千本松原の脇の東海道を走りながら夜が明けていく。車どおりはさすがに少ないけど、時折大型の保冷車らしきトラックが行き過ぎる。Pさんがまれにふと車体一台分横へ出るのは後方確認なのか疲れなのか。念のため車掌の僕がちょっと右へより後方からの車を牽制する位置に。Rさんは相変わらずの機関車ぶりを発揮して先頭を引いてくださっている。左手を見るとまさに千本松原といった感じでどこまでも砂地の上に松林が続いている。残念ながら角度的な問題なのか、距離的なのかすぐそこのはずの海が見えない。あるいは光の加減なのかもしれぬ。左に松原、前は一直線、右は時々車という状況が10キロほどにわたって続き、さすがに単調。その単調さは田子の浦で唐突に打ち切られるが、こんどは富士由比バイパスで規模拡大の上に再開することに。しかし、このあたりからは雲ひとつないといっていい空の下に白抜きで浮かび上がる雄大な富士の姿が。そして振り返ればまさに日が昇り始めようとしていた。
富士由比バイパス周辺の自転車の走れる場所が心配なところだったのだけど、それは特に問題なくクリアすることができた。広い広い富士川を越えてバイパスを離れ、時間を確認すると22時間チェックを次のPCでできるかは微妙。安全策を打って、他のコンビニか、あるいは駅や公園の時計を撮影という手段にでるか・・・と考え始める。
マシュー君が遅れる。足が痛いのかと聞きに行くと、薬が効いていればなんとかなるんだけど、眠気が・・・とのこと。ここは食いしばってくれマシュー。あと少しで22時間チェックをしてPCで休憩を入れるから。こっちが苦しいときは敵も苦しいんだ。ここを耐えれば、勝てる。
もしもの時のために、街頭の時計などをチェックしながら走る。万が一どうしようもならないときは急いで戻って22時間、つまり午前6時の所在地証明のための撮影をするのだ。けれど次のチェックポイントも僕のGPSではすぐそこってでている。そうだよ・・・すぐそこ・・・。22時間に10分弱の余裕をもって由比のサークルKへ到着。いやあ、余裕というほどのものではないけど。誰もが安堵と疲労の混じったような雰囲気をかもし出している。かもし出していると言えば、フグジャケットの前を開くといい感じの汗臭さがかもし出されてくるので早く風呂に入りたい。朝飯を食い、しばらく休んでいると別のフレッシュチームが目の前の道を駆け抜けていった。静岡の一点にむけて各地から放たれたフレッシュチームという矢が、今まさに標的へ突っ込もうとしているんだなあ。

由比からゴールの久能山東照宮下のコンビにまで残り役26キロ。時間は1時間半。よほど油断しなければ間違いのない距離と時間だ。由比からは東海道は自動車しか走れないので、その脇の太平洋自転車道を行くがこれがひどい代物。自転車道というか、廃道?1970年代には茨城あたりの海岸から太平洋沿いを大阪あたりまでつなぐ自動車道が計画されていたというが・・・やる気ねえだろ。砂はたまってるし廃材置き場になったりしてるぞ・・・。
清水から太平洋側の道へ。輝く陽光にキラキラと輝く太平洋は、昨日見た草木湖の輝きとは違ったダイナミックなものだ。見渡す限りの水平線・・・とか思っていたら他の四人からぐんぐん遅れ始めたので、最後の力を振り絞ってまわしなんとか車掌に戻ったところでゴールへ。まだまだ20分くらいの猶予時間が残っている。24時間めのレシートをここでもらえば終了なのだからとガリガリクンを買ってしばらく休む。見るとみなもアイスクリームを買ってる。天気は最高によくって、まだ8時前だというのに暑くなりそうな予感がしていた。
オマケ
・ゴールで見つけたニッコー