新調したGPS、GARMIN GPSMap62sはフリーズが多い気がする。300kmブルベでは感じ無かったけど、今回は操作をしていてふと気づくと画面停止している。ルート再検索でハングアップするのならわかるのだけど、そういうわけでもないので意味が分からない。うーん、これは60Jに戻すしか無いのかな。あれ、メモリ容量が少ない上にSDカードスロットもないんだよな・・・。
いくつめか数えるのもめんどくさくなったPCで食事。サブウェイのようなサンドイッチ屋さん。気温が少し下がってきているので長袖ジャージに袖を通す。ここからは基本的には下り基調のはずだ。もう少し先からサンタアナリバートレイルというサイクリングロードに入る。クルマも信号もなくって走りやすいと考えるか、真っ暗でめんどくさいと思うか。もっとも、クルマの量は時間的にかなり減ってくるころだ。
サンタアナリバートレイルに入る頃からマシュー君のペースが落ち始める。これは・・・眠いんだな。僕は不思議と眠くはないが、なんだかくたびれた。あと100kmほどでモーテルなのだけど、ここでのペースダウンはきついなあ・・・。強力な前方灯火でそれなりの速度を保ちながら走るが・・・それなりの基準がどうしても下がる。この道、途中で砂丘ごえがあったなあ、と思っていると急にタイヤをとられたので降車して数百メートルを押し歩き。もううんざりだ・・・。遠くの空がオレンジ色に照り返されている。ロサンゼルスだろう。マシュー君のペースがでない。僕も小さなアップダウンの繰り返しでかなりキテイル。どうしようもないので、サンタアナリバートレイルが一旦途切れたところにあるPCでマクドナルドに入り休憩。マシュー君と細君に仮眠を取らせる。僕は残念んがら寝付けないのでボトルの水を準備しておいたりして待つ。結局、このマクドナルドに45分ほど。閉店時刻(12時まで。ファストフードとしては結構遅くまでやっている方だ)だから、と二人を起こし再び夜の道へ繰り出す。なんとか睡眠時間を確保したいけど・・・。
パンク。まっ暗いトレイルの脇によせてタイヤのチェック。何度かタイヤの内側を撫でていると、ほんの小さな金属片が刺さっているのに気づく。おそらく、夕方のパンクの時に取り除いた異物の残りがあったのだろう・・・。なんとか直して走り直すと、無灯火のルックMTBに乗った少年たちとすれ違う。こんな時間にこんな場所をどこへ行くというのか・・・。
アナハイムからコスタメサ、そしてタスティンへと進んでいく。このあたりは生活圏だったこともあり戻ってきた感がある(地名もすらすらとでてくる)。同時に「どのくらい遠いか」も分かりやすくて心が寒い。オーバーナイトPCまでずっと登りってこともわかっちゃうし。さて、街中を登り続けてサンティアゴキャニオンロードへ入る。真っ暗な山間の谷にある道。確実に一本道なのになぜだかインフォPCが設けられていてむかつく。しかもコースから300メートルほど離れたところにある標識(ここの質問は標識についてのものであった)をこの真っ暗闇の中探さねばならない。このインフォコントロールは時に非常に腹立たしく、以前は6人で真っ暗闇の中探し回ったけど見つからなかったこともあった(このときは柵にぶら下げてあるノートにサインしろというものだったはず)。その時はコヨーテに食われた、という結論に達して通過した。
サンティアゴキャニオンを走っていると、数回、後席側がぐらりとゆれる。それで目がさめるようだけど落車しないかとハラハラする。ウトウトとしているようだが、ここは踏ん張ってもらわないと困る。少しでも休む時間を稼がないと・・・。とはいえ、1時間眠れるかどうかだろう。よくよくルートを見直し、オーバーナイトPC>モーテルの順番で走るつもりをモーテル>オーバーナイトPCとすることにする。このほうがすこし多く休める。ただ気を付けない(寝過ごすと)とタイムオーバーで終わりだ。
※385km地点。僕の影に見える人は既にゴールしている・・・。
モーテルは前泊後泊もする場所なので、物資も充実。部屋に入るとマシュー君にベッドを割り当て(彼はすぐ寝た)、細君と僕は順番に風呂に。待っている間にパンやカロリーメイトを突っ込む。風呂からあがるとウェアを着、補給物資を積みこんですぐ寝た。寝たといっても・・・30分ほどだろうか。45分は眠りたかった。90分眠れればかなり良いのだけど。さて、リポビタンDを飲んでさらに2本をトランクにつみこんで5時半すぎにモーテルを発ち、数キロ先のオーバーナイトPCである主催者の家へ。床にいくつかの寝袋がしかれ寝ている人たちがいたようだ。リビングではスタッフの人達が食事やなんかを用意してくれている。僕らは2枚目のキューシートとブルベシートをもらい「誰かゴールした人いるの」と聞くと、テーブルに座っている若そうなサイクリストがフィニッシュしたのだという。24時間台か・・・。つうかこれからまだ200km以上あるのに僕らは・・・。
※典型的ブルベ自転車
マシュー君を追い立てて外へ出ると、すでに空は白んでいた。ここからは標高差にして300メートルほどの下りだけど、つまりそれは最後にそれだけの登りがあるということだ。しかも街中だから行きはまだしも帰りは交通量と信号にも苦しめられるだろう。220kmほどを14時間以上残っているから普通に考えればゴールに心配はないけど、ちょっと普通じゃないしな。不安な気持ちでニューポートビーチへ下っていく。次のPCはそこだ。
ニューポートビーチまでの下りで多少の時間を稼いだ。2時間は欲しいけど、1時間以上は稼げた。胸焼けしているのでカロリー高めのドリンクで済ます。それからハンティントンビーチ方面へ走ってこんどは河口側からサンタアナリバートレイルへ。今日はコース全長の3割ほど、70kmほどがサイクリングロードのはず。コンクリで川底まで完全護岸された川を眺めながら走ることほど退屈なことはそうはないだろう。そのせいか、だいぶ速度がでない。上流へ向かうとは言え無視できるほどの平坦のはずなのに、20km/hキープに苦労する感じ。いくらなんでも・・・この体たらくでは・・・ダメなんじゃないか・・・。
※「おれ30分しか寝てないだよねー。超ヤバイよねー。30分しか寝てないんだー」
ヘロヘロになりながら昨晩サイクリングロードを外れたところまでさかのぼって、昨晩とは逆方向に向かう。すぐにみつけたスターバックスでトレイ休憩を宣言してしばらく休憩し、走りだすと、パンクに気づく。3回目か・・・。というか、どうやらこのせいっぽいな、速度が出なかったのは・・・。デカイだけに緩やかに空気が抜けてたりすると気づきにくい。目視もできないし。総身に知恵が回りかねという感じだ。タイヤに異常は見当たらないので、パッチを貼ったチューブのせいかと、マシュー君にチューブを分けてもらう。28cまで対応のチューブで助かった。後ろから追い上げてきたサイクリストに「こっから先は山、町、山、町、の繰り返しだ。けど、上昇量自体は昨日より緩くなってるから安心しろ」と言われる。確かに昨日に比べれば楽なはずだけど。
ずっと郊外の新興住宅地が続く。山と言っても同様。郊外の丘陵地帯を開発した住宅地帯がひたすら続く。そこに無駄なくまっすぐぶち抜いた幹線道路を走っていくので・・・非常にキツイ。頭の中では意外とタイムに余裕がある計算なので、キツイ部分は手を抜いてゆったりと行く。実は少々会陰部が痛い。汗のせいでケツ毛がこすった部分が傷んでいるようだ。そのせいで立ちこぎすると座るときにヤバい痛みが走る。そんなこんなで丘陵住宅地帯半ばにあるPCへ。大きなショッピングモールなのだけど、あまり開いている店がない。住民も多そうだし交通も多いのに、休日にこの人手じゃまずいんじゃないか・・・と思いつつオーガニックスーパーで飯を買って食う。
この日一番景色のいい場所。ただの裏山みたいなとこ。
それからも同じような丘超えを繰り返す。頭の中ではこの時点で2時間くらいの余裕があるはず。”頭の中では”そうだったのに次のPCで「タイムアウトまで残り10分切っていた」ということに気づく。というか5分くらいしかないじゃん!このままじゃ最後の登りで確実にタイムアウトする・・・。ブルベオワタの声が頭の中に響きだす。でも、最後の30km以外は基本的にはフラット。ここまできて、タイムアウトはできねーだろ、シートクランプを用意して閉店後まで待ってくれていたバイクショップの店長にも面目たたねえ。
ペダルをぐいと踏んで、必死に加速し次のPCは・・・2km先?なんだそれ・・・。マジカヨ。インフォコントロールでした。まあいいや、気をとりなおして、嫌なことは気づいていても見ないふりをして堤防にあがると・・・。びゅうびゅうという風が。見ないふりしてたのに・・・。そう、ここからは海にむかって走るので確実にずっと向かい風。かの有名なサンタアナウィンド。そして遮るもののないサイクリングロード・・・50km。さて、できるかな?
出来るかどうかは問題ではなく、やらねばならぬ。後席にケイデンスが95-85に来るように読み上げることを伝えて下ハンを握って走りだす。どこまでもつまらないサンタガルシアリバートレイル。コンクリ護岸が初期のポリゴンカーレースのような感じさえさせる。それでもノンストップで行けるのは幸い・・・と思いきや妙な分岐(馬の糞が落ちてた。たっぷり)や、水没した地下通路(いくつもあった)の迂回などのせいで意外と手間取る。水没ってなんだよ、まったく。マシュー君が「そんなに気張ってると足つるよ、故障するよ」「落ち着いて!無理しないで」と言ってくれるけど、風がひゅるひゅるいってるのをいいことに聞こえないふりでガン無視。かなり感じが悪いのはわかってるけど、どうしようもない。マシュー、君が思っているより僕らは登りの速度が出ないんだよ・・・。だからここで稼がないと。
河口に近づけば近づくほどに風が強まる。細君がもう少しでパシフィックコーストハイウェイだと言うが、そんなことはいちいち考えず黙って回せと返す。道に鴨が並んで座っていたり、川を漂う流木に鴨が乗っていたりと微笑ましいシーンもあるがシカト。しかし・・・どうでもいいんだけど、乗馬している人がやたら多いんですが・・・。余裕があればおもしろいなーって思えるけど、こういう時にはちょっと困る。なにしろウマに対しては自転車も歩行者も譲らねばならないのです。
そして河口。河口のカフェの営業時間がここのCPでのクイズ。もう自転車を降りもせずに通過。マシュー君が「おいおいCPだぜ!」と言うので「クイズの答えはめもった!」と叫んでそのまま行く。続いてパシフィックコーストハイウェイ(PCH)を20kmほど。向かい風では無くなったけど、ハンティントンビーチとニューポートビーチでの交通量が厄介。途中一回トイレへ寄って、走りきり・・・最後のPC到着が午後6時前。20km以内でPCってのもどうなのよ。まあいいや。ゴールまで30km、残り時間3時間。間に合う・・・よね?
このPCには数人が屯っていたのだけど、だいたい同じくらいにスタート。みんなで走る・・・が、登りになると置いてかれる。そして街中に入りやがて一台に。残り15kmほど。最後の最後で長いのぼり坂がある。細君も、ようやくそれを思い出したようでタイムリミットへの緊張感が高まる・・・。またかよ、って感じだ。これでタンデムでPBPなんて行けるのかね・・・。その長い登りにさしかかるところで、マシュー君がわざわざもどってきてくれた。どうも僕らが脱落したことに気づかなかったらしい。あんまりにも遅いんでパンクしたのかと戻ってきたそうだ。
※「ピース」
最後の最後でさらに斜度が急になるところをひいころえいこら登ってゴールへ。ゴール時間は39時間15分。BigSur 600kmとさほど変わらない・・・。むしろあのときよりケツも相当痛いし筋肉痛もひどい。これで1200kmなんか時間内に完走できるのかね・・・。さとう どうなちゃうんだろう。ほんとにしんぱいになてきた。