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【落武者魂】 GRR1200km 新曲誕生の巻
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落武者魂

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GRR1200km 新曲誕生の巻

「それぞれのペースでばらばらに走る。それも自然なことだ」 ケン・ナットソン 

 Davis CreekのCPは草原の中にあるカフェの庭。まずカフェに入ってトイレを聞く。店内にいたカウボーイたち(本物のカウボーイだ)が「どこから来たんだ?」と聞いてくる。「Davisだ」と答えると「UC DavisのDavisかよ!」とぽかーん。でもごめん、僕はトイレへ急いでいるんだ。

 トイレをすませて通過チェックを受ける。10時前に折り返し。なんとか600kmを40時間で走ることができた。食べ物も盛りだくさんだが「なにもお腹から出てこないように、なにも入れない作戦」を実施しているので、何も食べることができない。この長丁場のど真ん中で自分にたいする焦土作戦を実行せざるをえない状況に至った原因である胃腸のなんというふがいなさ、なんという情けなさ。Alturasへ戻る間に20人ほどのサイクリストとすれ違い、声をかけさせていただく。まだこんなにいるのなら、がんばんないとな。

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オクスリアリガトウ!

 Alturas(戻り)でも何も食べないが、トイレへ行くだけで結構な時間(約一時間)をとられてしまう。それでもここはトイレが二つもあるので助かる。そうそう、行きのこのCPでピーターに「腹が痛い」と言ったら「腹痛か?ガスか?」と聞かれたので「ガスだと思う」と答えると、サドルバックからなにやら薬を出してくれた。12時間ごとに一錠飲めと。なんというありがたいこと。そういえばKellyもSD600のときに薬をくれたな。腹にガスがたまるというのは一般的なことなのだろうか?そして対応法も一般的なのか?

 コースへ復帰すると日差しが厳しい。そして眠い・・・。CPでトイレをすませるとしばらくは問題無いのだけど、1時間もたつとふたたび便意がやってくる。なんなんだよこれは。サニーナを持ってきておいてよかったよ。そのうちケツが擦り切れてなくなっちまうところだった。サニーナはウォッシュレットの普及によって売り上げを落としているそうだが、ロングライド用としてもう少し小さな容器を販売したら世界で6人くらいには売れまくりそうな気がする。あるいはTOTOが超小型軽量清潔なハンディウォッシュレットを開発してくれないものか・・・。

 帰りもやはり、絶え間無い路面の段差に便意を呼び起こされつつ、かといえ腰も浮かせず・・・という地獄が続く。この地獄は修羅界と餓鬼界の間にある便界というもので、人間界で弁解ばかりを続けた者が堕ちる地獄とされている。

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 Adin Passの手前で暑さが耐えられないのでウェアを脱いでいると、オードリーが「休んでる場合じゃないわよ!」と檄を飛ばしながら走り去っていく。彼女は SDの400と600で一緒に走ったサイクリスト。400で「私たちと行くのかどうか」と聞いてきたのがたぶん彼女だ。と、僕が自転車にまたがる間には地平線の向こうへ消えて行ってしまったが。

 Canbyという小さな集落にガソリンスタンドが見えたので、少しコースを離れてトイレを借りる。トイレをすませるとサンフランシスコジャージを着たふたりのサイクリストも休憩のためにやってきていた。ひとりは緑色のおもしろいツーリングバイクに乗っている。フェンダーなどはツーリングっぽいのだけど、ディスクブレーキなどの装備がなんだか仰々しい。本格的なツアラーだ。

 彼らと一緒にスタートするものの、すぐに引き離されてしまう。ついてこいよ、という雰囲気だけど、無理です、と脱落。いつどこで野クソに走るかもしれないのに付き合わせるわけにもいかない。

 闇の中、眠りながら越えたAdin Passを反対側から越える。北側からの方が斜度は厳しいが29Tのパワーにはかなわない。心はすでにAdinの先にあるEagle Lakeの四つの峰に。その巨大な不安に立ち向かいながらAdinへ入った。

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 Adinでもしっかりトイレ。子供たちがアイスクリームを配っていて、それだけ少しもらって食べるのはよそうと思っていたら、子供たちのお母さん(かつ何人かの子供にとってはおばあさん?)が「外国人と子供たちの通訳をかってでなくちゃ」とばかりにいろいろとおすすめをしてくるので、ターキーのサンドウィッチを頼むことに。僕が席に着いて食べていると彼女がやってきて、いろいろと話してくれる。娘夫婦が北海道にいるんだ、とか。本当は早く発ちたいのだけど、こういうコミュニケーションもうれしい。スタッフへ出発報告をするついでに「ここからさきの4つの峰が嫌いなんだよ」というと、「こちらからだと大したことないんだよ」とのこと。ほんとかよ。

 さっきのサンフランシスコジャージのふたりとしばらく一緒になる。ついてこいよ、と言われるが、自分のペースでいくよ、ありがとうと返す。行きは一個のピークにつき1時間、ピークごとの合間に1時間かかって8時間。そして18時に出発して二つ目の登りで日が沈んだ。なら16時半にAdinを出発した帰りは「多少楽」も含めて3つ目くらいまでは明るいうちに行きたい。そうすればあまり冷え込まないうちにSusanvilleへ戻ることができる。

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 果たして帰りの方が楽であった。途中の小CPでピザを食い、それから走っても三つめまでは日が残った。問題は胃腸だけで、イーグルレイクを望むあたりからじわじわ(というかきゅーっというかびりびりというか)症状があらわれる。しかし日中何も食ってなかったおかげで何もひねり出せるものがないようだ。けれど油断していると腸内粘膜が排出されるので気をつけないとならない。しかしいい加減腹が立った。腹に腹が立ったのだ。誰もいない薄暗い荒野で僕は腹に文句をつけはじめる。ちょうどこんな風に。
「おまえさあ、痛い痛い言ってなんなの?ばかなの?あほなの?痛いとか辛いとか言うのは誰にでもできるんだぜ。痛いから何とかしないと漏らしちゃいますよ、とかふざけるんじゃねえ。膝とか足首とか見て見ろよ。苦しくたってなんとかやっていこうとしてるだろう?みんなで1200km行こうよってがんばってるわけじゃん。それがどうよ?おまえはさ。いつもいっつも昔っから”あ、くだっちゃいますー”とか”急にきましたー”とか、少しは自分でなんとかしようと思わないの?1200走るために少しでもエネルギーを吸収してやるぜ、とか思わないの?なんだよそれ。お前の仕事は何なんだよ・・・」


文句たらたらAntelope passにたどり着いたときにはもう真っ暗。ここを耐えきればSusanville。しかし・・・また睡魔がやってきた。ふらふらふらふら登る。坂もだらだらだらだら続く。そうだ、今回は歌が少ないな。歌を歌おう、となぜか津軽海峡冬景色を歌い始める。そのうち「さよならあなた」が「さよならブルベ」になり、疲労と眠気でなんだかおもしろくなってきて歌詞がだんだん変わっていく。そう「GRR千二百」の誕生であった。

ここで紹介しよう。暗闇の中Antelope passと最後の平坦区間で作詞し続けたブルベ歌謡。寒さと寂しさの中にブルベサイクリストたちの孤独と誇りが謳いあげられます。さあ、歌っていただきましょう!「ゴールドラッシュランドナーズ 千二百」!

Davis発の夜行列車降りたときから
Tobin resortは闇の中
北へ向かうブルベの列は誰も無口で
ギア鳴りだけが響いてた
わたしはひとり GPS 見つめ
600キロ先のDavis creek見つめ泣いていました
嗚呼 Gold Rush Randonneurs 千二百

ごらんあれがDvisCreek 北のはずれと
見知らぬライダーが指を指す
闇の中をEagle lake越えてきたけど
涙でかすみ よく見えない
さよならDavis 私は戻れません
Janesvilleが立ちはだかる
歩けとばかりに
嗚呼 Gold Rush Randonneurs 千二百

さよならブルベ 私は戻れません
向かい風が立ちはだかる 残り300
嗚呼 Gold Rush Randonneurs 千二百



 起きているのか眠っているのか進んでいるのかさえよくわからない闇の中をAntelope passを越えて下る。下りのスピードをいくらあげてもスピード感がない。路肩の反射材が遠くから少しずつ大きくなり、視界の右へ消えることの繰り返しを「前進している」と認識するのさえ難しい。ワイヤーフレームの時代のテレビゲーム(ex.光速船)さえ、この現実よりは表現力豊かだった。しかし、そう、これが現実なのだ。

 7時間かけて山場を越える。SusanvilleのCPには到着連絡だけで流してモーテルへ向かい休息する。4時間もの睡眠・・・。ありがたいありがたい。

つづく
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