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【落武者魂】 ひとりみちのく旅。一日目 新潟から庄内
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落武者魂

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ひとりみちのく旅。一日目 新潟から庄内

 父方の実家が山形県の庄内地方にあるので、子供の頃からたびたび訪れたことがあった。当時は国鉄の特急「いなほ」が上野から直通で走っていて、その車窓から眺めた景色のせいだろうか。日本海にはなにかしらの郷愁を強く感じるようだ。夏休みには由良という海辺の集落の民宿に長いこと宿泊して、毎日海へ通った。日本海の浜辺はどこも芋洗い状態になるということはなく、水は澄んでいて穏やか。残念ながら、泳ぎはさして上達しなかったけど。
 そうだ、あの頃は花火大会もやっていた。一発打ち上げるごとにスポンサーの紹介が続いて、なかなか次のが放たれない、そんなのんびりしたやつだ。最後は沖合に浮かぶ白山島へ伸びる橋を使ったナイアガラの滝花火で締めくくるのだったのだけど、今はもうやっていない。その白山島が花火の音響の衝撃で崩壊の可能性がでたからだとか。

 冬の日本海は、もちろんまったく違う。
 荒れた日には、ダムのように高い防波堤でさえ、近寄るのは危険なくらい。あんな状況で、由良の集落はどうなっていたのか、何をして暮らしているのか、いまでも不思議だ。
 さすがに、そんな場所には用事は無くって、たいがいスキーに行ってたけど(こちらも上達しなかった。だいたいにおいてスポーツは苦手だな)。

 さて、そんなわけで自転車である程度の距離が走れるようになったとき、是非に走ってみたいと頭に浮かんだのは日本海絡みのコース。自転車旅行のノウハウも無く、スケジュールも組めなかったからなかなか行けずにいるうちに、ブルベにはまり、今度は距離感が崩壊してしまってかえって走れなくなる。2009年には東北一周1000kmなるブルベが開催されたけど、その頃は海外で暮らしていたから参加できず。
 そんなこんなで、いつものように腰を重く過ごしていたのだけど、ようやく一念発起。PBPが終わってから行こうと心の底で決めた。2012年には1700kmの東北連続ブルベがアナウンスされたのだけど、やはりこの旅は自分の私的な体験たるべきと思ったし、走りたい場所もあったのでエントリーしなかった(すごく楽しそうだったので、ちょっと残念)。


1日目:新潟-湯野浜温泉(鶴岡市)



 前置きはこのあたりで打ち切ろう。
 池袋から始発を乗り継いで新潟駅に到着したのは8時過ぎ。天下のデローザ・ネオプリマートに荷物をしこたま積み込んで全重量で20kgくらい。もはやロードレーサーの軽快さなんていうのは無い。空気抵抗もでかいし。でも、これしか旅行向きの自転車がないからいいんだ! おれには、これしかないんだ! だから、これがいちばんいいんだ!!

 コンビニで朝食をすませ、県道3号を東へ。新潟港から国道113号に。これは日本海沿いを通る道なのだけど……ものすごく危ない。休祝日など大型車の通行が減る時ならば、快走できるかもしれないのだけど、この日は辛かった。古い規格の対面2車線、しかも大重量車両の轍がしっかりと残り、車線の左端はアスファルトがめくれまくっている。それでも、そこを走るしか無い。ガードレールがないのは幸いだけど、そのかわり草むらの中に排水溝なんかがかくれている。ほんの30センチほどの、ぐちゃぐちゃの舗装の上を綱渡りのように走り、脇をかすめる自動車の風圧にさえ怯えながら走る、そんな道だ。途中でハンドルにつけているライトの取付部が振動で破断して吹き飛んだ。まあ、このライトのブラケットは作りがちゃちかったから仕方ない分もあるけど。
 さらに悪いことには、この道に入ると脱出路も無い。
 もし、新潟から日本海沿いを北上するルートを考えている方は、悪いことは言わないから内陸を並走するルートを探していくか、村上まで輪行したほうがいい。


※唯一、ここを通る意味があるとすれば岩船沖油ガス田の海上プラットフォームを見ることができるということだろうか。でも多分、瀬波温泉からも見えるし、そこまでして見るほどのものでもないし……。


 
 荒川を越えるあたりから状況は改善していく。国道を離れて瀬波温泉入り口のコンビニで早めの昼飯。毎食コンビニ食じゃ、ブルベと変わらないじゃん、とひとり思う。瀬波温泉の旅館街を抜けて羽越本線沿いに国道345号に入ると、交通量は激減する。ほとんど車が無いといっていいくらいに。
 さあ、笹川流れへ向けて……と斜度のある坂を登り切りながら、こんなに荷物が必要かなあ、自宅へ帰る前にいくらか荷物を送り返そう、とか考える。さて、その荷物はどの袋に入れてくか、というところまで考えて気付いた。バックパックを背負ってないぞ? そのままUターン。さきほどのコンビニまで10kmほど戻る。往復で20kmのロスだよ……。



 笹川流れは山形県と新潟県の間の日本海沿いに続く景勝地。非常な交通難地で、昭和四十年代にいたっても、手堀で一車線分ぎりぎりの隧道を掘っていたような場所だ。江戸時代には松島と男鹿の景観を併せ持つとも謳われたと石碑にあった。海へつきだした岩山を避けるためにトンネルが多いが、交通量がほんとうに少ないので、特に気にならない。現在のトンネルの脇には、小さな岩肌を剥きだしたままの小さな隧道(”隧道”という表記がふさわしい気がする)が顔をだしていたりする。丸太を組んで補強をしているそんな廃隧道が、僕が子供の頃は現役であったのかと思うと驚きだ。もしかしたら「いなほ」の車窓からその現役の姿を見ていたのだろうか。



 このあたりには、小さな入り江にほんとに小さな集落があるくらい。その中でも唯一といっていいくらいの漁港があったので降りていく。観光汽船がでている港だ。干物を売っているお店があって「おつまみセット」なる干物を炭火で焼いたものをいただき、さらにおみやげがわりに干物をいくらか自宅へ送ってもらうことにした。


※いろんな干物を薦められるので、結局おつまみセットよりたくさん食べることができたりする(w


※遊覧船もある。源義経の逃走経路だったとされる海岸で、遊覧船から義経が見た景色が紹介される。

 やがて勝木という集落で、この難地から逃げていた国道7号へ合流する。つまり笹川流れも、もう終わりってことだなあ。でもすぐに国道7号を離れ内陸方向へ。県境は雷峠という道を行くつもりなのだ。新潟の県道52号を登って行くと、日本国まで~kmという表示が見られる。なんだそりゃ? という感じだけど、この県境には日本国という名の山があるのだ。標高555メートルというから、ピクニック感覚でも登れる山だけど、名前が名前なので「日本国征服登山」などが行われている。その登山口には明治以来の町並みの残る小俣の集落がある。



 その東側にある雷(いかづち)の集落をすぎると、道は更に狭くなり斜度もあがる。それでもさほど登ることもないうちに峠のてっぺん、雷峠だ。日本海から東へ続いてきた道はここで途絶え、山形側へ北上する道か、ふたたび日本海へ戻る道しかない。この道は出羽街道に由来する道で、新潟の村上から庄内の鶴岡へ山間をほそぼそと貫いていくルートなのだ。この街道を櫛の軸と見立てれば、そこから櫛の歯のように日本海へ降りていく道のみがある。東側へ進むことはできない。



 さて、雷峠を山形側へ降りていくと、関川の集落へと至る。ここで庄内平野へ降りていく道と日本海へ戻る道に沸かれるのだけど、少しうろつくことにした。ここには古代布のひとつであるシナ布が織られていて、その技法を保存する施設があるのだ。そこでもキーホルダーなどの土産を買い、戊辰戦争の記念碑の残る神社へ。
 ここ関川は戊辰戦争での本州側最後の戦闘が行われたところとのこと。あまり知られてはいないけど、戊辰戦争の際に幕府側として中心のひとつとなった庄内藩は、会津藩と違って連戦戦勝を続け、討伐軍を撃破して秋田藩の多くを逆に占領するにまで至った。新政府軍が唯一庄内藩の領土へ侵入を成功させたのは、ここ関川の集落のみ。その戦火によって、この集落は長いこと貧窮を極めたことが記されていた。

 新潟側の小俣集落が「明治以来の建物」が集まっているのは、維新の際に焼き払われて再建されたから。もしかすると、このあたりで「前の戦争」つったら戊辰戦争なんではないかというくらい、その痕跡はチラリチラリと見ることができる。

 さて、再び日本海側へ降りた。そこは鼠ヶ関といって、白河の関と同じく東北への入り口。そし源義経の勧進帳の舞台であったともされる場所。今ではマリーナなんかもあってこのあたりでは大きな街区。おいしい寿司屋もあるんだけど、今回はパス。うどん屋併設?のファミマで少し休んでから北上する。

 あつみ温泉を超えた先が由良の海岸。湯野浜方面はがけ崩れで通行止めなる恐ろしい看板がたっているけど、自転車は行けるんじゃないかな、と海岸沿いへ降りていく。ちなみに、由良へ降りていかず、丘を越えて行くと庄内平野に達する。庄内藩の中心、鶴ヶ岡城も遠くはない。藤沢周平の小説のモデルともなっている町だ。


※この後ろの橋が、かつて花火大会でナイアガラの滝を吊るしていたもの。その奥は「東北の江ノ島」白山島。

 この分なら旅館の部屋から夕日が沈むのを見ることができるんじゃないかな、とか思って走る。車通りも少ないながらあるので、もしかしたら通れるんじゃないか? としばらく走ったところで、ジョギングしている人たちが居たので「人は通れますよね?」と聞くと、「全部崩れ落ちてるから無理じゃないかな?」と。マジで?



 Uターンして国道へ戻る。また10km程のロス。初めの日だし、走り初めが遅いから距離短めにしたつもりだったのに、いきなり190km。ブルベと変わらん……。小さな山を越えて、クラゲで有名な加茂水族館をかすめて湯野浜温泉。庄内交通湯野浜線の駅跡を活かした足湯広場を抜けて本日の宿、うしお荘へ到着。なんとか暗くなる前に着いた。


※とはいえ、袋小路ではなくって油戸の集落からの脱出路もあったみたい。そしたら無理に国道へ戻る必要なかったなあ。

 宿ではお風呂をもらって、お食事。部屋に持ってきていただくが、なんでも料理長がかつて自転車乗りだったということで一品サービス。ローストビーフがついてきた。全部きれいにいただくと、さすがに満腹。無料で使える全自動洗濯機で今日一日のウェアを丸洗いすると、少しテレビを見てから寝ることにした。明日は秋田まで。週間天気予報はあまり良いニュースを伝えてこないけれど、大丈夫かな……。




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コメント

*

一人ブルベみたいなもんですね。これで、練習ばっちりか。。。
岩船沖油ガス田の海上プラットフォームって、ちょっと気になってた。
2012/05/15 【inaina】 URL #- 

* わすれもの

相変わらず忘れ物大王しておりますなぁ~(笑)
私はずっとバックパック背負って走ってたので、背負わずに走った先日のロングビーチでは休憩所から出るたびに「俺なんか忘れてる?!」という感覚に襲われておりました。
2012/05/16 【ささき】 URL #u/hKjTvU [編集] 

*

>>inainaさん
あの油田の維持費を新潟県のガソリン代に乗せているという噂を聞いていたのですが、特に別の地域より高いということはなかったんでガセかな。

>>ささきさん
そもそも銀行カードを持っていかなかったという最大のピンチがあったのです(w
2012/05/16 【さとう◯】 URL #- 

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