2011年のブルベシーズンが始まりました。えーと、ブルベって言うのは決められたルートを決められた時間内で走り切るというスポーツです。一応、人力で車輪のついた乗り物を使うことが許されています。普通の人は自転車、特に舗装路を走ることに適したロードレーサーを使います。普通は舗装路がコースだからです。でも世界は広く、非舗装路を延々走らされるコースもあるようなので油断はなりません。この世の中を甘く見てはいけないということです。桑原桑原。
さて、話は戻って僕にのって今年初のブルベ、静岡200kmに参加してきました。静岡の袋井というところがスタート。早起きは嫌で、早起きしてすぐに運転はもっと嫌なので前の日に袋井入り。前泊です。こういったところのビジネスホテルは結構安いので・・・。ついてみるとホテルは新幹線駅の真ん前で、スタート場所もホテルからそう離れていないので新幹線輪行での参加も容易かも。便利な立地ですね。
さてコースはこんな感じ。
袋井から北の山の中を走りつつ東へ向かい清水へ。帰りは海側を焼津経由で牧之原台地を越えて袋井へ戻る、と。200kmで1400mくらいかな。年の初めには手頃なんじゃないか。
,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;;
{;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; たいした登りも無いしイージーだな・・・
ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゛
`Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;> そんなふうに考えていた時期が
,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゛: Y;;f. 俺にもありました
~''戈ヽ `二´ r'´:::. `!
袋井に到着してみたら・・・なんだか風が強いんですが・・・。びゅーびゅーそよ風が吹いています。そして・・・僕の自転車はこんな感じ。

※イメージです。 や・・・やばい?なにがやばいかってホイールのリム(周りの輪っか部分)の高さがある(幅が広い)と横風に弱いというジンクスがあるのです!というかジンクスではありません!風を受ける面積が大きいのだから横風に弱いのは当たり前です・・・。
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{;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; ディープリムは横風に弱い・・・
ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゛
`Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;> そんなふうに考えていた時期が
,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゛: Y;;f. 俺にもありました
~''戈ヽ `二´ r'´:::. `!
いや、だから横風に弱いんだってば。
静かな袋井の夜を越えて翌朝5時おき。もし前泊じゃなかったら2時起きでも間に合うのかどうか・・・と思うとぞっとする朝。5時でもしばらく体が動きません。なんとか6時くらいに受付へ到着。実は道に迷ってたらみかけたサイクリストに連れてきてもらいました。ありがとうございました。ディープリムは横風に弱いんじゃん、やばいんじゃんと不安を煽られていたところ、その向こうからごろごろという不穏な音が・・・ディスクホイール+ディープリムホイールが登場です。不安は一気に解消されました。このびゅーびゅーのそよ風(すいませんが事情があってそよ風と言い張ります)の中ディスク・・・。なんにも問題ないみたい(あったようです)。
さて、実は今回はコースについてあまりよく知りません。PC1(チェックポイントです)がやたら遠くにあるらしいということは知っていますが具体的にどのくらい遠いのか。いままでで一番遠かったPCはたぶんSD1000のときの160km。折り返しだったので160kmが二回連続でした。寝坊してたので休憩なし。超ウケる。次に遠かったのは北海道1200で区間間100kmオーバーが何度かあったはず。今回も同クラスですね。100km無補給無停止というスキル?を得るとロングライドを走ることに対しかなり気分的に楽になれると思います。スキルというか慣れというか。
さて、走り始めてしばらくは一人です。スタートがまばらだったので走者もまばら。前の方に走者が見えますが信号のタイミングが悪くなかなか追いつけず、後ろの人はいつの間にかいなくなりました。やがて道は山の方へ導かれます。そして増えていく茶畑。ああ、ここは静岡なのだなと実感させられます・・・。

オダックス埼玉の人たちに(勝手に)合流しました。ディスクホイールの方がいらっしゃいます。ごうごうという響きがなんとも・・・。山のてっぺんではシークレットコントロール(隠しチェックポイント)がありました。そこから下り。ここまでは暑くなるほどだったけど、下りで体が冷えるかな・・・と思ったらクルマ一台ぎりぎり幅のワダチ以外は砂利や苔が覆う道で下りヘイトの僕には汗が冷えるような速度がでません・・・。後続の人に抜いてもらいながらおっかなびっくり下ります。

ディスクホイール・・・。
途中ちょっとした扇状地にでて川を長い自転車歩道橋で渡ります。変な形のコンクリートウォールのせいで風がまいてちょっと怖い・・・。その先で再び登りに。

しかし鼻水がひどい。たらーんたらーんたれーらんってくらい垂れてきます。まいったねこれ・・・。強い風が吹いたら風にのって鼻水が・・・。もうやだ。やがて道は海岸ぺりへ。ここはたしかいちごロードと呼ばれています。なぜかというといちご直売所が並んでいるから。急に直売所に曲がるクルマと急に出てくるクルマに注意しながらいちご娘にも注意。直売所の呼びこみさんをいちご娘と呼ぶようなのです。けっこう「娘」でも許されそうな感じ。平日だと「娘だった」人たちが呼びこみなんだそうで・・・。

クルマが途切れるとものすごい快走モードに。ペダリングをちょっと休んでも45km/hが継続されます。真面目にこいだら50km/h超えちゃうでしょうね。なんでって?そりゃ追い風だからですよ!そしてね!この道を戻るんですよ!こがなくても40km/h出ちゃう道を、戻らなくちゃならないんですよ!!!
折り返しは清水の先のセブンイレブン。僕が勝手に追走してきたオダックス埼玉の他の方々は牛丼を食べに行く様子。でも僕はさっきからあんまんが食べたくってしょうがなかったのでここでおわかれ。本当にずっと食べたかったんだよね。さっきから腹減って頭がふらふらしてたもの。朝からアンパン一個で補給食も持たずよく走ったもんだ。絶対筋肉が分解されちゃってる。でも、アンパン一個で100km(115kmだったらしい)走ることが「できる」とわかったのでひとつ自信になった!!
戻りは向かい風を自ら切り開いて行く・・・。後ろに人がいたりいなかったりするようだけど、よくわからない。振り返れば鼻水が飛んでいくから振り返らない。いちごロードを戻るころにはもううんざり。もうすっかりうんざりだよ!
いちごロード半ばで先程のグループが脇を抜けていく。「ファイトーいっぱーつ!」という掛け声と共に。申し訳ない!のせてください!と心で叫んでケツにつく。このケツに喰らいつくことだけがこの生地獄から逃れる最後のアリアドネの糸。
/ >
/ × これはっ・・・!?
へ/ \ 埼玉トレイン・・・・・・!
\ 列車・・! 風除け・
>、 \
r勹 \ これがあの風を避け・・・
匕勹 \ ♀ ゴールに至る起死回生・・・・・・
匕勹 `ヘ
\ 匕勹 /\ \ 逆転・・・・・・
\匕勹、 / / 生き残りの道か・・・・・・・・・!
ヽ匕ノ /
\/
振り返れば・・・富士が・・・僕の背を押してくれているようだ・・・。

完
ちくしょう・・・おわらねえ・・・。ドラマならこれで終わるのに。あるいは後日談へ飛べるのに。僕は飛べない。翼がほしい・・・。

大崩(おおくずれ)の海上道路。これだ、ここに来たかったんだ。この内陸側には東海道線・東海道新幹線・国道150号・東名高速という日本の大幹線がいずれも日本坂という高台を穿って走る。そしてもっとも海側を走るこの旧国道150号線は海と山との狭間にかろうじて立っている。海上道路から内陸を眺めれば大地のひと槌でたたきつぶされた半隧道道路が。先の海上を見れば山から削り取られらた鉄路の巨大隧道の残骸が。
「海と山との合戦場」「日本の頸動脈」、この大崩を見て、走ることができて本当に満足です。ありがとうございました。さて終わりかな・・・まだまだ終わってないのかな・・・。
大崩の小気味良い眺望の道を抜けると焼津。あまりコースを知らなかったのでもう終わり近くかなと思っていたけど、全然そうではなかったみたい。内陸に入るからか風は横から吹きつける感じ。幹線道路で車がやや多いけど危険を感じることもなく走りやすい。さすがにディープリムは横にクルマが通るたびにつよいそよ横風に煽られて左右に進路がブレるけど(4人の列車中3人がディープリムなのでわかりやすい)、怖いという程ではなかった。下り坂で煽られたら恐怖だろうけど、幸いそんな場面も無し。
道はやがて牧之原台地へ登る。嗚呼、知ってる。牧之原台地といえばどうでしょう班。大泉さんがこれを走ってれば四国に行かずにすんだのに・・・。って風がどんどんものすごいよ?なんでこんなとこに空港つくるん?横風スキルを上げるため?

残り22kmというところでPC2。セブンイレブン。自転車から降りてもごうごうという音が鳴り止まない。風切り音じゃなかったのか。風の音だけでこんなことに。もうびゅーびゅーなんかじゃないんです。ごうごうオウオウぉぉうおうおうごうごうごう!みたいな響き。なんて恐ろしいそよ風!遅刻しても「今日は風が強くって」で許される土地柄というのは嘘ではなさそうです。

このペースならなんとか陽が沈む前にはもどってこれそう。スタート時にはとりあえず9時間は切ろう、とか思っていたけどなめてました。ごめんなさい。もうグローブは鼻水を拭く場所がないほどです。涙と鼻水で水分がどんどん失われているのに水はボトル一杯しか飲んでない・・・。
しかしこのあたりの景色は楽しい。なんとなくNケージのジオラマの中を走っているよう。茶畑のある小さな窪地を抜ける道を走っていると新幹線がひゅーっと抜けていったり、ちょっとした坂道を下っていると奥のほうを長い編成の貨物列車が過ぎて行ったり。狭い範囲に立体感があるような感じっていうのかな。
最後は昨晩宿泊したホテルの前から新幹線をくぐってストレート。なぜかスプリント勝負が始まって・・・ずっとケツについていたのに参戦!結局負けてゴール。9時間45分位でした。なんとか陽が残っているうちでよかった。陽が落ちたら轟々と言うそよ風がどんどん冷たくなって・・・。死ねた。

おしるこが美味しく、コースもほどほどで天気も良く、景色を楽しむことができる素晴らしいライドでした。