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【落武者魂】 続・耐久試験300km
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落武者魂

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続・耐久試験300km



 泥濘をかきわけ、ついに「奥の橋」のたもとへ。
 で、この写真の奥に見えているのは、前回の「手前の橋」。
 ぬかるんだ道を行く間は、これが本当のコースなのかと、たしかに不安でもあったのだけど、楽しくもあり。
 路面に細い自転車のタイヤのあとがところどころに見つかる。それを励みに進む。どろどろの路面にタイヤが捕まるでないかと恐れながら。ときにずるりと滑ることもあるが、なんとか転ばない。
 そして、ようやく辿り着く……! あの橋のたもとへ!

 上の写真を撮ったのは堤防上なのだけど、そこも荒い砂利で舗装されてなかったように見えたなあ。
 どこが指定ルートだったのだろう? 
 写真の真中に大きなみずたまりがあるのが見えると思うけど、ここに突っ込んだら脛までつかるくらいの水深があった。ペダルの上でそれだけの深さなんで、普通に足をついたら、ひざ下くらいまであったのかも。すぐに脇へ寄せて、堤防を登った。しかしまあ、まだ1300kmしか走ってない新車なのに、こんな過酷な状況にさらさなくてもねえ……。 かわいそうなカルフィー……。



 この右側。フェンスになっているところが歩道。ここを伝って向こう岸へ。
 年配の方が歩いていました。
 あの人はどこから来て、どこへ行くのだろう……。あの泥濘を越えて。

 向こう岸はこんな感じ。



 延々と、横風を受けながら一直線に突き進む。意外とディープリム(フロント45mm、リア65mm)でも問題ない。強い横風を受けると抵抗をぐんと受ける。ただ、突風は怖いこともある。特に気を付けないとならないのは、建物に遮られて一瞬で風向きが変わるとき、それと大型車が横を通るとき。でも、ディープリムでなくても、そういうときは風に煽られるからなあ。

 さっきのPCで多めにカロリー摂取したおかげか、気分的にも乗ってきてぐんぐん行ける。結構楽しいくらい。
 ただ、この写真だと綺麗な路面に見えるけど、震災一年で応急措置した路面が崩壊しているぽいところや、舗装を全部はがしてやりなおしていたりするところもあった。そうだ、道路を横断するようにキャットアイが並べられているところがあって、それは結構ヤバかったな。
 無心になって二時間ほどペダルを回し続け、銚子の街へ。



 ここは歩道側を行くのが正解だったみたい。もう何度目かわからないミスコース。
 無駄に街の中を走らされてから、コースへ復帰。

 銚子の海側をぐるーりと回っていくルートだと思っていたら、そうではなくて高台をつっきる形だった。やっぱりここでも、行きすぎてから戻ってくる。高台へあがる道をよれよれと登っていると、道路脇に自転車を直している人が。どうしました? と声をかけると「ディレイラーを破損した」とのこと。見ればリアディレイラー(後輪側の変速機)がもぎ取れている。
 チェーン切りはありますか? と問うとそれは大丈夫とのこと。チェーンをつめてシングルスピードにすれば、まだ行けますね、と言うと、苦笑いをしてすでにDNFの連絡をしたとのこと。たしかに、ここなら駅もすぐ近くだし、天候もあまり回復しないしで、それも止むない選択かも。

 PC2にたどり着いたのは午後五時くらいだったかな。九時間が経過している。
 でも、通過チェックのスタッフの方は、まだ20人もここまで来てないと言う。DNFの方はちらほら出ているようだ。つうか、まだ20人って、そんなに遅いわけない。抜かれてるほうが多いし。
 みんな銚子かなんかでうまいもの食ってるんだろ……。くそう、僕も食っとけばよかったよ、刺身定食。
 このPCには出発しようとしていた竜胆さんがいたので、ちょっと話す。つうか、脚力の違いから絶対に追いつけるはずないのに、と話すとパンクとかしてたようだ。そうか、パンクか。もう一年くらいパンクとは縁がないなあ。もうパンクなんかすることはないんじゃないかなあ。
 ニューエコノミー論でも言ってたな。景気の循環理論は終りを告げ、永遠の好景気が続くのだって。



 雨が、少し弱くなっている。
 風も、少し弱くなっている……ここから追い風に乗れると思っていたのに……。
 ……まだ風は残っているけど、佐原よりは暖かい気がするぞ? 日中がもっとも低気温なのは予報通りだけど、実感できるほどとはなあ。



 ぬれ煎餅を販売して路線を維持しているローカル線。かわいい。

 銚子からはドーバーラインなる道を走る。海岸沿いの断崖上につくられた道だ。名前はイギリスのドーバーの断崖から取られているんだろうけど、スケール的には1/35というか1/48というか。
アップダウンもあるのだけど、むしろ、ひたすら風が怖い道だ。



 以前は押して歩いた。なにしろ、立ちこぎしようとしたら、前輪が浮くほどの風だったから。
 今回はそこまでひどくはない。ふつうに漕いでいける。
 いったん道は交通量の多い国道につながり、飯岡で九十九里ビーチラインへ。海の見えない事で有名なビーチライン。あと80kmほど、これをひたすら進む。

 雨はまだ降り止んでいない。
 風は収まりつつあるけど、追い風。
 それほど悪いコンディションではない。静かな夜の道を25km/h~30km/hくらいで走り続ける。こんなに長く独りで走るのは久しぶりだ。細君と、あるいは見知った顔と走るのも楽しいけど、独りで走るのも嫌いではない。自分のペースで、勝手気ままな気楽なライド。前にも後ろにも誰もいない。
 全体平均速度も18km/hの後半に戻ってきた。このままペースを戻して行けば、16時間台には戻れるかもしれない。つうか早く帰りたい。なんだか、雨じゃない白い小さなフワフワしたものがライトに照らされて、舞っているし。どんどん楽しくなってきた。

 残り距離が三十数kmになったあたりのコンビニでトイレ休憩。残り距離はこれで100kmを切ったはず。まあ、あと五時間ってとこかな。日付が変わる前には帰りたいものだけど、それは難しそうだなあ。
 いずれにしろ、気分的には余裕な感じ。ブルベを始めた頃は、PC以外ではけして休まないほど気合入っていたけど、今はもうそんな肩肘張ってない。力を抜いてゆるく走る。

 温かいものを飲んで走りだす。
 残り一時間半くらいかなあ。そういや、このへんは歩行者多いなあ。暗いのになあ、とか思っていたら、道路の真ん中にでっかい穴が。必死で前輪だけ持ち上げて、しかし次の瞬間に「バッカーン!」と後輪がたたきつけられてしまう。
 視界の左側、歩道に何人もいるパンク修理の人たち。
 まさか……! と思った頃には、リアからゴロゴロという感触が。
 パンクした! 一年ぶりの! パンク! まさか、こんなところで!
 ニューエコノミー論が破綻した!

 カーボンのリムをあんなに激しく叩きつけて大丈夫なのか。そういう心配も頭をよぎるものの、とりあえず自転車を押しながら、さっき見たパンク修理の人たちのところまで押して戻る……。



 扱いにくいクイックシャフトを緩め、リアホイールを外す。ざっと見た感じでは損傷はなさそう。リムのふれも無い。えらいぞWheelbuilder.com。もっとも、暗い場所だし、内部でヒビが入っていたりしたらわからないけど、どうしようもない。このリムのメーカーはダウンヒルバイク用のリムも出してるんだ、この程度なら大丈夫だ、と信じるしかない。
 一瞬絶句したのは、工具袋をバッグから出した時。チューブはこんなこともあろうかと、三本も持っているのだけど、バルブ長がミドル。タイヤの中にはめて空気を入れるチューブ。その空気をいれるための飛び出している金属の細いパイプがバルブ。そこの長さはいくつか種類がある。
 僕が携えていたのは38mmのミドル。
 でも、考えてみれば、この自転車のリム高さは45mmと65mm。
 血の気がひく音が聞こえた。
 リア側は延長バルブを使うにしても、それでも足りるかどうか(フロントだったら完全アウトだった)。
 そういや、Grand Tour Double Centuryでも、ミドル高のリムにショート長のバルブのチューブを持ってって、涙目になったことあったな。あれから、ストックしとくチューブはミドル長バルブで統一してたんだった。規格統一というのは、難しいものだな……。

 背筋をぞくぞくさせながらも、まずはやってみるしかない。
 タイヤを外そう……とするのだけど、握力が失われていてタイヤレバーがうまく使えない。
 なんどもタイヤレバーを弾き飛ばし、時間をかけてようやっとチューブの取り出しに成功。延長バルブを付け替えて試してみると……。ほんの5mmほどだけど、リムからバルブの頭が出る! ネジ山が出ていれば、なんとかくいこませていけるかも。
 LEZYNEの空気入れは、バルブのねじ切りにねじこんでいく構造なので、こういうときには有利。なんとかくいこませて空気を入れる。入った! これでよし。空気を入れてホイールを自転車にはめる。
 僕よりか前に来ていた方が、四苦八苦していたのでお手伝い。空気が入ったのを確認してから店じまいをして、走り始める。

 けっこうな時間をくってしまった。
 やがて……違和感に気づく。
 ヘンな振動。
 ヘンな音。

 泥よけがタイヤにこすれているのかな、と自転車を停めて確認。
 うーん、これは……。
 ディスクブレーキのローターがこすれてる? ブレーキを引きずってるのかな?
 クイックを開け閉めしたら、普通に回転するようになったので、走りだす。
 けど、しばらくすると同じ症状……。

 交差点で自転車をとめ、キャリパーの位置調整をはじめてしまう。
 おそらく、これは間違った選択だった。
 ディスクブレーキの調整はシビアだ。暗い所でやるもんじゃない。
 そもそも、キャリパーがずれちゃうことなんて可能性的に低い。
 ローターが歪む可能性の方が高い。
 それよりももっとありえるのは、単にホイールがキチンとはまっていないこと。
 この自転車を組み立てた時も、そうだったじゃないか。
 だのに、やっかいなことに手を出してしまった。
 よりによって、この深夜。感覚の無い手で。
 それから先は、5kmほど進んではリアまわりの調整をしながら進むことになった。
 しまいにはグローブのつけはずしさえ面倒くさくなって、素手で走った。気温は3度も無いのに。
 風がほとんどやんでしまったおかげか、ちっとも寒く感じなかった。
 たぶん、感覚が死んでいたから。

 最後のPC。残り六十数キロ。
 かなり気分的には参った感じ。ホイールのつけはずしで症状が緩和されるのに、暫く走ると異音がしだすということの繰り返し。ローターの歪みの可能性もあるけど(ざっと見るかぎりでは、そんなことないんだけど。家に帰ってみたらほんのコンマ数ミリ歪んでいた。でも、もともとの歪みかもしれない)、つけはずしで改善されるってのがなあ。
 だとすれば、ホイールをとめるクイックが原因のひとつじゃないかなーとか思い始める。
 そういう懸念をいろいろ考えてコンビニをでたら、あんまんを買うのを忘れていた! ケースで温まっているのは確認していたのに。
 もうどうにでもなれとウィダーインゼリー二個で我慢することに。そしてこのコースの山場、房総半島横断に入る。

 暗く細い山道をゆく。
 まっくらい山中にトンネルだけが明るかったりする。房総半島はトンネルを掘るには土の質がよく、昔からよく隧道が建設されたようだ。雨はすでに上がっている。これだけが救い。

 気にしなければいいと思いつつ、やっぱり気になってしまって、ちょくちょく道端へよせては、ブレーキの調整の繰り返し。通りすぎる車が戻ってきて、大丈夫かと声をかけてくれたこともあった。道端で眠っている参加者もいる。



 道から少し離れた公園に、ひときわ明るい街灯をみつけた。
 そこへわざわざ立ちよって、調整している場面が、上の写真。
 新型機だものしょうがない。タンデム自転車だって、はじめのころはフロントディレイラーを吹き飛ばしたり、チェーンをぶちきったりって、あったものな。ネオプリだって、ライト巻き込んだり、やっぱり変速機を吹き飛ばしたり。F35だって、オスプレイだって新機軸満載の機体はみんなそうじゃないか。
 そうやって人は経験を積むのよ。きっと。
 うんざりだけどな。

 そういえば、アキレス腱が痛い。しかも両方。
 まいったなあ。
 これはポジション調整かなあ。

 ゴールしたのは、予定を大幅に過ぎた午前二時過ぎ。十八時間オーバー。最後はエネルギー不足でとにかくきつかった。どんどん体が冷えてくるし。
 PC4では「案外あったかい」とか思っていたのになあ。
 スタッフのかたからスープをもらう。手がかじかんでいてしまって、箸さえうまくつかえない。あそこであんまんを食えなかったことが、ここまで響いてくるとはねえ。いやはや、くたびれちゃった。
 なかなかお得なライドだった。

 二日たっても、まだ握力がもどってこない。
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コメント

*

お疲れ様。

激闘の果てのゴール 何も言えません。
2012/03/13 【とどにい】 URL #- 

*

メカトラブルさえなければ、楽しいだけでしたね。
おまけがついてさらに倍でした(w
2012/03/13 【さとう◎】 URL #- 

* ディスク

やっぱりディスクは油圧ですよ。
引きの軽さもそうですが何よりセルフクリアランスなので調整いらず。
今回のように途中でおかしくなっても自動復帰です。
スラムやコルナゴがロード用のディスク装備車に油圧を採用しているものこの優位性だと思います。
フォーミュラがシマノの電動に対応してる油圧システムのレバー出してますよ。
感じ悪い自転車にはぴったし!w

あと、クイックですがうちも自転車の異音で悩みぬいた結果がクイックだった事があります。
サードパーティー製のはそれ以来使わない。
数グラムの軽量化よりも信頼性重視。
カンパかマビックの上級グレード用のクイックしか使わなくなりました。
2012/03/13 【ksk】 URL #- 

*

油圧だとデモンタブルできないじゃないですか(w
とりあえずローターがほんの少しゆがんでいたようで、手で修正しました。早朝に10kmほど走ってきた(住宅街をうろうろ)範囲では大丈夫そうです。

クイックももちろんかえました。
家に転がっていたマビックとXTのやつに。

テクトロも電動油圧のレバーを試作しているみたいですね。
2012/03/13 【さとう◎】 URL #- 

*

「みんな大好きモノタロウ」に油圧ホース用ワンタッチカプラ売ってるYo!
1ダース買っておけば安心!

マジレスだと油圧は調整不要なのでキャリパー外してホースを巻いて輪行だそうです。アーレンキー1本。ワイヤーを切るより楽みたい。
2012/03/13 【ksk】 URL #- 

*

油圧は誰かに人柱になってもらってから考えます。次世代機に。一〇年後くらい。
2012/03/13 【さとう◎】 URL #- 

* NoTitle

テストコメント
2012/03/13 【無管理者】 URL #- 

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