※蓮花世界の朝。温浴とか書いてある幟もあったんだけど、いったい何の施設なんだこれは。写真撮影場所左手はバイクショップです。24時間開けていてくれて、装備を購入できました。整備もしてくれたかも。
※ご飯と麺。カレーと肉スープが用意されていて、自由に組み合わせて食べます。これが意外にも超おいしい。5杯も食った。いちおうパンもあった。
※蓮の庭園。菩薩が見つめるものは何か。つうか、ここなんの施設なんだよ?
※出かけに見つけた張り紙。GRR1200の最後の方のPCで、シャワールームへ向けて「浴室」って書いてある手書きの張り紙があったのを思い出す。ちなみにそのときの日本人参加者は僕だけ。
季節風によって強烈な向かい風になるはずが、そうでもない。危惧されていた雨もなさそうだ。どうもこの1000kmが開催されていた三日間、例年よりやたら気温は高いし、風は吹かないしで、ちょっとした異常気象だったようだ。ちなみに、このブルベが終わった日から気温はぐっと10度近く下がり、風がぶんぶん吹き始めた。
正午が近づくにつれて気温がぐんぐん上昇していく。
ぽたぽたと汗を落としながら、台南の都市圏へ入っていく。前方にマクドナルドが見えたので昼飯がてら少し休もうかと話していると、対向車線で参加者の一団が大きく手を振って僕等を呼ぶ。こんなところがPCじゃないだろうし、シークレットPCでも無さそうだ。暑いから少しでも先に進みたいが、あそこまで満面の笑みで呼ばれたのでは是非もない。
行ってみれば、ここはアイスクリームの超有名店だから寄ってけ、とのこと。暑いところだったし、ちょうどいいかと入ってみれば、一個おごってくれる始末。なんというありがたさ。アイスクリームはさっぱりとしたミルク味で、その上にあずきが載っている。実においしい。他の参加者は僕らにアイスを渡すと、すぐに出発してしまったのだけど、僕らはクーラーのあるこのお店でしばらく休んでいた。
台南の都市圏を抜ける。排ガスと混雑から脱出できてホッとするが、今度は日差しを遮るものの無い幹線道路。灼熱に耐えながら走っていると、それなりにしっかりしたモーテルを見つけたので吸い込まれるようにそこに入った。1時間ぐっすり眠って再出発。あの最悪な彰化の街区に突入だ。
※これはお葬式らしい。この道路へのはみ出しようを見よ。つうか全部公道上だし。そんなことに目くじら立て無いおおらかさ。だってお互い様だもの。
※暑い!
手のひらの水ぶくれをつぶさぬように、内腿がすりむけないように。右足の裏からおしりまで神経がピリッピリッと刺激されるようになってきた。かなりストレスフル。彰化の町中のPCで冷やし中華を食すけど、これはハズレ。悪夢のような彰化の街路に戻り、交通の渦に巻き込まれながら少し進むと、マクドナルドがあったので再度休憩。妻はずいぶん機嫌が悪い。対抗して僕も機嫌を悪くしておく。
このマクドナルドは、デパートの地下にあるフードコートにあったのだけど、もう少し先に行けば普通のマクドナルドの店舗があった。デパートでの自転車の置き場所でもめたので、ここでももう少し進めばよかったともめる。つうか、マクドナルドって何よ、油っぽくてそんな食えるもんじゃないでしょともめる。じゃあ回転寿司にすればよかったじゃんよ、ともめる。ちょうどマクドナルドを出たところで通過していった台湾参加者の一団に追いつきながらもめる。
ここでこの参加者たちに混ざったことは幸いだった。行きはスクーターの流れに乗ってなんとかクリアした迷路のようなルートだが、帰路のほうが複雑。Uターンなども駆使しないと先へは進めない難しいルーティング。街を抜けたところで彼らはコンビニ休憩を取りに行ったので、ふたたびタンデム二人旅になった。さて、そろそろゴールタイムをどうするか考えないとならないな。このまま行けば、まだ暗いうちに到着してしまう。それはそれでいいし、ホテルも24時間チェックインできるように話してあるので問題ない。ただ、朝になればゴールとホテルのある淡水の間を結ぶフェリーが営業を開始するので、移動は随分と楽になる。それに明るくなってからのゴールのほうがめでたさもあるし。前に走ったオールドタウン1000kmのように、スタッフが僕一人を待っているわけでもないから、眠くなったら眠って時間調整してもよいだろう。
道は海岸沿いへ戻ってきた。
ちょっと眠くなってきたので、行きでPC2となっていたコンビニへ突入して仮眠。行きでは轟々とトラックが行き交った幹線道路も、今は静まっている。目を覚ますと、Mさんが台湾の若者を引き連れて到着したところだった。やはりここで休むのだろう。僕ももう一眠り。
このコンビニから少し先で道に迷う。高速道路の入り口なんかがあって、混乱したのだ。
なんとか正規ルートを見つけ出して北上を開始。しばらく走ると、やっぱり眠いという話になった。けれど、まだ次のPCまでは30kmほどある。そしてこの高速道路の側道にはちっともコンビニやそういった施設はない(そういえば台湾でいわゆるファミレスってみかけなかったなあ)。どうしたものかと信号待ちをしていると、コースから外れた少し先にセブンイレブンがあるじゃないか。よし、そこの脇で寝転がろうよ。
自転車を立てかけて、とりあえず寝ようと店の横に寝転がる。
しばらく目を閉じていると、人の気配。目を開けると店員さんが僕らの傍らに来ていた。こんなところで眠るなということかと思ったが、起きなくていいと手で制された。そして脇に抱えていたダンボールを裂いて地面にしいてくれる。なんという親切。ありがとう、ありがとうと言うが、気にするなというゼスチャー(だと思う)。さらにそこで寝ていたら、スタッフジャケットまで持ってきてくれて、僕らにかけてくれた。こんな浮浪者の行き倒れのような僕等に、コース上にあるわけでもないコンビニの店員さんがかけてくれた情け。ありがとうという言葉しか無いのが、申し訳ない。
※マット代わりに用意してくれた段ボールと、布団代わりのジャケット。ほとんどホームレスみないなもんなのに、こんなにやさしい。どうやってこの恩に報いよう。
※このナイスガイに感謝。
ここから次のPC、最後のPCまでは、このありがたみを何度も咀嚼して走った。どこかで休憩していたI氏とT氏と一緒に最終PC。空が白むころに出発。前半は高速道路の側道で、陸橋に登ったり登らなかったりでミスコースを繰り返したりしながら桃園、観音、それから出勤ラッシュの逆走車をかわしながら八里。最後の最後でふたたび市街地に入る。そのさきにある博物館の前に設置されたブースでゴール。受付を済ませると、シールをもらうことができた。いつも通り訪れるすばらしい解放感。もう走らなくていいという、この快感。これを味わうために走ってきたんだなあ。
※逆走車ジェットストリームアタック! 車さえ逆走してくる!
今回の1000kmのコースは、台湾の知人さえ「コースに魅力がない」と言われちゃうようなルート設定。たしかに風光明媚で爽やかサイクリングというわけではなかったけど、市井の人々の生活や、その信仰のあり方などの真ん中を抜けていくルートであった。特に南部の方のごちゃごちゃとしたいかにもアジア的な活気のある街や、無数の祠などはどこまでが土着で、どこからが近代化されたものかよくわからない混沌としたものを感じることができた。
※コンビニのレシートが多すぎてチェックが大変そう……。
交通状況は最悪に近かったけど、長大なホイールベースを持つタンデムを振り回して問題なく走り切ることができたのだから、その程度のものだ。時折、トラックのドライバーや、スクーターの人から「加油!」と声援も受けることがあった。すばらしい景色を楽しむことはできなかったけども、すばらしい人々の心に触れることはできたと思う。
※フェリーで淡水の町へ帰る。終わった……。もう走らなくていいんだ。
来年3月には東海岸も利用した1200kmブルベを開催するそうだ。
一部交通状況に難があるというが、それでも台湾の東海岸は素晴らしい景色として有名なところ。今年だけで二回も台湾のブルベを走ってしまったので、僕らはその1200kmに行く事はないと思うけど、東海岸にはいつか訪れたいと思っている。気楽なサイクリングか鉄道旅で十分だけどね。
おわり