が先頭にたった。僕がその次。彼もずいぶん長く牽いてくれて、やがて先頭をはずれた。なんとか頑張ってヘタれないように速度があまり落ちないように先頭を走るが、やはり強い二人ほどは速度を保てそうにない。ニキロほどを走って、脇にずれて先頭を譲る。
 それでも、後ろに入るよう手招きしてくれたサイクリストは僕の肩を「よくやった」とでも言うようにポンポンと叩いてくれる。すごい嬉しい。そしてなんというかっこ良さ。僕もこういうことがさり気なくできるような人間になりたい……。

 残念ながら、このかっこいい集団は他の集団が追い上げてきて再編成されてしまった。速い連中とそうでない連中。そして、それにさえ追いつけない僕とかに。幸いなことに風は弱まってきていたけど、代わりに斜度が上がってくる。景色もさっきまでよりずっと森っぽい。まあ、そういう景色は昨日で見飽きたんだけど。



 へたれながらも一人で寂しく登っていると、脇をでっかいピックアップトラックがやってきて、何やらおっさんが顔を真赤にして怒鳴りまくってくる。どうも、てめえらクソ自転車乗りがなんの権限があって、ハイウェイを走ってやがるんだ、ってことらしい。なんという肝っ玉の小ささ。こんな広くってほとんどクルマの通らないような道を、早朝いくらか自転車が走っているくらいでわーわー喚いてくるとは。ダサすぎ。しかも一人で走ってる外国人に怒鳴ってどうするんだよ。集団に怒鳴ってけよ。バーカバーカ、と思ったけど何も言わず無表情でやり過ごすことにした。
 なんか変に反応してぶつけられたり、あるいは撃たれたりしてもつまらない。
 というか、外国語でなんか言われても腹がたったりしないんだよね、やっぱり。リアリティがない。これが日本語で言われたんなら「うわ、ダセエ」って表情に出ちゃうけど、英語でまくし立てられてもヒアリングの練習みたいな気分になっちゃう。おっさん、怒鳴る相手を間違えたな。



※PC6 Lodgepole 403.5km Mark Thomas氏にカップヌードルを作ってもらう。

 日本人女性参加者に追いつく。もうお一方はすでに昨日DNFを決められたと知った。彼女自身もタイムリミットの違う1000km部門参加なので、このまま行けばタイムアウトなのだそうだ。今回このカスケイドは1000km(+200km)と1200kmが同時開催されている。それぞれ違う基準でタイムアウトが設定されている。1000kmの方は600kmまで15km/h平均、それ以降は11km/h程度になる。1200kmの方は既に記したように13.3km/h基準。どっちのほうが厳しいというわけではないけど、彼女にとっては1200km組の余裕時間が恨めしいだろうな、と思った。
 しばらく走っているとマシュー君も一緒になった。やっぱり誰かと一緒に走っていると、目も覚めるし時間の経つのも早い。頂上に近づくと斜度のある(それでも6%は超えない程度の)アップダウンが続いたけど、ようやっとロッジポールのPCへ到着。ここではRUSA現会長のマーク・トーマス氏が自らサービスを設営していて、みんなにコーヒーなどを振舞っていた。彼のクルマにつまれたキャリアボックスには、完走した1200kmブルベのステッカーが所狭しと貼ってあって、そのかずは……たぶん二十を超えるくらい。今年も既にニュージーランドのキウイライド1200、韓国1200を完走しているおそろるべき1200ハンターだ。脚力もすごいが、資力もすごく、若くして半引退状態ながらいくつものバイクショップを経営しているという……。

 さきほどの日本人女性参加者がやってきて、スタッフにタイムアウトしたことを告げている。スタッフはこの次のPCまでずっと戻っていくので下りだし、そこのタイムアウトに間に合えばOKとすると説明したのだけど、残念ながら走行継続を断念。あまり眠れなかったというので、下りも危険を感じるという。止むなし。



 さて、ここでもカップヌードルをいただきポテトチップスもいただいてくつろいでいたら、I氏も追いついてきた。いつもどおり元気そうだ。そういうわけで、三人で下りていくことになった。ずっと下り基調なので、リカンベントのマシュー君が速い速い。というか、ここまでの登りでさえ僕より速かったのだから、下りなんかとてもじゃないけど追いつけない。あれにおいつくにはタンデムでないと……と思うけど、うちの夫婦のタンデムでは登りがいかんともしがたいだろうな。I氏はところどころで写真を撮っているようだ。景色がつまらないとずっとこぼしていたけど、ようやっと天候も回復し、西部らしい光景がちょくちょく現れるので、写真をとる気になったのだろう。
 次のフルーツビルのPCまで70kmほどは登ってきた道をだいたいトレースする。一部で裏道に入るところがあって、行きの道を戻るだけでショートカットできるじゃん、ここにはシークレットがあるぞ、と思っていたのだけど無かった。そして気付かずショートカットした人たちも少なくないようだ。
 まあ、わざわざ1200kmを走るような人種にとってはむしろ「損した」ようなものだから、別にどうでもいいのか。まあ、レースでもないしそれで得することもないからね。




※雨の西側から、乾燥の東側へ。ここからは日差しを遮るものは期待できません。


※Nachesのオールド・タウンかな。



 フルーツビルまでもアップダウンと向かい風に悩まされるものの、全体として下り基調。シアトル・インターナショナル・ランドナーのメンバーたち数人とゆるやかなグループとなって走った。やがてちぎれてしまったけど、そこがPC。フルーツビルにあるショッピングモール。その中のスターバックスでサインを貰えという。
 果たしてスターバックスでカフェラテを頼んでサインをもらう。店外のテーブルでそれを飲んでから、フレッドマイヤーという大型スーパーでランチを探すことにした。パニーニか、ホットドッグかなあ、と思って入るとすぐにSUSHIが目についた。棚を覗きこんでみると、いわゆる西海岸風ロールが多いのだけど、普通の握りと巻きものが入っているパックもあった。サーモンの握りと鉄火巻だったかな。それにコーラを購入して席へ戻る。ブルベ中、しかもアメリカの内陸部で寿司ってどうよ? と面白がっていたらI氏も寿司であった。やっぱり、なんか食べたくなっちゃうんですよねー。
 寿司は普通においしい。これでリフレッシュして次は100km以上先のマタワ。大きな上り下りのあるセクション。しかも、大西部の乾燥した荒野。景色的にもコース的にも気温的にも距離的にも過酷なものが待っているだろう。それでも、そこまでたどり着けば600km。半分が終わるんだ。


※フルーツビルのバイクパスから。やっぱりサイクリングロードは整備が微妙。どこも同じ。

 フルーツビルから川沿いのサイクリングロードをしばらく走って、州道26号線へ。もう景色はすっかり大荒野。日本人的な感覚では砂漠といっても差し支えないくらいの土地だ。サハラのような砂砂漠ではないけど、色調的には似たような感じ(サンディエゴの内陸の方へ行けば、サハラのような砂砂漠を走ることもできる)。行きの飛行機の中で映画の「茄子」を見てきたので、アンダルシアの歌を口ずさんで走る。ほんとうにあんな感じの大地だ。
 そこにコロラド川から引っ張ってきた水を使って色々な栽培をしていて、こんな風景にも関わらず、ここはフルーツの一大産地。とあるアメリカ人ライダーの目には緑豊かな大地に映るのだという。住んでいるところでずいぶん感性も変わってくるものだ。
 I氏と両脇で栽培されている大きなつる性植物は一体なんだろう、と話しているとカナダ人ライダーがやってきて「お前らビールは好きか? 」と聞いてくる。唐突な質問にふたりそれぞれ適当に返していると「あれがホップだ! 」と言う。なんと、あれがホップなのか。初めて見た……。でもどうやって使うのかはわからない。彼も知らないという。種を使うんじゃねーかな、とのこと。まあいいや。


※ホップ畑。比較対象物がないのでわかりにくいですが、この支柱はゆうに5メートルはあります。

つづく
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