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【落武者魂】 2010年04月12日
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落武者魂

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BRM410-2 千葉300km 「理想と現実。そして知らなければよかったこと」

PC2を出るとルートは茂木サーキットの間を通っていく。平坦って聞いてたけど平坦じゃないじゃんとか思いつつ、やがて道は山間に。デイビッドが「こういうところに住みたいな(※日本語)」という里山の谷間の集落。ここでは夏の夜は蛍が見られるという。たしかにのどかでいい感じだけど、住むのにはツラそうだなあ。





PC2からPC3までは70kmちょっと。結構長いステージだ。道はやがて広くなるがだんだん風が出てきているよう。デイビッドと僕とで回しながら行く。右左折が無いところではリチャードも前に出る。それにしてもデイビッドは強そう。おそらく一人で前に出っぱなしでも特に問題はないのだろう、と思える。半分以上は彼が前に出ている感じ。しかし温かさが足りないなあ。気温は20度近くあるはずなんだけど、厚手の長袖ジャージまでまとっても暑さを感じない。エネルギー不足?でも結構食べてると思うんだよね。

気づくと右足の甲がイタイというかじんじんとしびれてきていた。これって、なに?不穏な雰囲気。右足の脛の下のほう、足の甲、って疲労骨折の好発部位。注意するよう言われていたところ。とりあえず足の甲をがんがん叩いてみるが、響くような痛みはない。たぶん、大丈夫。こんなところで止まるわけには行かない。教えてくれ!トゥーリョ・カンパニョーロ! トゥーリョはただ微笑むのみで何も語ってくれはしない。シューズの中で足の指を握ったり開いたりを繰り返していると、だんだんとしびれが消えてきた。いける、これでいける。



3人のトレインは前方の人たちを吸収して10人ほどの列車に。単調で退屈していた記憶はあるけど、あとはあまり覚えていない。水戸の標識を見て「おー、水戸って行ったことないなあ」とか思ってたくらいかな。なんだか腹も減ってきた。なんだか結構つかれてきてるっぽいけど、腹が減ってるだけだろうなあ。と200km地点のPCへ入る。たしか午後5時くらい。

好きなものならさくっと食えるだろうとミートソーススパゲティ。しかし、半分くらいから食が進まない・・・。さすがに、なんか受け付けにくくなってるようだ。それでもなんとか詰め込み嚥下。大丈夫、食える。リチャードに「とにかく200kmは走ったんだから、だいたい終わりだぜ」というと「そ・・・そうだな」って返ってきた。でも、これから夜になるから走るの難しくなるねって。まだ日はあったけど、なんだか気温が低く感じるのでウィンドブレーカーを着込む。今日、所持しているすべての防寒を投入ということだ。結局、指切りグローブは使わなかった。

相変わらず平坦っぽいけど平坦じゃない。気を抜くと台地を下りて用水路や小川を渡り、台地を駆け上がるという類のアップダウンや、丘をめぐるアップダウンに脚を使われる。おかしいな、おかしいな、前回、前々回と調子良かったんだけどな。なんとか14時間台には入りたいなあ・・・。

だんだん気温が落ちてくる。10度は切らないと思うんだけど、空気が冷たい。GPSを見ると霞ヶ浦の近くらしい。大きな水域に囲まれているから、空気が冷めているのだろうか。もう日もすっかり暮れてしまった。狭い道路と夕方の交通量に悩まされながら、ようやく霞ヶ浦を渡り、大きな橋を渡る。ここでは危険なために歩道の通行が推奨。歩道から出て道をわたるときに、これだけパチンコ屋みたいな電飾をつけた集団が、歩行者信号もしっかり青になっているところを渡っているのに、押し歩くような速度の先頭車のぎりぎりをものすごい勢いでかすめて対向車線から右折してきて逃げた。なんで?全く見てないの?鉄板に囲まれてるから安全だという驕り?馬鹿なの?死ぬの?とにかく当たらなかったのは僥倖・・・。

夜の街に入っていく。静かな街に。だんだん交通量も少なくなってくる。夜の走行もこのくらいの時間はまだいい。12時をまわり、午前2時、3時となってくると心が徐々に蝕まれてくるような気がする。早く夜が明けて欲しいとそればかり思うように。太陽は意外と偉大なのだ。

やっぱりつかれたなーと思いつつ最後のPC。もうミートソーススパゲティは食えそうにないし、カロリー収支はプラスっぽいのでアンパンだけ食うことに。このPCには結構な人数が溜まっていたので、聞くとも無しにみなさんの話を聞いていると、今回のコースは前回の300kmよりきついという声が。前回ってあの暴風300か。斜度10%以上の山の連続は脚を削ると。そして「埼玉300は2度走ろうと思えたが、このコースはそういう気がしない。今は」と。気づいてしまった。そうだったのだ。鋸山を3度も4度も登るというのはきっと獲得標高の数字以上にダメージになるのだろう。ああ、なんだかどっと疲れが湧いてきたような気がするぞ。山を越えた頃には「なーんだ、これで終わりか」と思ってたのに、どうもそっからの進みが辛いなと思ってたんだよ。ああ、気づかなければよかった。

単独で出発していくライダーを見て「夜間は集団で走った方がいいんだけどなあ」とリチャードがつぶやく。「僕は遅すぎて1000km中800kmを孤独のうちに走ったよ」と伝えるとデイビッドが大笑いしてくれる。笑い事じゃないぜ。でも、とにもかくにも独りっきりで走ることには慣れたけど。

残り45km。三人で走りだすけど、前走の集団を取り込んで7人くらいに。デイビッドが(何故か)飛び出したので、おっかける。ここらあたりで左膝が痛む。ダンシングすると膝がくずれそう。うーん、もうだめ?どうも今日は全体的に踏み込むペダリングになってしまっていて、膝の上を使いすぎてしまっていたのだろうか。回すように回すようにギアを下げて行くと、こんどはついていくのが難しそう。デイビッドに速いね、っていうと、この時期はまだまだ、35km/hくらいで巡航するようになるよ、とのこと。還暦を越えているとのことなのだけど・・・。どこで練習してるの?と聞くと、ジムとひとこと。スポーツジムで?マジかよ。かなり追い込むんだろうなあ。ひとりじゃきついんだよね、エアロバイクとかで追い込むのって(さぼっちゃう)。今年はカスケイド1200kmに参加するのだそうだ。いいなあカスケイド。でたかったなあ。とまるでさくさく英会話しているように見えるけど、完全日本語会話・・・。

残り35kmほど。曲がりながらの登りで遅れた。後ろについていた人たちが僕をよけて前へ。心が折れる。折れた。なんか脚が回らない・・・。登り切るとまだ彼らのテールライトが見えたが、やがてそれも消えて無くなる。うーん、ここで折れたか、ダメだったか・・・。無理せず後ろにひっついてりゃよかったなあ。前回、前々回のブルベで築いてきた心の柱が砕けたようだ。でも、もともと速くないんだから仕方ないじゃん、と思うもくたびれてしまった心には届かない。まあ考えてみろよ、あの武者修行の旅の間、僕は結局目指していたどの背中を追い上げることもできなかった。彼らと走れるのはウォーミングアップの間か、グループライドのコンセンサスができているときだけ。ほとんどは彼らが「よーしいくかー」ってなったらすぐに置いてきぼりだった。ブルベでも、ショップのライドでも。走っても走っても、ちっとも強くなった気はしなかった。日本に戻ってきてようやく、この国を離れるときよりは強くなっていることに自信が持てたけど、しかし望んでいる程ではなかった。もともと運動なんかろくにしてない子だったんだもの、仕方がない。できるのはただ走るだけ、走るだけ。走らないと。

速度が上がってきた。もう前走集団に戻ることは絶対にできないだろう。でも、足が回る間は回せるだけ回そう。来週、再来週はもっと重要なライドがあるけど、そのときはそのとき。そういや1200の前にダブルセンチュリーにでて、最後にがんばってその後数日間階段を降りるのも大変だったな。ばかだよな。そうやって積み重ねてきた何かを糧に、遅くともどれほど時間がかかるとも、走る。

信号あけにぐっと飛び出したら、後ろから声が。誰かがおいついていたのだろう。電話してたのかな、と振り返りそのまま坂をダンシングで登っていく。ケツに血が通ったら腰をおろしくるくる回す。なんにもない暗い道なのに。なんか電飾が青白く華やかなツリーみたいなのが並んでいた。なんでこんなところに、とちらりと視線をおくると台座にプレートがはまっていて、一瞬読もうか写真とろうかと思うものの、坂なのでそのまま登る。思ったより長い坂だったが登りきり、走りだすと時計が。10時をまわってしまっていた。もう15時間以内は無理なのだなあ、あと数キロなのに・・・。あと何キロだろうとGPSのバックライトを灯すと・・・ミスコース・・・。どっからだ?もう3キロくらい来ちゃってるの?・・・つうことはあの坂を登った努力って・・・。こういうときは逡巡する必要は無い。すぐにUターンして戻る。

さっきの声はミスコースを教えてくれていたんだなあ、と気がつく。ああ、人の厚意さえ受けれないダメな男だよ俺は。残り5km。情けない自分をこの暗がりの中で鼓舞するには歌をうたうしか無い。自然とあの歌が流れ出る。津軽海峡冬景色がそれだ。ご覧あれが竜飛岬北の果てよと・・・実にいい。

最後に小さな丘陵をひとつ乗り越えると果たしてそこがゴールであった。レシートを受け取り、しかしこれで終わりではない。5キロほど先にあるスタート地点へもどって書類を提出しないとならないのだ。ゴールした僕にとってそれはウィニングラン。そしてそこでもミスコース・・・。GPSに無い新興住宅地ができてて抜け出せなくなるという痛恨事。集合場所に辿りつけたのは結局11時ごろ・・・。



スタッフのかたにデイビッドさんたちが感謝していたと伝えられる。とんでもない、こちらこそだ。最後までついてけたら良かったんだけど、残念。まあ、走り続けてさえいればまたどこかで会うこともあるだろう。スタッフの方々にご挨拶してさらに3キロほど先の駐車場へ。そこでもミスコース・・・。結局、総走行距離はダブルセンチュリーを超えてしまっていた・・・。この経験もきっと僕を強くしてくれるに違いない・・・。

さらに、駐車場で駐車券をなくしたかと大慌てして・・・
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