PC4はミニストップ。暖かくくつろげる椅子とテーブルのスペースが有る。ペペロンチーノスパゲティがあったので、ゲット。誰かに「そんなによく食べられるね」みたいに聞かれたが、いや違う、食わねば死ぬぞ、と答える。ブルベで学んだことの中でもっとも大事なことだ。食えるときに食う。食えないと思っても、食う。たしかに胃腸は拒否しだしていたけど詰め込むと、頭上に628pts up!(Kcal)の文字と体力ケージが伸びる様子が浮かぶようだ。周りでは参加者同士のおしゃべり。誰かがこの近くに駅があるという。もうこの時間では汽車もなかろうが。うん、護衛対象者はどんな様子だろうか・・・もしものときは朝までここで待ち、輪行という手段も。まずPさんは絶好調。なんでこんなところに来て元気なのかと問うと、「70kmくらいを越えると元気になれる」とのこと。いやいや、あなたが元気になったのは150km近くになってからのような気がします。マシュー君も元気になったようだ、勝手にフグカメラで目についたものを撮影し、ニコニコしている。まあ、大丈夫なようだな。こっからビーフラインだけど大丈夫か、と聞くとOKという。OKらしいからいいや。
ビーフラインへ入る。声をかけ合うともなしにさっきのグループ?が再結成。ビーフラインのこちら側からは、序盤のアップダウンが大きく下り基調でらくちん。ジェットコースターのようにカタカタ登ってはダーッと下る。いくつか繰り返すと一旦おやすみ。他の参加者に「ここまでは練習ステージ、こっからが本番ですよ」というと「え!まだあるんですか!」とのこと。こっからの人里離れて行く無限の上り下りがビーフラインなんですよ・・・。10人ほどの集団。これだけの人数がいるとまぶしいほどに明るい。全然寂しくない。Pさんはなぜだかさっきほどの活気はなくなったけど、代わりにマシュー君がやたら勢いがよく登り始める。トリプルギアの威力を発揮させはじめたようだ。登って下って登って下って・・・。繰り返すものの、全体の速度が低くってなおかつ暗いせいで登りの先が見えないのであまり恐ろしさを感じない。一人で走ったらまた別の感想なのだろうけど。GPSに仕込んでおいた「半分!」「そろそろ終わり」という自分へのメッセージが心を和ませる。「そろそろ終わりから1区間走り切ると何かのスポーツグランド脇にでたので「ごちそうさま!」と叫んでおく。そして笠間を抜ければ道祖神峠という最後のヒルクライムなのだけど、寒いし腹も減ったのでここらあたりにあるという噂のマクドナルドへ・・・。と思ったがマクドナルドは無かったので、ルートを少し外れたローソンへ。一息入れて最後のひとがんばり。
走りながらマシュー君へ「ツーマイルズ、アベレージセブンパーセント、マキシマムトゥエルブパーセント」と伝える。OKと答えて彼が増速するところで気づいた。どっから3kmなんだ?うーん、それがわからないと意味無いじゃん・・・。29Tのインナーローを駆使してこつこつと登る。Pさんもマシュー君もするすると登っていってしまった。でもまあ、故障気味だから控えめに・・・。特に追い込む理由もないしー。てっぺんではグループのみんなが待っていてくれた。お互い名前も知らぬ者どうし、しかしビーフを越え道祖神を越えてきた仲間意識のようなものがあったように思えた。あんまりブルベでこういう感じで走ることは無かったので新鮮。だいたい単独走ばかりだからなー。
てっぺんでみんなが揃ってから降ろうという感じなのだけど、マシュー君がライトの調整をしているのを待っていてくれているらしくなかなか進まぬ。寒くて仕方ないので、とりあえずバラバラに下りてきましょーよと声を掛ける。固まって下ってマシュー君の落車みたいになっても良くないしね、と。何番目かにフグダイブを開始し、3つめのコーナーあたりを抜けたときに、後ろでジャッ!という音とマシュー君が叫ぶ声が。マシュー君がふっとんだのか、と思って停止、登り返すとコーナーのアウト側の土手の上のほうに自転車がひっかかっていてマシュー君が回収しに向かっているところ。ライダーは運良く草むらを滑ってったみたいで無傷とのこと。パンクの修理や自転車や体の確認などでなんやかんや1時間ほどたって、体の芯まで冷えた。ようやく坂を下りきると夜がうっすらと明けて、霧のなかに浮かぶ景色を抜けてPC5へ到着。さらに暖かくなるなかPC6。フグレンジャーとしての使命の重さからか、全然眠くならない。暑くはなってきたのでついにフグジャケットを脱いでフグバッグへしまうことに。工具修理素材一式、予備リアライトに上下レインウェア、グローブ、ソックスそれぞれ二組、さらにフグジャケット・・・。すべて詰め込みまだ余裕があるフグバッグの素晴らしい積載量。でもなぜだかどんどん自転車が重くなる・・・。
さて、残り55km。まだ24時間前後でゴールできるんじゃないかなあとか淡い希望を持てる時間。ふたりとも元気そうだし、がんばるぞーと思った途端、マシュー君が無茶苦茶な減速。どうしたんだ、と様子を伺うとこけたときにうった膝が痛くてたまらないとのこと。捻挫か。残り50km、どうする?と聞くと「行く」。じゃあ行こうか。でも速度は20km/hもでていないくらい。まだ余裕が無いわけではないけど、これ以上悪くなっていけば当然タイムアウトも考えなくてはならなくなる。マシュー君と僕は仕方ないが、これが初400kというPさんを巻き込むわけにはいかない。「先に行ってください!ここは僕が守ります!」と伝えるがPさんは「ここまでともに戦い抜いてきた戦友を置いて自分だけ行けるわけがない!」と一喝。全米が涙に濡れる。
結局1時間以上の余裕をもってゴールへ到着。しかし昨日の天気はなんだったんだというくらいの好天。竜胆さんやkskさん、たけさんらが(Pさんを)待っていてくれていてお祝いムード。マシュー君の膝も氷川温鍼堂の設楽さんにケアしてもらい、テーピングとアイシング。フグレンジャーとしてできることはもう無かった。