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【落武者魂】 10 BRM320埼玉300km
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落武者魂

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10 BRM320埼玉300km

BRM320 アタック日光東照宮

 この週末は雪中400kmだったり深夜の風雨の300kmだったり、山岳暴風突破の300kmだったりしたらしいのだけど、僕の参加した300kmは実に平穏なものであった。まっこと日ごろの行いの成果というのは恐ろしいものである。毎朝毎晩、信心深く過ごしている僕に正に死角無し。気温も天気もよいすばらしい一日だった。



 7時にスタートした僕らは川口から一路北へ向かう。はじめのPC1まで107kmはほぼ完全な平坦。北関東の地平線を目指して突っ走るライドを存分に楽しむ。kskさんとzucchaさんに引いてもらってるのだけど、時々前へ出ると不慣れなためにペースアップになってしまうらしく迷惑をかける。大体勾配を利用して前へでるので速度が上がっちゃうんだよね・・・。とか思っていると3時間半ほどでPC1へ到着。セブンイレブンでがっつり食う。とにかく食わないとだめなんだ。次のPCまで飯が食えると思うな、次のPCが開いてると思うな、を胸に七つの星とともに刻まれてきたのだから。





 



 PC1でそろそろいくかという用意をしていると、kskさんが今後のプランを話してくれる。おそらく、その内容に不穏なものを感じたのであろう、ゴミ捨てに行くから先に行っていてもらうようkskさんを促す。そしてこれ以降、僕は一人旅となるのであった。いつものように・・・。そして今回の峠セクションへ。ブリーフィングでは滝ヶ原峠は非常な劇坂で前輪が浮いたり後輪が滑ったりするから注意とあった。さてはたしてどんなものなんだろうか・・・。いずれにしろ一回しか上らないはず。

PC1を出ると道は若干上り勾配になり、だんだんと山間の態をなしてくる。ひとりになったこともあって、先ほどまでのようには速度もあがらない。遠くには山々が、角度によっては冠雪した奥日光の山岳が見え隠れし「ここまできたんだなあ」という思いを抱かせてくれる。



 さて峠になってきた。斜度はそこそこだけど劇坂というものではないなあ、とこつこつ上っているとあっさりと峠の切り通しにでる。向こうから上ってきて座っているサイクリストに声をかけると、聞き取れないほどの訛りで驚く。そんなに田舎ではあるまいに。しかしこれが音に聞く滝ヶ原峠なのか?たいしたことねえな、と思って下ると小さな集落にぶち当たる。集落の真ん中には立派な道があり、「日光」までの青看板がでているのだけど、ルートは左側へ引かれている。ということは、登るのね、これから。やがて本当に細い集落を過ぎると滝ヶ原峠へ入っていく林道。これは・・・確かにきびしい!



 はじめこそ斜度も常識的なんだけど、だんだんと厳しくなってくる。さすがに前輪が浮くだの後輪が滑るだのってレベルじゃあないなと思っていたら頂上近くの九十九折を曲がっているときにずるりと行った。脚力がないのでペダルをまわすというより、一回一回「ぎし!ぎし!」と押す感じになってしまっているのでこうなってしまうのだ。数人のブルベ参加者に抜かれたけど、彼らはみなスムーズに回せていた。うらやましいなあ。

 登りきり、一気に下れるかというとそうでもない。滑り止めの砂が満遍なくまかれ、雪解けの水と乾いた泥濘のあとがのたくった路面は気を抜くと簡単にタイヤのグリップをすっぽかしてくれるだろう。ただでさえくだりに弱い僕だ。ブレーキを握りっぱなしで降りていく。やがて日光の谷間が目前に開けた。



 PC2は日光東照宮脇のセーブオン、ちょっとした買い物をして自転車をまたいだときにレシートをどこかへ放ってしまったことに気づいた。あぶないあぶない。水を買いなおして再出発する。ここではほとんどとまらなかった。なぜなら湯葉を食わなければならないからだ。

 

 ルートは東照宮の参道へと入り込む。石畳の路面は非常に走りにくい。ここを走り続ければヨーロッパの石畳を走るのも容易になるのだろうか。湯葉を食わねばならぬという焦りとともに、やはり観光をしなくてはならないという強迫観念に襲われる。だって日光に来てるんだから。近くの観光客に頼んでスナップを一枚。



 いつも思うんだけど、写真に写るときはジャージは上まで閉じとくべきだな。さて、残念なことに「おいしい湯葉レストラン」はコースを戻る方向へ登らなくてはならなかったのでそれはやめることに。駅前にうまいもの無しなのはわかってるんだけど、観光レストランに入って湯葉丼を食す。ちょっと待たされたけど、それはよし。



 いつも思うんだけど、湯葉って食べてうれしくなるものでもないよね。でもなんだか食いたくなるんだよな・・・。再出発するとJR日光駅へ向かう。フレッシュというチームライドのスタート地点をここにしたので、その調査のためだ。スターと時刻の証明を「切符」で行おうと思っていたので、切符に時刻が印字されるかどうかをちゃんと現地で確認。切符を購入。この駅舎自体も観光名所。大正元年に建設されたというから立派なものだ。





 さて、帰りは先の劇坂を通らずゆるいアップダウンを繰り返して南下する。「劇坂と勘違いした」峠で行きのルートへ戻り、ここからは同じ道を帰るのみ。そんなところで、結構参加者にすれ違ったのだけど大丈夫だったのだろうか・・・。さて、現在はスタートから7?8時間というところ。おそらくは170km地点くらいではないだろうか。このまま行けば15時間は確実。13時間台もいけそうだなあと皮算用をしていたらパンクした。路肩に寄せて久々のパンク修理。なかなか手際いいじゃないか、とボンベで一気に空気を満タンにする。ボンベってこんなに入るんだな、とパンパンになったタイヤを脇に置き、バルブを閉めて片付け始めると・・・破裂した。破裂の音が山々にこだまする・・・。ええー!やりなおしかよ!やりなおして、こんどは怖いのでボンベで恐る恐る入れていると、空気がぜんぜん足りない!ふにゃふにゃなままボンベが空になる。ああ、と空を見上げると大権現のお顔が浮かび「過ぎたるはなお及ばざるが如し」と僕に語りかけてきた。畜生!うるせー!どうするんだこれ!仕方ないので、ミニモーフという貧弱なポンプでポンピング。へとへとになるまで・・・このポンプ、けっこう使う頻度高いなあ・・・。



 PC1だったPC3へ戻り、でもさっきがっつり食ったからとウィダーインゼリーを流し込んですぐに出発。結構なタイムロスしたけど、足は「そこそこ」回ってるようでほとんど誰にも追いつかれないままPC4までたどり着く。ちょうど日が沈みきる前には到達できなかったけど、まだがんばれば13時間台もあるんじゃないかなあ・・・。と思ったら甘かった。気になっていた向かい風はついに本気を出してきたようだ・・・。



 いやだいやだ言いながら道を戻る。川口へ向けて。こんなのは先週の千葉に比べれば・・・と思っていたが、きついものはきついのだ。残り50kmがなかなか縮まらない。野田に入って市街地の建物が風をさえぎってくれたときにはよろこぼのあまり「さいたまさいたまさいたま!」と埼玉をたたえて叫んだけど、よく考えたらまだ千葉であった。これは大変な失礼であったらしく、大渋滞で進めなくなる。足も売り切れたころに、二人の参加者が追いついてきてちょうどぼくが先頭になる形で7~8kmを走ることになるが、最後のセクションでそのうちの一人が僕の前に。そしてだんだんと本気を出し始める。ここで千切れるわけにもいかないので、なきながら血反吐を吐きながら彼にくらいついていく。最後のここにきて結構なペースでゴールへなだれ込み、フェンスへ自転車を立てかけて礼を告げる。あのままやる気のないペースでは15時間かかってしまったかもしれない。まあいい、やれやれ、ようやく終わった。やっぱりウィダーインゼリーじゃカロリーが足りなかったかなあ。
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