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【落武者魂】 Oldtown1000kそのよん

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Oldtown1000kそのよん

 zucchaさんが以前日記で触れていたように、600以降のタイムは走り続けていれさえすれば、どんどん貯金される。でも走り続けられなかったりする。雨だったり機械不調だったり、パンクだったり・・・寝坊だったり。サインディエゴのCPを出発する時点でCPクローズから6時間以上の遅れ。それまでぶつぶつ文句を言っていた175kmもあるCP間距離が僕に最後の希望を繋いだ。走る距離が長ければ長いほど、回復できるタイムも増える。しかしそこにパンク。通りすがりのサイクリストの助けを得ることができたものの、あと100kmちょっとを5時間弱で走らなくてはならない。すでに800km弱を走って来ているのに!

 でも、残念ながら、タイムアウトまでは可能性が残されている。だから走るしか無い。幸運なことは睡眠はしっかり5時間以上も取ったということだ。そしてこの道は単調ながらも勝手知ったるPCH。僕のフィールド。やってやれないことは無い。そして必ず戻ってやる。

 ダナポイントからニューポートビーチまでの嫌らしいアップダウンは割愛。そこから60kmほどフルフラットの海岸通りが続く。残念ながら都合良くクラブライドの集団も現れてはくれないので、一人下ハンを握りっぱなしで漕ぎ続ける。ペダルを回し続ける。走り続ける!

 アメリカ本土でのサーフィン開闢の地、ハンティントンビーチを抜け、米軍弾薬庫地帯を抜け、シールビーチへ。通りにはたくさんのバイクショップがあるのだけど、祝日とあって全て閉店。さっきもらったチューブが最後の命綱だ。気温は高いが強い横風で汗が吹き消されている。シールビーチの先まで行けば内陸へ向かうCR。その入り口での時間は午後3時半。15milesほどを1時間かかるとしても4時半にはCPへ到着できる。

勝った!

 どら焼きを食い、CRに入ると、向こうからRUSAジャージが。ジョーンだ。お前も生きていたか!俺も生きているぞ!満面の笑みですれ違う。時間差はだいたい2時間ほどだろうか?

 CP付近で飯を食うかどうか考えたが、結局止める。飯を食う、寝るというのは結局「停止」にすぎない。停止している間は1mmも進まないのだ。時速10kmでも動いていれば1時間で10km進める。だから僕は休まない。残り175km、その距離すべてを踏み倒す。

 一気にタイムアウトへの恐怖は無くなった。なにしろ残り15時間もある。今日中に辿り着けるかどうか、あとペンドルトン周辺の自然保護区域を日のあるうちに通過できるかが勝負。ペンドルトンをすぎたところで晩飯については考えよう。

 行きにあったアドレナリン全開モードは終わってしまっているものの、ある程度のペースを保って走り続ける。やっぱりニューポートから始まるアップダウンには辟易するものの、午後7時頃にはパンクした地点へ。原発をすぎてペンドルトンに入る頃にちょうど日が暮れた。真っ暗闇。   の中に急に人影があったりするので侮れない。結構怖い。あと野生動物。ネズミやウサギがひょこひょこしているのはいいのだけど、マウンテンライオンが人を襲ったというニュースも聞く。滅多に無いことなのだろうけど、こんなところで仮眠はできない。夜の町も同様だ。夜の町でほっつき歩いている人間が安全かどうかは判断つかない。特に、明日は平日なのに深夜まで出歩いている連中は危険と判断した方がいいだろう。ここは日本の飲屋街ではない。町中のコンビニの前でひとり仮眠をするのだってリスクがある。だからクリスは必ず女性ライダーをサポートして走るのだ。

 アメリカの夜は早い。普通の店は8時9時には閉まってしまう。ファーストフードはドライブスルーだけ開けていたりして、自転車乗りも歩行者もそちらへ回される。ペンドルトンをなんとか抜けた僕は、飯を食うかどうかの判断をしなくてはならなかった。行きはあれだけで行けたのだから、この際飯無しで残り80kmくらい走れちゃうんじゃないだろうか。飯を食うための休憩の間は進めないのだから、ペースが落ちても止まるべきではないのでは?

 と思っていたが「Pizza」の文字のあるコンビニで思わず停車。あったのは指しておいしくもないインスタントピザだったけど、とりあえず腹に収め、水を補給。行きに繰り返した海岸沿いのアップダウンを一個一個ひねりつぶす。このまま行けば午前1?2時には到着できるはず。よし、あの皆殺しの坂を皆殺しにしてやる。待ってろよ!

 ふと思う。ゴールの受付はずっと待っているんだろうか?タイムリミットは朝9時。誰かが「うーん、朝9時ぎりぎりでいいやー」って途中で休まないとも限らない。そのときもスタッフは(マイクは)ぼーと待ち続けるの?どこで?本当はさっきのCPで連絡入れとこうと思ったのだけど、ストリークイーグル仕様にしたときに誤って携帯を置いて来てしまったようだ。たぶん、ジョーンが先着して「ジュンは2時間か3時間後ろにいるよ」と伝えるだろうとは思うけど(彼は晩飯を食ったのだろうか?)。

 そうやって最後の皆殺しの坂が見えるところまで来る。なんか、遠く木立の間からクルマのライトではない明かりが動いているのが見える。こんな時間に自転車?強力そうなLEDの明かり。ジョーンに追いついたのだろうか?坂に差し掛かり「ブチコロース!」と叫んで29Tをクルクル回す。やっぱり自転車が先行しているようだ。赤い光がちらちら見える。しかし追いつけない。しばらく死ね死ねつぶやきながら登っていると、その明かりがクルリと反転してこちらへ白いLED光を投げかける。え?なんで?自転車が降りて来るの?こんな時間にこんなところを走っているサイクリストなんて尋常じゃない。サイコ?おれ、殺される?

「ヘイジュン!だろ?」
声をかけて来たのは主催者のマイク。心配だからか(まあ言葉もろくにできない外国人がドンケツを走ってるわけだし)暇だからか(ひまだよな)様子を見に来てくれたよう。残り30km。もうどうという距離でもコースでもないけど、これほど嬉しいことは無い。彼と並走しながら他愛無い話をする。GRR に出るのかい?と聞くとブルベスタッフとしての仕事が手一杯でとてもとても、ともこと。昔佐世保や横須賀に行って働いていたことなど。PBPはどうするの?と聞かれたので「行くつもり」と答えると「これを走り切れたのなら大丈夫、この1000kmを超えられたらなんだっていけるさ」と言われる。「ありがとう、信じるよ」と答える。あとはやっぱり皆、家族とブルベ(や他のロングライド)との折り合いをどう付けるかがひとつのテーマであることや、ブルベ開催のためのボランティアがいかに大切かなどを聞く。

 モーテルの並ぶ通りへ続く坂を登り、僕は両手を上げてゴール地点へ入る。マイクが時計を見て告げる「1時13分。67時間13分ってとこかな」。


 こうして、僕の初めての1000kmブルベは終了した。
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