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【落武者魂】 2012年03月

落武者魂

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2012年03月

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2012/03/25  雨、降り止まぬ。
2012/03/19  雪見ブルベ200km
2012/03/13  続・耐久試験300km
2012/03/12  耐久試験300km
2012/03/06  Leap day in snow.

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雨、降り止まぬ。

 また雨。
 三週連続。

 でも、天気予報によればスタート時点では雨はあがっているはず。
 そして気温は18度程度まであがるようだ(東京)。

 だけど、もちろんスタートしても雨はやまないし、当日になったら気温の予想はぐっと低下してます。
 もう誰も天気予報を信じない。
 不信の支配する世界。

 そんな世界で、僕らは越谷郊外から日光まで往復300kmの自転車旅行をしました。
 そのレポート。

 さて、泥濘地となったスタート会場から2km行かないところで、我らが友人たけさんの自転車に異常発生。なんか減速したのでかわして追いぬきざま、なんかフレームからトラロープのような紐がたれてます。おや? なんか路上のロープでもからんだかな、とその先で止まると、いきなりチェーンが切れたとのこと……。

 気を取りなおして再スタート。あまり長い列車にならないよう気を使ってか、ペースをぐっと落として市街地を行きます。それでも前の集団に追いついちゃうこともあって、なかなか難しい。越谷を越え野田を越えて、利根川沿いのサイクリングロードへ出る所で、ふたたびたけさんが停車。自転車をひっくり返してます。



 なんだなんだと覗き込んでみると……。



 これ、チェーンが短くない? それでアウターローでロックしちゃってるように見える。そういうことになって、変速に気をつけて行くことに。ちなみに、短すぎるチェーンでロックしたときは、リアホイールをなんとか外しちゃうのが手っ取り早いです。



 しかし、雨やまねーな。
 霧雨というほど弱々しくないけど、レインウェアを羽織るほど強くはないそんな雨。
 でも、次第に防水でない手袋や靴下はずぶ濡れ状態。でも、もう止むと思うんだ。そう思い続けて80km走り。ようやく本当に雨はあがりました。



 一個目のPCは110km地点。ずっと平坦な関東平野を北上し続け。このマップ、ポリゴン数は激少です。



 PC1の先で、ようやくのどかな山村へ分け入っていきます。気分も癒される景色。



 いきなりアタックが始まる!
 つうか、この人、おかしくね?



 なんで素手なの?



 雪も残ってるのに……。

 残雪の残るこの峠は、今回のメインイベント、滝ヶ原峠。長くはないのですが、斜度がけっこうキツイです。でも、路面が改善されたようで、記憶にある「前輪が浮く」ほどの勢いもなく登り終え……登り終える直前、日光側から吹いてくる強風に前輪が煽られて浮きそうに!

 この日はお昼ごろから北風が強くなってくる予報。すでに、花粉が目視できるほどの風が……。さまざまな飛来物がまるで3Dムービーのように飛んでくることも。すごい大迫力。



 滝ヶ原の日光側。遠くにはいまだ雪をかぶった山々が。霧降高原の方かな?
 この峠自体も、一週間ほど前には完全に道が雪で覆われていたとか。



 日光東照宮前のセーブオンがPC2。
 さて、あとは帰るだけですよ。



 帰りは追い風に背中を押されてびゅーんと。一気に150kmを駆け抜けていきます。
 つっても7時間くらいは、かかってるわけで、よくやるわこんな遊び。

 ただ、気温がぐんぐん落ちていく。途中のPCで止まると、北風にすごい勢いで体温が奪われる。じっとしていると物陰にいてもガクガク震えだす始末。けれども、周りの仲間達はいまだに「指切りグローブ」。どうなってんの?

 北西の風ということで、野田あたりからコースが西へ向かう当たりから強風の向かい風かなと覚悟してましたが、すっかり風も病んで。でも、こちらでは夕方まで雨だったということで工事で舗装が剥がされてた道はどろどろ。またかよ……。

 

 家に帰ったら、自転車はこんなでした。



 毎週、完全に洗車しなくちゃならないのはいい加減うんざり……。
 シューズはどろどろすぎてどうしていいやら……。シクロクロスとかMTBの人とか、大変だわね、きっと。

 おわり
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雪見ブルベ200km

 天気予報はまた雨。
 楽しい気分にはなれないけど、前回のブルベのときほどではない。なんでだろう?
 おそらく気温が違うからだ。富士吉田で最高気温15度だという。だったら、今回のコースの最高箇所である山伏峠も10度くらいはあるんじゃないかな。10度あれば問題ないだろう。雨も午後三時だとか、それ以降らしいので最後の数時間がふられるくらいだ。なんだ、防寒装備も少し軽めでいいかな。でも、防雨装備もあるからどうしようかな……。

 結局、こんかいは背中に防雨装備をまるごと背負っていくことにした。
 もし逆に暑くなりすぎたら、長袖ジャージをぬいでバッグにいれて背負うこともできる。
 どっちに転んでも大丈夫。攻守一体の装備。それがバックパック。

 スタートは七時からだ。車に自転車を積んで出かけると……ETCカードが無い!
 いきなりケチが……。一日停めておいて六百円という青葉区役所の駐車場へついたのは五時半過ぎ。スタート地点から数キロ離れているんだけど、それにしても早すぎるので車の中ですこし休む。やれやれ、結構寒い気がするぞ?

 今回のスタートはあずみ野駅近くの広場。まったくの市街地。そこから相模原を抜けて道志道を通り、山中湖をわきに見て富士吉田、その先の鳴沢で折り返す。行きはひたすら登りっぱなし。帰りは下りっぱなしというコースだ。おそらく、一番面倒臭いのは相模原を抜けるまでの市街地。このあたりは車がやたら多いわりに、都市計画がいい加減でろくな幹線道路がなく、いつでもどこでも渋滞しているようなイメージ。特に鶴川街道な。

 ブリーフィングのあと、公衆便所とかに行っていたらすでにスタートが始まっていた。まあ、急ぐ旅でもなしとゆったりスタート。でも、信号ストップのせいで先行集団に追いついてしまう。



 街中であまり連なりが長くなると面倒くさいな、と思うけど前に出ようにも(前へでるのは苦手だ)、どうにも信号でおじゃんになってしまう。それでも逆に信号でちぎれたり(ちぎれるのは得意だ)して、いつものように単独走に近くなった。



 市街地を抜けていくと、遠くに雪山が……。
 まてよ? 二月のアタック小田原の時でさえ、あんなに積もってなかったけど?

 道志道へ入ると、一気に交通量が少なくなる。特に、今日は雨とかいう予報だから観光の車もなくなって本当に静かだ。PC1のセブンイレブンでは、しっかり食う。だいたい45kmくらい。



 道志道はけっこう好きな道。
 変に厳しい斜度とかないし、交通量は少ないし、車線幅が狭すぎるというポイントもそんなに多くはない。



 景色もいい。高低差のある風景の、底には遠くに渓谷が見え、上には……雪山……。

 道の駅を越えて、山伏峠へ登る区間は斜度が上がっていく……。雪が増えてく……。





 さむい、さむいよ!
 おかしい、時間的には気温が十度くらいあってもいいのに?
 ふと、路肩の気温表示を見ると六度。六度もあるの? って感じ。
 雪を渡る風のせいで、体感気温はぐっと低い。
 フグジャケットを着てくればよかった。



 山伏峠はトンネルで越える。この先は山中湖まで一気に下りだ。
 この写真を撮った後くらいに、六時発の先頭らしき人が現れた。
 速いなあ。でもまあ、こっからは一時間もあれば折り返し地点まで行けるだろう。



 山中湖畔を走っていたら、だんだんと雨模様。
 強い雨ではないから、しばらくはそのまま走り続けていた。このまま折り返しまで行こうかと思っていたが、氷雨がウェアに浸透しきらないうちに、と自転車を停めてモンベルのレインジャケットを身につける。

 富士吉田までは長く下り、それから鳴沢までは長く登る。
 観光客の車が多いのに、道幅が急に狭くなって走りにくいところもある。
 富士急ハイランドを越えて、しばらくいくと左側に巨大な白いお餅のようなドーム。
『空から日本を見てみよう』でも紹介された、ほうとう屋さん。冷え切った体をほうとうで温めようかと、昼飯にと悩む。結局、また今度ということに。



 折り返しのPC。あんまんやおにぎりなどをぱくつく。
 雨は相変わらず降り続いているけど、強くはない。
 お? なんか遠くから走ってくる人が見えてきた。
 走ってくるっていうのは、自転車で、ではなくって、自転車を押して足で走ってくる人。しかも短パン。竜胆さんだった。今日もまた、パンクをくりかえしているらしい。つうか、パンクして押して戻ってきていたんだそうな。もうチューブが無いということなので、僕の予備チューブを渡す。引換にこんどのフレッシュの機関車になってもらうのだ……。

 

 しかし、短パンとかありえないだろ……。
 あまりに寒すぎてがくがく震えだしたので、竜胆さんに先に行きますと伝えて逃げ出す。
 なんだろう? 寒すぎるせいか、右足のくるぶし周りがやたらと痛い。踏み込み過ぎてるんだろうなあ。そう思いながらいろいろ回し方を試して山中湖まで登り返していたら、あっという間に竜胆さんに追いぬかれた。つうか、もう追いつかれちゃうなんて……。



 霧が濃くなってきた。霧と雨。
 山伏峠を抜けて道志側を降りていくと、霧は薄まる。けれど雨は続く。
 そしてディスクブレーキはすばらしい降下を発揮している。でも、思い返してみれば、ずっと前にも、道志道を雨で下っていったことがあったけど、怖かった覚えはない。道志道の下りにはあまり急で狭いコーナーとかが無いから、比較的安心して行けるんだよね。

 相模原くらいまで降りたら、雨はほとんど降っていない?
 だけど、ここからが面倒なセクションだ。信号が多く、交通量が多く、道がごみごみしている。
 ちょうど交通集中の時間だから、渋滞があちこちで起こっている。それでも意外と足の回りは悪くない。追い風……で、なおかつほんとに緩やかだけど下り基調らしい。

 車で来るのは絶対に避けている夕方の鶴川街道を越えると、あとはあずみ野への道をひた走ってゴール。
 足首がいたくってびっこ引いてる状態だけど、前回前々回より気分よく終了できた。楽しかった。

 雨も慣れちゃったけど、来週も雨だとさすがに気持ちが折れそう……。

続・耐久試験300km



 泥濘をかきわけ、ついに「奥の橋」のたもとへ。
 で、この写真の奥に見えているのは、前回の「手前の橋」。
 ぬかるんだ道を行く間は、これが本当のコースなのかと、たしかに不安でもあったのだけど、楽しくもあり。
 路面に細い自転車のタイヤのあとがところどころに見つかる。それを励みに進む。どろどろの路面にタイヤが捕まるでないかと恐れながら。ときにずるりと滑ることもあるが、なんとか転ばない。
 そして、ようやく辿り着く……! あの橋のたもとへ!

 上の写真を撮ったのは堤防上なのだけど、そこも荒い砂利で舗装されてなかったように見えたなあ。
 どこが指定ルートだったのだろう? 
 写真の真中に大きなみずたまりがあるのが見えると思うけど、ここに突っ込んだら脛までつかるくらいの水深があった。ペダルの上でそれだけの深さなんで、普通に足をついたら、ひざ下くらいまであったのかも。すぐに脇へ寄せて、堤防を登った。しかしまあ、まだ1300kmしか走ってない新車なのに、こんな過酷な状況にさらさなくてもねえ……。 かわいそうなカルフィー……。



 この右側。フェンスになっているところが歩道。ここを伝って向こう岸へ。
 年配の方が歩いていました。
 あの人はどこから来て、どこへ行くのだろう……。あの泥濘を越えて。

 向こう岸はこんな感じ。



 延々と、横風を受けながら一直線に突き進む。意外とディープリム(フロント45mm、リア65mm)でも問題ない。強い横風を受けると抵抗をぐんと受ける。ただ、突風は怖いこともある。特に気を付けないとならないのは、建物に遮られて一瞬で風向きが変わるとき、それと大型車が横を通るとき。でも、ディープリムでなくても、そういうときは風に煽られるからなあ。

 さっきのPCで多めにカロリー摂取したおかげか、気分的にも乗ってきてぐんぐん行ける。結構楽しいくらい。
 ただ、この写真だと綺麗な路面に見えるけど、震災一年で応急措置した路面が崩壊しているぽいところや、舗装を全部はがしてやりなおしていたりするところもあった。そうだ、道路を横断するようにキャットアイが並べられているところがあって、それは結構ヤバかったな。
 無心になって二時間ほどペダルを回し続け、銚子の街へ。



 ここは歩道側を行くのが正解だったみたい。もう何度目かわからないミスコース。
 無駄に街の中を走らされてから、コースへ復帰。

 銚子の海側をぐるーりと回っていくルートだと思っていたら、そうではなくて高台をつっきる形だった。やっぱりここでも、行きすぎてから戻ってくる。高台へあがる道をよれよれと登っていると、道路脇に自転車を直している人が。どうしました? と声をかけると「ディレイラーを破損した」とのこと。見ればリアディレイラー(後輪側の変速機)がもぎ取れている。
 チェーン切りはありますか? と問うとそれは大丈夫とのこと。チェーンをつめてシングルスピードにすれば、まだ行けますね、と言うと、苦笑いをしてすでにDNFの連絡をしたとのこと。たしかに、ここなら駅もすぐ近くだし、天候もあまり回復しないしで、それも止むない選択かも。

 PC2にたどり着いたのは午後五時くらいだったかな。九時間が経過している。
 でも、通過チェックのスタッフの方は、まだ20人もここまで来てないと言う。DNFの方はちらほら出ているようだ。つうか、まだ20人って、そんなに遅いわけない。抜かれてるほうが多いし。
 みんな銚子かなんかでうまいもの食ってるんだろ……。くそう、僕も食っとけばよかったよ、刺身定食。
 このPCには出発しようとしていた竜胆さんがいたので、ちょっと話す。つうか、脚力の違いから絶対に追いつけるはずないのに、と話すとパンクとかしてたようだ。そうか、パンクか。もう一年くらいパンクとは縁がないなあ。もうパンクなんかすることはないんじゃないかなあ。
 ニューエコノミー論でも言ってたな。景気の循環理論は終りを告げ、永遠の好景気が続くのだって。



 雨が、少し弱くなっている。
 風も、少し弱くなっている……ここから追い風に乗れると思っていたのに……。
 ……まだ風は残っているけど、佐原よりは暖かい気がするぞ? 日中がもっとも低気温なのは予報通りだけど、実感できるほどとはなあ。



 ぬれ煎餅を販売して路線を維持しているローカル線。かわいい。

 銚子からはドーバーラインなる道を走る。海岸沿いの断崖上につくられた道だ。名前はイギリスのドーバーの断崖から取られているんだろうけど、スケール的には1/35というか1/48というか。
アップダウンもあるのだけど、むしろ、ひたすら風が怖い道だ。



 以前は押して歩いた。なにしろ、立ちこぎしようとしたら、前輪が浮くほどの風だったから。
 今回はそこまでひどくはない。ふつうに漕いでいける。
 いったん道は交通量の多い国道につながり、飯岡で九十九里ビーチラインへ。海の見えない事で有名なビーチライン。あと80kmほど、これをひたすら進む。

 雨はまだ降り止んでいない。
 風は収まりつつあるけど、追い風。
 それほど悪いコンディションではない。静かな夜の道を25km/h~30km/hくらいで走り続ける。こんなに長く独りで走るのは久しぶりだ。細君と、あるいは見知った顔と走るのも楽しいけど、独りで走るのも嫌いではない。自分のペースで、勝手気ままな気楽なライド。前にも後ろにも誰もいない。
 全体平均速度も18km/hの後半に戻ってきた。このままペースを戻して行けば、16時間台には戻れるかもしれない。つうか早く帰りたい。なんだか、雨じゃない白い小さなフワフワしたものがライトに照らされて、舞っているし。どんどん楽しくなってきた。

 残り距離が三十数kmになったあたりのコンビニでトイレ休憩。残り距離はこれで100kmを切ったはず。まあ、あと五時間ってとこかな。日付が変わる前には帰りたいものだけど、それは難しそうだなあ。
 いずれにしろ、気分的には余裕な感じ。ブルベを始めた頃は、PC以外ではけして休まないほど気合入っていたけど、今はもうそんな肩肘張ってない。力を抜いてゆるく走る。

 温かいものを飲んで走りだす。
 残り一時間半くらいかなあ。そういや、このへんは歩行者多いなあ。暗いのになあ、とか思っていたら、道路の真ん中にでっかい穴が。必死で前輪だけ持ち上げて、しかし次の瞬間に「バッカーン!」と後輪がたたきつけられてしまう。
 視界の左側、歩道に何人もいるパンク修理の人たち。
 まさか……! と思った頃には、リアからゴロゴロという感触が。
 パンクした! 一年ぶりの! パンク! まさか、こんなところで!
 ニューエコノミー論が破綻した!

 カーボンのリムをあんなに激しく叩きつけて大丈夫なのか。そういう心配も頭をよぎるものの、とりあえず自転車を押しながら、さっき見たパンク修理の人たちのところまで押して戻る……。



 扱いにくいクイックシャフトを緩め、リアホイールを外す。ざっと見た感じでは損傷はなさそう。リムのふれも無い。えらいぞWheelbuilder.com。もっとも、暗い場所だし、内部でヒビが入っていたりしたらわからないけど、どうしようもない。このリムのメーカーはダウンヒルバイク用のリムも出してるんだ、この程度なら大丈夫だ、と信じるしかない。
 一瞬絶句したのは、工具袋をバッグから出した時。チューブはこんなこともあろうかと、三本も持っているのだけど、バルブ長がミドル。タイヤの中にはめて空気を入れるチューブ。その空気をいれるための飛び出している金属の細いパイプがバルブ。そこの長さはいくつか種類がある。
 僕が携えていたのは38mmのミドル。
 でも、考えてみれば、この自転車のリム高さは45mmと65mm。
 血の気がひく音が聞こえた。
 リア側は延長バルブを使うにしても、それでも足りるかどうか(フロントだったら完全アウトだった)。
 そういや、Grand Tour Double Centuryでも、ミドル高のリムにショート長のバルブのチューブを持ってって、涙目になったことあったな。あれから、ストックしとくチューブはミドル長バルブで統一してたんだった。規格統一というのは、難しいものだな……。

 背筋をぞくぞくさせながらも、まずはやってみるしかない。
 タイヤを外そう……とするのだけど、握力が失われていてタイヤレバーがうまく使えない。
 なんどもタイヤレバーを弾き飛ばし、時間をかけてようやっとチューブの取り出しに成功。延長バルブを付け替えて試してみると……。ほんの5mmほどだけど、リムからバルブの頭が出る! ネジ山が出ていれば、なんとかくいこませていけるかも。
 LEZYNEの空気入れは、バルブのねじ切りにねじこんでいく構造なので、こういうときには有利。なんとかくいこませて空気を入れる。入った! これでよし。空気を入れてホイールを自転車にはめる。
 僕よりか前に来ていた方が、四苦八苦していたのでお手伝い。空気が入ったのを確認してから店じまいをして、走り始める。

 けっこうな時間をくってしまった。
 やがて……違和感に気づく。
 ヘンな振動。
 ヘンな音。

 泥よけがタイヤにこすれているのかな、と自転車を停めて確認。
 うーん、これは……。
 ディスクブレーキのローターがこすれてる? ブレーキを引きずってるのかな?
 クイックを開け閉めしたら、普通に回転するようになったので、走りだす。
 けど、しばらくすると同じ症状……。

 交差点で自転車をとめ、キャリパーの位置調整をはじめてしまう。
 おそらく、これは間違った選択だった。
 ディスクブレーキの調整はシビアだ。暗い所でやるもんじゃない。
 そもそも、キャリパーがずれちゃうことなんて可能性的に低い。
 ローターが歪む可能性の方が高い。
 それよりももっとありえるのは、単にホイールがキチンとはまっていないこと。
 この自転車を組み立てた時も、そうだったじゃないか。
 だのに、やっかいなことに手を出してしまった。
 よりによって、この深夜。感覚の無い手で。
 それから先は、5kmほど進んではリアまわりの調整をしながら進むことになった。
 しまいにはグローブのつけはずしさえ面倒くさくなって、素手で走った。気温は3度も無いのに。
 風がほとんどやんでしまったおかげか、ちっとも寒く感じなかった。
 たぶん、感覚が死んでいたから。

 最後のPC。残り六十数キロ。
 かなり気分的には参った感じ。ホイールのつけはずしで症状が緩和されるのに、暫く走ると異音がしだすということの繰り返し。ローターの歪みの可能性もあるけど(ざっと見るかぎりでは、そんなことないんだけど。家に帰ってみたらほんのコンマ数ミリ歪んでいた。でも、もともとの歪みかもしれない)、つけはずしで改善されるってのがなあ。
 だとすれば、ホイールをとめるクイックが原因のひとつじゃないかなーとか思い始める。
 そういう懸念をいろいろ考えてコンビニをでたら、あんまんを買うのを忘れていた! ケースで温まっているのは確認していたのに。
 もうどうにでもなれとウィダーインゼリー二個で我慢することに。そしてこのコースの山場、房総半島横断に入る。

 暗く細い山道をゆく。
 まっくらい山中にトンネルだけが明るかったりする。房総半島はトンネルを掘るには土の質がよく、昔からよく隧道が建設されたようだ。雨はすでに上がっている。これだけが救い。

 気にしなければいいと思いつつ、やっぱり気になってしまって、ちょくちょく道端へよせては、ブレーキの調整の繰り返し。通りすぎる車が戻ってきて、大丈夫かと声をかけてくれたこともあった。道端で眠っている参加者もいる。



 道から少し離れた公園に、ひときわ明るい街灯をみつけた。
 そこへわざわざ立ちよって、調整している場面が、上の写真。
 新型機だものしょうがない。タンデム自転車だって、はじめのころはフロントディレイラーを吹き飛ばしたり、チェーンをぶちきったりって、あったものな。ネオプリだって、ライト巻き込んだり、やっぱり変速機を吹き飛ばしたり。F35だって、オスプレイだって新機軸満載の機体はみんなそうじゃないか。
 そうやって人は経験を積むのよ。きっと。
 うんざりだけどな。

 そういえば、アキレス腱が痛い。しかも両方。
 まいったなあ。
 これはポジション調整かなあ。

 ゴールしたのは、予定を大幅に過ぎた午前二時過ぎ。十八時間オーバー。最後はエネルギー不足でとにかくきつかった。どんどん体が冷えてくるし。
 PC4では「案外あったかい」とか思っていたのになあ。
 スタッフのかたからスープをもらう。手がかじかんでいてしまって、箸さえうまくつかえない。あそこであんまんを食えなかったことが、ここまで響いてくるとはねえ。いやはや、くたびれちゃった。
 なかなかお得なライドだった。

 二日たっても、まだ握力がもどってこない。

耐久試験300km

 日中の予想気温2度(佐原)
 天候予報 雨
 予想風速 12m/s

 うむ。

「みんな」を逃さぬよう、twitterで「みんなで走れば楽しいよ」と書いておく。
 これでよし。

 朝。アラームがなっているのに、なんでこんな時間に起きねばならぬのかさっぱり忘れていて、細君に「おい、時間だぞ」と言って起こしてしまう。そうか、ブルベか。嫌だなあ……。雨で風で寒いんだよ? でもまあ、そんなこともあるよな。これが600kmとか、もっと長いライドだったら、途中からの天候急変ってのもあるんだし。そういったときのためにも、経験値を稼いでおいてもいいよな。
 それと自転車。
 去年秋にようやく届いた新車。まだあまり乗っていない。
 新機軸満載でF35状態なアレを、こういう状況下で試しておきたい。ディープリムがどれだけ横風に影響を受けるのかも、知っておきたい。いまのところ、速度の乗った下りで斜め前からの風に煽られるようなことがなければ、言われるよりは問題なさそうだけど。まあ、リム形状にもよるのだろう。

 という感じに自分を言い聞かせる。
 最大限の防寒防雨装備。自転車の装備も試しておこうと、リアにシートポストキャリアとバッグもつける。かなり重量感あふれる車体になった。車に積め込んで家を出る。
 雪の降る中を。


 ついてみると、思っていたより雨は強くなく、風もいままでで最悪というほどではなさそう。



 なさそう……?
 611の千葉600のときは、地面に倒してある自転車が風でずるずる流されたけど、そこまでではない。じゃあ、まあ、なんとかなるのではないか、と自分を説得する。



 ブリーフィングのときに気付いた。
「みんな」は走らないと。
 こんなに楽しいコンディションなのに……。
 ほんとうに走らないの?
 ……そう……。

 出走は60人くらいと聞いた。二回に分けての出発。僕は八時十分のスタート。
 気乗りはしないけど、まあ、ぼちぼち行きますか。

 袖ヶ浦からPC1までは約50km。今回のブルベコースの中ではアップダウンの多いセクション。
 もっとも、ここと最後のセクション以外はほとんど完全なフラットコースなのだけど。獲得標高も大したことはない。何も厄介な要因がなければ、十五時間前後で走ろうと思っていた。
 PC2までは北上し続けるので、まともに風と向い合いになる。今日はどうせ単独走行のつもりなので、サバイバルモードにして体力の消耗を抑えながら走る。ぼっち走り。

 

 千葉のコースと僕との相性は微妙だ。
 なんでか、ミスコースしやすいのだ。去年の600kmでは十回を大きく上回るミスコースを繰り返した。
 今回もいきなり道を行き過ぎまくる。どうしてかなあ、と思ったけど、勢い良く走っているところに小さな追分へ分岐するようなパターンが多いからではないかと感じる。逆に「そうか、ここを行くのか」と砂利道(当然どろどろ)にはいってしまうこともあった。普通に考えて、そんなところ通るわけない。だから当然ミスコースで、涙を流しながら戻ったりする。まあ、この「普通に考えて」たら、今回のコースはクリアできないのだけど。

 走っていれば「寒くない」。
 けっして暖かくはならない。寒くないだけ。今回使用している防雨ウエアは以下のとおり。

ジャケット)モンベルのやつ。みんな使ってるあれ
パンツ)エストロゲンで買った女性用防水ウェア。サイズがあわないので僕が使っている。股上が浅かったり、ひざのツッパリ感があったりする。でもゴアテックスはたしかにいい。
シューズカバー)モンベルのやつ。

 パンツがちょっと微妙。ちょっとずり落ちてくると、自転車をまたぐのに苦労する……。
 他のウエアは埼玉200kmとほぼ同等。すこし学んだのは、フグジャケットの下には厚着しないこと。
 汗がたまってやばいから。

 あと、今回は防水靴下はやめた。なぜかというと、結局水は入ってくるし、防水性能のせいで水が「抜けない」という弱点があるからだ。最後はバケツなみに水が溜まることになる……。人体は防水というけど、ふやけてそのうち破れるからね……。まあ、濡れた靴下でも同じ事だけど。

 さて、PC1についた。なんとあんまんが無い。うーん。しかたないので、バッグにたくさん突っ込んでおいたウィダーインゼリーを消費。ちなみに他には大量のホッカイロも重しがわりに積みこんである。結局使わなかったな。

 PC1からPC2佐原までも50kmくらい。正直、特筆すべきことはない。雨はやまない。気温はさらに下がっていく。天気予報では雪マークさえついていたな。空気がどんどん冷えていくのだけはわかる。佐原まで行けば、少なくとも向かい風はほぼ終わる。はずだ。

 PC2の佐原のコンビニでは、あんまんとごまあんのまんじゅうをゲット。他におにぎりなんかも買い込んで、もりもり食う。ただ、ここ、寒い。風がひゅうひゅう吹いていて、凍えそうだ。手なんかとっくにかじかんでいて、ペットボトルを開けるのも一苦労。ブルベカードを見ると、次のPCは銚子でまたしても50kmくらい。銚子まで行けば、そこからは運が良ければ追い風の世界が待っている。その前にドーバーラインなる強風の危険地帯があるのだけど、それでもなお、佐原まで来れば風に感じては状況が悪化することはない。
 希望はそれで十分。

 PC2からは利根川沿いのサイクリングロードをしばらく走る。
 のだけど、途中から堤防修理の工事が連続していて、しまいには堤防から下ろされてしまった。まあ、SPDのシューズを履いててよかったよ。気軽に堤防を登ったり降りたりできるからね。

 そのまま堤防沿いの道を走る。
 工事現場警備の人に、ここを自転車が通っていったかを尋ねると、何台も行ったよ、とのこと。
 その言葉にミスコースではないと確信してさくさくとペダルを回す。回して回して、やがてこんな景色の中に立っている自分に気付いた。



 このとき、左側の堤防の上に、自転車を押し上げている参加者が。
「この道はありえないと思うんです」と彼は言う。
 僕はGPSの画面をにらんで
「……とりあえず、もう少し先まで行ってきます」と伝えた。
 この画面の先にある橋(奥の方)の歩道へあがる道へつながっているはずだ。
 本来のコースは、堤防上のはずだけど急な工事でこうなってしまっているか、あるいは初めからここを走らせるつもりだったか。とにかく、こんな泥濘の道はすぐ終わるかもしれない。もうずいぶん走ってきたし。
 
 ディスクブレーキにSPDシューズ。
 全然問題無い。
 行くか!

 つづく

Leap day in snow.

 閏年の日のことをリープデイというらしいです。
 四年に一回使える豆知識。



 せっかくなので、雪の止んだ頃を見計らって付近をうろついてみました。
 雪の降ってる間のほうがよかったかなあ。

 路面電車で普段とは違う日常へ……。



 少しばかり開いた梅の花に、雪が積もっていて綺麗でした。写真はないのだ。



 いい感じだなあ。もう少し保存状態が良ければなあ。それに建物の中も見てみたい。



 気分はすっかり雪国。
 明日には失われてしまう、儚い非日常です。



 この公園の中で、ちょっと雰囲気の違う一角。
 哲学っぽさがなく、普通の回遊式庭園っぽい。なぜだろう? と思っていたのですが、ある日ふと地図を見ていて気づきました。このエリアは新宿区なのです。そして、それ以外はすべて豊島区。いま、この写真で見えているのは新宿区です。そして……。



 振り返れば豊島区。
 たしかに哲学があふれる感のある庭園です。
 


 しかし、新宿側の庭園エリアにもこんな水のせせらぎがありました。
 ついでにトイレにも行きました。なにしろ寒くてねえ。

 それからしばらく中井の方へ歩きます。
 なんか新井薬師方面から中井方面への抜け道みたくなっているっていうか、中井の街中を通る道は、やたらと車が飛ばしてくので、ちょっと怖いところがあります。歩道はなくって、両側に店があるのに。



 中井の方へ歩いたのは、林芙美子記念館があるから。
 昭和初期の平屋建築の雪景色を楽しもうと思ったのですが、残念ながら閉園時間でした。

 おわり
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