アクセス解析
【落武者魂】 2010年07月24日
FC2ブログ

落武者魂

L  O  S  T     S  Q   U  A  D  R  O  N  .

カテゴリ

検索フォーム

2010年07月24日

北海道1200km 「男たちは北へ」-1



 石狩川を渡って札幌の郊外へ出ると交通量はぐんと減る。48人のエントラントは大きな集団になることはなく、細い車列もいつかとぎれとぎれになって僕も一人か数人で走るようになった。夕日が地平線に落ていき夜の帳が下りていくとともに、背中を軽く押してくれていた追い風もゆっくりと穏やかになっていく。そうして新十津川のPC1へ。約70kmを走ってきた。まだ残り距離は1130km。思った以上に平坦なのと軽い追い風のおかげで想定時間よりずいぶんと早く着いた。コンビニのスパゲティをかきこみ、背中に差してあったバナナを食って再び走りだす。今度はデビッドさんとシアトルから参加のMarkと三人で。



 夜の北海道の道には人影も車影もなく、ヘルメットが風を切る音だけが耳に残る。町があり、暗闇があってまた次の町へ。その静かな連なりの最後が沼田というところ。この町のコンビニから先には次のPCまで70kmほどの無補給地帯になるというので少し休む。北海道は補給ができない区間が多いと聞いていたけど、少なくともこのコースに限って言えばそこまで神経質になることもなかった。程良い距離でセイコーマートあたりのコンビニがでてくるし、日中であれば集落の商店なんかもアテにできる。



 街灯も無い道を・・・なのだけど、積雪シーズン用に道の端を示す赤い↓が頭上にかなり短いスパンで吊り下げられていて点々と空中に道を作っている。若干不思議な光景。↓にはLEDが埋め込まれているようで、赤く輝く列が古き良き時代のゲーム画面のようにつづいているのだ。夏は点灯させる必要無いんじゃないかな・・・という気もするが・・・。

 沼田からは幌加内をぬけて美深まで。夜通し走るのはこのセクションのみの予定。無補給地点のはずだったけど、途中の道の駅にスタッフが待機してくれていてちょっとした休憩所になっている。驚いたのはここの屋内ベンチで仮眠していた人がいたこと。たしかに午後6時スタートのこのブルベ、初めの夜も寝てよいのだけど序盤の貯金が少ない時点で仮眠するという発想はなかった。この方のものらしき自転車のキューシート(行程表)にはびっしり赤ペンで注記がしてあって、たしかにここで2時間ほどの仮眠を取ることになっているようだ。それにしても人の出入りがあって明るい場所で、まだそれほど疲れてもいないと思うのだけどよく眠れるなあと羨ましく思う。



 道の駅前後の道は本当に街灯もなく、近くに人家なども少ないのであろう。真っ暗。グループの最後方に回ってから後ろを向くと本当の暗闇が広がっていて平衡感覚を一瞬失うほど。ブルベバイクが集まっているので前方への火力はかなりのもの。こういう所をひとりで走るのもオツなものだけど、人数が多いと時間がたつのが早くていいね・・・。やがて美深へ近づいてくるとその方向の空が明るい。



 美深へ辿りつく頃にはまだ3時になろうかという時間なのに空は明るくなり、濃い霧が流れてきた。少し肌寒いけど、ウィンドブレーカーをまとうまでもない(着ている人もいたが)。このPCでは思いがけない人と出会う。z氏だ。東京から数日かけて自走でここまでやってきて完走後は自走で帰っていくという彼は、さすがに疲労から1時間半ほどすっかり眠っていたという。



 さて、この先のPCは稚内なのだけど、まず音威子府から天塩付近までの山間部がひとつの山。そしてその山を越えて海岸にでたときの風の様子がもうひとつの山。このブルベのコースはとても平坦なので、ヒルクライムで苦しむことはまず無いだろうと踏んでいた。問題は天候だ。天候によってブルベの難易度は大きく変わる。このコースの場合は海岸線が多く、場合によっては風で苦しめられることになるだろう。



 途中に「北海道命名の地」なんていう看板を見ながら宗谷本線にそって道は進む。大きな谷間を抜けていくこの道は案外アップダウンもなくスムーズに進む。よく言えば快調。でも単調。しかし、こんなものは単調とはいえないとあとになって思い知らされるのだけど。最後にちょっとした峠の鞍部をトンネルで抜けて海までのダウンヒル。海岸線の道路は、まだ若干海岸から離れていて海はほとんど見えない。風は幸いなことにまだ無風か追い風状態のようだ。まずは天塩まで走ろう・・・。

 沼田から後はデビッドさんがずっと集団を引き続けていた。デビッドさんは僕の足首が悪いのを知っていて、前へでなくてもよいよと声をかけてくれたのだけど、そのせいで先頭交代をしようという人がでてこない。彼は僕よりはかなり強い人で、前へでようと列から出ると中切れを起こしそうになることもあってそのままの状態。心苦しい。そういえば足首はここのところ悪くなかったのだけど、なぜか今回はしょっぱなから違和感があり、下手にダンシングなんかしようものならぐりぐりと関節をすりつぶされるような感じがした。思い切り手に体重をかけたカッコ悪い変則ダンシングしかできない。これにはちょっとまいってしまったけど、とにかくもう痛いのだから、これから先に「足首が痛くなったらどうしよう」と心配する必要もないわけだ。



 天塩のコンビニで少し休憩してから先はオホーツク海沿いを走り続けるステージ。地平線まで真っ平ら、水平線と地平線しか見えない最果ての景色の中を突き進む。・・・突き進んでいるのだけど、全然進んでいるように感じない。後にz氏は「夜走ってても同じようなもん」と評したけど、たしかに・・・。







 稚内の手前で少し丘を超える場面があって、僕はやや遅れてPC3に指定されたコンビニへ滑りこむ。利尻富士が見え始めたあたりから雲が消えていって、このあたりではずいぶんと暑くなってきた。無茶苦茶暑いというわけではないけど、ボトルに氷を入れてもいいくらいの暑さ。日陰で少し涼んでいるとz氏が後ろから。どこぞで仮眠しながら一人で走っているようだ。一人だと気分的にオホーツク海沿いはきつかったろうなあ・・・。

 淡々とつづく
スポンサーサイト