
※この日記は私の妄想感想独断偏見で構成されたレポートです。
さて当日、赤羽橋の駅を降りて改札をでたところの地図をみていると、改札の駅員さんが東電の株主総会はあっちだと叫びまくっているのに気づきました。さすがビッグイベント。はじめはまさかとおもっていたけど、周りの人みんな東電の総会に行くみたい。駅からの道すがら他の会社の株主総会への案内板を掲げている人もいたけど、そっちには誰も行かず。かわいそう(だけどそこの会社の取締役はその方がうれしいだろう)。
ホテルの前には警察車両とマスコミ車両。株主と思しき通行人にインタビューする記者たちと、気分が盛り上がってまいります。どこからともなく「アリーナあるよ」の声が聞こえてくる様な。
会場となるホテルの中も大行列。これ全員はいれるホールなんかあるの?と思ったら広大な会場へ通されました。なんかでっかいスクリーンが垂れ下がってるすこしだけ薄暗い部屋。どうも、ここは中継映像だけ?ちょっと肩透かしじゃね?今回は出席者があまりに増えたので急遽会場を増やしたとのこと。5つの会場があったとのことなのだけど、あとでうろうろした感じだと本会場(テレビでも映ってましたね)、それと同規模の第二会場が(スクリーン)、立食パーティのスペースくらいの第三~第五会場で構成されていた。さらに休憩室なんかもあってそこにもモニターが置かれていました。
残念ながらおみやげは無し。でんこちゃん扇風機やオール電化カタログとか期待していたのに。不況だなあ。
ようやく席についた頃には勝俣議長の挨拶が終わって貸借対照表や監査結果の報告が始まってました。しかしなんですね。この会社は勝俣会長の会社ですね完璧に。清水社長の出番なんて片手の指で数える程の必要すらなかったくらい。いたの?ってくらい。
質問タイムが始まるといきなり緊急動議。勝俣議長の解任とかそういうの。動議なので採決を挙手でとって終了。賛成、反対を挙手で取るだけ誠意を見せてる(w 挙手を数えてるそぶりはありません。
質問タイムは株主総会の華、いきなり「経営陣は原子炉に入って死ね」とか叫び出す人が。失笑が溢れます。この株主総会は原発派vs反原発派だけかと思われるかもしれませんが、そう単純でもありません。原発推進でも取締役が無能なせいでこうなった!派や、東電は真摯に保証する必要はない、国に要請しろ派などいろいろです。世の中は単純ではないのですが、単純なことにしてレッテルをはって糾弾するというのがわかりやすい物事の計り方ですね。なお、東電のスタンスは「おれたちに責任が無いとはいわないけどー、国がはらってくんなきゃつぶれちゃうから補償もなにもできなくなっちゃうんだよねー。国にいってくんねーかなー国の指針でやってんだし。え?給与とか報酬とか?そういう話は個人のプライベートにかかわる話なんでここではしないよ」って感じ。
会議場がわかれてるのに、どうやって集計をするんだ!という質問があがります。一応書いておきますが、株主総会ではひとり一票ではありません。株数に応じて票数は分配されます。しかも委任もできます。だから、集計するまでもなく重要な採決の結果は決まっているというのが通常です。特に日本では持ち合いが多いとされていますし、東電の株は自治体と大企業が押さえていますから。それでも「株主は平等だ」という叫びがあがります。これを言っている人はわかって言っているんでしょう。株主は株数に応じて平等に権利を持つことを。でも、こういう場で「平等だ平等だ」と叫ぶと一人一票としての平等と勘違いする人がでてきます。というかそういう雰囲気がかもし出されます。それをこすいとかむなしいとか言ってもしょうがありません。もともと株主総会という勝ち目の無い戦場なのです。株主総会を通じ世論に訴える、それだけでも十分な目標です。反現取締役会的株主がぎゃーぎゃーと取締役会をいじめているように見えますが、戦艦大和を機関銃で撃ってるだけみたいなものですから。
会社側圧倒的なんだからこんなの無意味だというと、そうでもなく、とくに今回は個人株主なる市民に近い人達が多く参加しているので、それをないがしろにしている姿をあんまりはっきりさせると世論の支持を失いかねません。それにいくら圧倒的に優位な立場とはいっても、目の前にいる多数の人間が自分に対して敵意を叩きつけてきているという状況は精神的に辛くないわけありませんから、今後の活動にもしかしたらなんらかの影響がすこしばかりはあるかもしれません。それを期待して小さな機関銃が大和を撃ち続けます。
しかし勝俣議長は恐れず騒がず真正面から受けていきます。受けているといってもコミュニケーションをとるわけではなく、ただその装甲板で受け止め、流すだけ。さすがここまで上り詰めた男。柏崎の責任をとったはずなのに上皇になった男。素人株主の感情的な叫びなど赤子の手をひねる様・・・。
12時を回ってる未だ終わる様子を感じません。そろそろ休憩動議を誰かが出すはず。休憩動議が通ることってどれほどあるのか知りませんが、この状況で何かが起こる希望があるとすればここ。全部が全部の大株主が白紙委任しているとは限りません。そして意外と個人株主が多い(たしか)のが東電。休憩動議がまかり間違って通る確率は1%もないでしょうが、原発破棄提案よりは望みがあります。なにしろ私も腹減っているのです!まかり間違ってどこぞの大株主が「そういやオレも腹減ったな。今日長引きそうだし、飯くいたいな」とか思ってしまう可能性も落ちてるかも・・・!?
そしてついに午後1時前くらいに休憩動議が!「そろそろみなさんもお腹が減ったことでしょうし…」キタ!会場からは笑いが出ますが、ここ笑うところじゃない!正念場!さらに参加してる株主のそれぞれの株数を明らかにすべきという動議。勝俣議長は後半をするっとスルーして休憩動議だけを会場に諮ります。
反対多数。なんと!挙手の時点で反対多数が明らか。馬鹿な!反取締役会、反原発の意見の株主もこぞって休憩動議に反対とは。ぐぬぬ・・・、株主総会としての勝ち目は無いんだから、いまのところ取締役を苦しめるチャンスがあるのはここしかないのにわかってないのか・・・。
そう、休憩こそが1番の現実的な力のある決議なのに。休憩があれば・・・
1)飯を食えるので長丁場でも耐えられる
2)休憩時間内に工作(働きかけとか)ができる
3)会議の進捗を気にせず外部との連絡ができる
4)会議再開を阻止できるかも
5)与党大株主の総会への入場を阻止できるかも
・・・という可能性が生まれます。
実際には飯を食う以外のことはできないでしょうが、いろんなことが起こりうる「可能性」だけで会社側は面倒臭いのです。休憩動議なんかまずとおりません、それでもなお、会社側は休憩動議を通さない様気合をいれてくるところ。それなのに・・・。もうあとは勝俣議長劇場です。
次の質問者は演説好き?自らの演説に酔ってるのか延々話続けます。放置する勝俣議長。そりゃそうだ。この質問者の演説が長引けば長引くほど、みんなが疲れて「そろそろ終わろうよ」という気分になるから。あまりにヒステリックな演説(テレビドラマだったら、みな感動して大団円的な)が続くと、見ている人たちは『まあ、そこまで言うことないだろうよ』という風に流れてしまいます!さらにこの質問者が始まる前は「全ての質問が終わるまでは決議に移らせない」という雰囲気をなんとか出していたのに、あろうことかこの演説好き自身が「これが最後の質問になってしまいますが」とか言い出す。アホか。お前の周りで一生懸命質問が終了阻止を叫んでいた人達をどう思ってるんだ。お前は実は与党側で、終わらせたいんか。
結局、勝俣議長はその演説好きに好きな様に喋らし、そっから通り一遍の回答を担当にしゃべらせて終了。もう聞き手も飽きた雰囲気で決議へと流れていきます。もう機関銃で大和を撃つのは飽きたよ、そろそろおわんねーかな、ってムード。あーあ。
1号提案に移ってからも質問が残ってる!と古くからの反原発株主の方々がやり出します。つってもここまでスクリーン越しでどうにも迫力がないので、第二会場をでることに。本会場に移れるの発言希望者のみ、とのことだったのでとりあえず会場全体をうろついてみようかと思ったら、すぐ近くに本会場があるじゃん。人が溢れてる。誰でも入れるっぽいよ?
なんか紛糾してるし、うまいこと?質問攻め再開となったら、時間もかかるだろうとラウンジへ行きランチを。
実にうまい。オムレツハヤシライス。ハヤシライスは実はあまり好きじゃないというか、すぐに食べ飽きてしまうんだけどこれはなかなかの味。なんというか、さわやかな味わい。ハヤシはしつこいというイメージは覆されました。オムレツのとろりとした食感にじつにあう。さあ、食べ終わったので鉄火場へもどるかと思ったらアイスクリームもついてくるじゃん。ありがたい。
会場へもどるとあれれ、やっぱり質問攻めの再開には失敗した模様。せっかく腹を満たして何時間でもつきあう気持ちでいたのにすでに三号提案へ移るところ。しかしさすがにこれは今回の目玉、ファイナリストの戦い、あっさりとは終わらない雰囲気。さっそくふたつみっつの意見の応酬があったあと、さらに盛り上がりが見えるかと思ったところで「受付の方がやさしくてうれしかった」などとかなりの時間をつかって語る人が。自分語りも長く・・・同じ短い話を何度も繰り返す。さらに「社員株主がいるのではないなかと思わないでもないうんぬん」とだらだらと。その話はもう何度もでたろ!いまなんとかもりあがってたのに、水がさされた・・・。一気に盛り下がる会場。続く発言者が第三号提案をさらに分割したかたちで決議をとるように動議発案。また盛り上がります・・・が・・・これが最後の盛り上がりになることも必至・・・!
第三号提案を分割して採決することにたいする採決、勝俣議長が賛否を問うと・・・賛成圧倒的に多数!勝俣議長が焦った感じで(たぶん、この日唯一の動揺)、再度採決を取りますといいだす。そしてさらに増える賛成票。勝俣議長ここは慌てず「委任状による票数を加味して反対決議されました」と宣言。ざわめく会場を無視するかの様に第三号提案の採決へ。流れはすでに終結へ。
三号提案の分割決議を取り直したわけはわかりませんが、もしかしたら会場入りしている大株主の賛否の態度がよく見えなかったのかもしれません。どのみち否決される決議だから、分割決議なんかどうでもいいしそれでもいいんじゃね、的な姿勢を見せてるように見えたとかそんな感じかも。大株主が東電に対し「なんでもかんでもてめえらがイージーに進められると思うなよ」という姿勢を敵対的ではなく示すにはここと休憩動議くらい。わざと賛成も反対もしなかったくらいはありえないとも限りませんが・・・まあ、それがわかる日はこないでしょう。
「いま、おみせできる希望はない」発言とか「ふたつの株主から得ている委任だけでこの会場の株主数を上回る」発言とか勝俣会長の強さが発揮された総会でした。勝俣無双。さすが「ともだち」です。「経験と知識と見識を活かして今後の事態にあたっていきたい」発言には「柏崎の経験と知識と見識は活かせなかったの?」とつっこみたくなりましたが。清水社長は影が薄すぎて・・・すでに辞意を表明しているのだから、いなくてもいいんじゃね?って感じすら。
お昼くらいには帰ることができるつもりだったのに、けっきょく夕方に。座りっぱなしで疲れました。