40数年ぶりの遅い雪!アソス戦隊フグレンジャーに出動命令が下った。中国奥地で大地震、ヨーロッパでは火山の大噴火、そして日本にも迫り来る天変地異の前触れ。これを食い止めるため、ただのブルベライダーサトウは、フグレッドに変身して埼玉400kmを走りきらねばならないのだ。そして今回はお米の国から来たマシュー君と初の400kmブルベ完走を目指すPさんの護衛ミッション。その課せられた使命、「全引き」にフグレッドは耐えられるのだろうか・・・。
朝起きると、やっぱり雪。駐車場も雪。このまま雪で駐車場からクルマを出せなければ言い訳ができるのに・・・と思うも、フグモービルは難なく動き出し川口のスタート地点へ。そこには既に5台ほどの参加者のクルマとスタッフのテントが。雪は雨に変わりつつあったも、大粒だ。しかし既にレインジャケットにレインパンツ、ウォータプルーフソックスにシャワーキャップまで装備したフグレッドに死角無し。正直「温かい」。さっそくスタッフの元へ行く。もしかしたら中止かもしれない、そしたら「俺は走りたかったけど、中止だからな」と言えるのに、と淡い期待を抱きつつ・・・もちろん打ち砕かれた。ただDNS連絡が多いので分離スタートをやめて9時スタートへ集約するとのこと。ここにサインしろというのでサインしたが、その紙は「私はルーピィであることを認めます」というものだったようだ。

泥だらけのスタート地点から75名の阿呆共が走り出す。土砂降りの中。でも2時間ほど走れば止むはずだ、と思っている間にも雨はやんだ。埼玉を出て千葉へ向かい、向かい風の中を北上していく。風が雲を吹き飛ばして、晴れてさえいる。しかしときどき振り向くとpさんが小さくなる。あれれ、どうして小さくなったのかなと思うと、脱落していっているのだ。こっそり増速しても騙されないようだ。途中60km地点くらいのコンビニで水の補給とフグレインエキップメントを外す。レインジャケットとレインパンツなんていう大物をどこにしまうのか。大丈夫、ウーゴ博士の開発したフグバイクには巨大なフグバッグが装着されていて工具その他一式、護衛任務失敗時の輪行袋、替えのグローブや靴下、さらにレイン装備をしまってなお余裕があるのだ!このとき、フグバイクは通常の1.75倍の衝突破壊力を発揮するのだという!

ようやくPC1に到着。前回の同コースから3時間ほどの遅れ。クローズタイムに1時間ちょっと。次は山岳セクションだけに、このフラットセクション110kmで時間を稼げなかったのは辛いなあ。とりあえずミートソーススパゲティを食べてエネルギーを回復。山へ。しばらくはのどかな谷あいの集落。水量の豊富な川沿いに道は続く。桜もしっかり満開で、おそらくは今回のライドでもっとも素晴らしいビューポイントだろう。後半は闇の中だからなあ。


山を登る。路面には雪は無さそうなのは助かる。北側斜面には雪が残ってるんじゃないかなと思ったが、路面は濡れているだけでクリア。ひとつめの峠を降りて小さな集落を抜けるところで遅れがちになったマシュー君に問う。
「次のPCのあたり(日光)がリタイヤするには良いポイントだけど?」
「へえ・・・・えっと何に対していいポイントだって?」
「リタイヤ」
「ノー!」
その意気やよし。わかった、とこのコース最高標高を目指す。このあたりから俄然Pさんが元気よくなり、峠はぶんぶん飛ばす。マシュー君も、トルクで踏むのをやめて回し始めるとそんなに遅れはしない、というか重量級のフグバイクが遅い・・・。こ、これはフロントトリプルが必要なのでは・・・。

そんなときにマシュー君が僕の後輪にはすって落車。減速のサインと掛け声を出していたので多少は速度が落ちていたが、ちょっと斜度のある下りだったので落差のある転倒になってしまった。とりあえず骨折、機材の破損などは無さそうだが・・・。ウェアも破れてはいない。痛み、はありそうだけどこの山奥でできることも無い。走れるとのことだったので、先へ進む。寒い。こんな山奥にも人が住むのだなという場所にも家があって美しい花が咲いていたり。だんだん暗くなってきた。早くこの不穏な場所を去ろう。

小さなダウンヒルがあり、日光駅へ。一応、駅であることは伝えるが、リタイアなどの意志は無さそうだったのでPC2へ向かう。クローズタイムまで1時間弱?だっただろうか。よく覚えていない。何を食べたかも覚えていない。マシュー君ががくがくぶるぶる震えていたことは覚えている。
PC3へは大きく下り基調。ここで速度をつんで時間を稼ぎ、後半にそびえるビーフラインと道祖神峠という敵に備えたい。日は沈んだ。速度を稼ぐためには・・・フグライト!説明しよう、フグバイクに備えられたフグダイナモはペダリングエネルギーから数ワットを得ることにより、強力な光量を前方に投射することができるのだ。そしてその持続時間はフグレンジャーが倒れぬ限り続く・・・。さらに下り坂にはフグダイブ、交差点ではフグクロスなどの必殺技を連発し、PC3へ到着時には2時間弱の余裕時間を持つことができた。Pさんはなぜだかどんどん元気になるのだけど、マシュー君は寒さに凍えて今にも死にそう。膝と肩を腫らし、踵をサポーターでがっちり固め、消炎鎮痛剤を連投しながら寒さに震えて真っ青な顔で、なぜ君は走るのか。しかし、そんな阿呆共だけがたどり着くことのできるニルヴァーナがきっとあるに違いないのだ。
つづく・・・
おまけ フグライトのひみつ

フグライトはフグダイナモによって発電されるエネルギーを使った強力なぜんしょうとう。上の画像を見て欲しい。中央下をぼんやり照らす縦長の楕円、それがフグライトの効果だ。Pさんの一般的なライトに比べるとセンター部分の明るさは劣るが、全体の大きさとそこにまんべんなくてらすパワー(ちから)がすばらしいのダ。しかもフグパワーをエネルギーとしているため、電池はいらないぞ。でもフグレンジャーが死んでしまうと消えてしまうのがじゃくてん。ちなみにシュミット(しゅみっと)はかせが作った小径車(ミニベロ)用のものなんだ。だから軽いぞ。
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