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【落武者魂】 08 LA RUSA 600km

落武者魂

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090608BRM アタックビーフラインUSA その三

夜の町は速度が上がらない。すこし町外れになると途端に路面がわるくなるので侮れない。対向車のライトの幻惑は相変わらずだ。発電所だか変電所だかがあって、頭上で高圧電線がジリジリとうなっている。時にスパークが散ったりしていてきれいと言えば奇麗。しかし寒い。6時も過ぎれば日も射してくるだろうと信じて走る。

いくつかの小奇麗なハーバーを持つ町をすぎて30kmほどたつと断崖絶壁のPCH、太平洋岸道へでる。微妙に霧雨(アルバムの写真ではオーブみたいなのが写り込んでますね。自動発行のフラッシュのせいです)。ここからマリブまで30kmはずっとこんな感じなはずだ。そして折り返して30kmほど走る。なんというか、こういう景色って写真とかで見ていると感動ものだけど、実際に日常に組み入れられてしまうと”それなり”なんだよねえ。あるときものすごい勢いで他のサイクリストに抜かれる。ものすごいパワフルなスピード。まるで発動機がついているような、そんな迫力が伝わってきた。いや掛け値無しに”自動車と同じ勢いで走ってる”!。まあ、こっちは400km走ってきてるんだからそのくらい差がつくわな。と思いつつもすっかり速度の乗らない自分が悲しくなる。なんとか平均時速20kmキープがせいぜいだ。

とか考えているとさっきのサイクリストが反対車線を走り抜ける。僕の名前を叫びながら。ゴールドラッシュジャージの女性。ええーもう折り返してきたの・・・?あっという間に30kmほど差がついたっぽい。あれがRAAMソロ完走者の走りか!悪夢のようだ!いやマジで!!

彼女とすれ違ってかなりの時間がたった気がする。ようやくマリブ。ここではスターバックスのあたりがCPと書いてあるが、なかなか見つからない。うろうろしていると名前を呼ばれてスターバックスのベランダ席にいるスタッフを発見。PBP完走者カップル、アントニーたちも入ってきてしばし休憩。「ここから先はだいたいフラットさ」と言われるが信じない。アントニーたちが出て行った後もだらだら休んでから出発した。しっとりとぬれるほどでもない霧も薄れ、しかし雲はまったく陽光の差し込むのを許さない。カリフォルニアらしいというえばそうだ。今日も前半曇り、後半晴れになるのだろうか。

折り返しの30kmは特に下り基調という訳でもないけど、ほんの少し短く感じられる。PCHの入り口近くで名前を呼ばれる。対向車線をマリブに向かって走るサイクリスト。僕がモーテルを出たときに入ってきた人だろう。内陸へ入る。太平洋はこれでおしまい。太平洋沿いだけで200km以上走っているだろう。内陸に入ると、なんだか千葉というかなんというか。えーと、宇都宮ライドみたいな感じ。これが水田だったら日本だなあ、と思うものの道幅は比べ物にならないくらい広い。さっきのPCHやここら辺はやたらサイクリストが多いなあ、やたらとすれ違う。

ああ、あれはLAからベンチュラへ行く途中に見かける町並みだなあ、というところを通る。そういうのってなんだか嬉しいし楽しい。と、いうことはあっちの山並みを越えるとロサンゼルス?ほう、じゃあ家まで150kmくらいじゃね?なんで同じくらいは知って遠くへ行くんだろう。ここらあたりではすっかり雲は無くなっていていつも通りの南カルフォルニアの空。暑い・・・。

新興住宅地っぽい高台を目指す。距離的にはそろそろCPなんだけどなあ。もう登りが続くとまともな速度は出てこない。歩くよりはマシかな、くらい。高台をすぎて下る。嬉しいが、CP到達距離になっても見当たらない。多分、どこかのショッピングモールの中にあるマクドナルド付近なはずなんだけど。GPSの指示通りに脇道にあるショッピングモールに入ったので「お、ここかな」と思うもマクドナルドは無い。仕方が無いので従業員さんにキューシートを示し「モースパークのショッピングモールってどこ?」と聞く。この先の??を??で??だよ、とのこと。よくわからんがもう少し先なのか。念のため「そこにはマクドナルドはある?」と聞くとあるとのこと。

しかし下った先にも無い。2マイルほど走って不安を感じ、キューシートとGPSを読み直す。どこでミスコースしたかわからない。ここしばらくは下りが続いた。もし、あれを登り戻るというならリタイヤしてもいいかも・・・と弱気に。やめようかと思いつつもじっくり考えた末に、多分、このGPSデータはルート作成のときに使ったか、あるいは過去のデータであって、今回のコースと違う部分があると判断。本当のCPの在処をGPSをにらんで推定する。しかたなく戻ってやりなおし、マクドナルドを発見。ふう、助かった・・・。

ここのスタッフはCoolBreezeのスタート&ゴールの面倒を見てくれた夫婦であった。嫁さんはどうした、とかそういう話になる。きつかったと言ってたと伝えると、あのブルベはけっこうきつかったよ、こんど一月にやる200kmはフラットだからまた連れて来なよ、みたいな話に。水やなんかをもらい、昼はマックでランチするというとついてきてくれて一緒に食うことに。僕の前のブルベライダーたちは45分くらい前にでてったそうだ。そして僕の後ろは3時間くらい開いているらしい。待つのも大変だなあ。しばらくがんばって歓談していると日本人のブルベライダーと見知ったことがあるとのこと。後にわかったことなんだけど、それはPBPのときで日本人唯一のタンデム夫婦であった。そしてこのスタッフもタンデムでPBPを完走したらしい。

2時間半くらいしかねてない、という話と家までクルマで2時間くらいという話をすると、奥さんの方が大変心配してくれてカフェインの錠剤をくれる。ここまでで500kmくらいになっていて睡眠不足もあるのだろう、マクドナルドの食い残しと一緒に携帯をゴミ箱に放り込んでしばらく気づかなかった・・・。

「ここから先は長い登り、そのあとはゆるやかなアップダウンがある程度でフラット。最後は向かい風だよ」というアドバイスを背に出発。たしかに長い登り。それをだらだら登っていると、タンデムスタッフがわざわざクルマで追ってきて「水はまだあるか?氷はあるか?頭にかけるか?」と声をかけてくる。せっかくなので少し水をもらう(あまり飲んでなかったけど)。まあ、次のライダーまでしばらくあるものなあ。

またしばらく登っていると今度はSAG(サービス アンド ギア だそうです)の張り紙をしたクルマが並走してくる。PCHのスターバックスでCPをやっていたスタッフだ。「水はいるか?大丈夫か?」とのこと。大丈夫ですよ!と答える。まあ、前回は反芻以上が(おそらく熱中症で)DNFだそうだから慎重なんだろうなあ。さらに登り続け、ようやく山のてっぺんが感じられるようになった頃にSAGカーがやってきて僕の前で止まる。「君の前に何人いるか?」そんなのわかるものか、とは言えない「5人って聞いてるけど?」「いや後ろに4人いるはず。抜いたか?」「抜いてないよ」「え?抜いただろ?」「抜いてないってば。前のCPのスタッフが僕の後ろに2人って言ってたよ」「フムン。でも二人抜いてると思うよ」「よくわからないな」「OK、もういいよ」ってな感じのやりとり。なんで僕が怒られるんだ(w

たぶん、その二人はどっかで飯でも食ってるかしてるんじゃないかなあ、と思いつつ(おそらく抜いてない)登る。でもここまで来たら登り終えれるよ。ただこの区間は追い抜いていくクルマが怖かった。この程度で怖がってたら日本に戻って走れないかもしれないなあ。峠のてっぺんからは一気呵成の下りなんだけど、あまりの雄大な景色に下る途中でとめて写真を撮ったりする。あーなんだか峠らしい峠だったなあ。もう少し日陰があれば・・・。

コースとしては一番右上の端っこへ向かって走っている。蠅がうるさい。あるとき気づいたのは25km/h以上なのに蠅が僕の周りを周回しているということ。僕が臭いというのではなくって、僕より速く飛んでいるんだ。うーん、もしかして強い追い風?素直には喜べない。喜べないんだ・・・。

ついに最後のCPへ到着。残り50kmちょっと。しかし”すごい”向かい風。午後2時15分なので、がんばれば4時半くらいにはつく。本来ならば、ここからは下り基調なんだから5時前には問題なくつくだろう。BobbiがこのCPにいたのだけど、先にクルマででていく。すごい向かい風だよねって言うと「トレーニングにぴったしだよなあガッハッハ」とのこと。だめだ。サイクリストってやつぁ駄目だ。しかたなくそのスタッフに挨拶をして僕も出発。

ここから向かい風の中、僕は心を閉ざし何も感じないように感じないようにと進んでいく。モチベーションは既に失われ、ただ時間が行き過ぎればいずれはゴールに到達しているはずという心境。2時間後なのか3時間後なのか4時間後なのか。それは知らぬ。ただ、眼前にある現実は「50km全部向かい風」という一点のみ。550km走ってきて、世界が僕に与えた答えはそれ。やがて幹線道路をはずれるところの奇麗な新しいGSでトイレを。ここらは古い開拓地らしく、当時の写真などがパネルにして貼られている。歴史を誇っているようだ。

ここからは町中を走っていくのだけど、古くからの町だから道は悪いし、車中からガキがなんか叫んでくるしでもうgdgd。そこから心をとざしたまんまで1時間ほど走ってふと気づく。あ、ここはベンチュラのはずれなんではないかな?はずれもはずれ、まだ10milesくらいあるんだけど、だんだんゴールへ来たんだなあという気がしてくるから不思議。残り5miles地点くらいの商店街に「ANIME GAME」のショップがあって気になったけどパス。残り1mileでダウンタウン。そしてゴールへ滑り込む。ゴールではBobbi夫婦(夫婦だったんだ、この人たち)がRAAMステッカーの大型バンでお出迎え。ブルベカードを提出する。あ、ブルベカードに名前住所を記載していなかったなあ、と思ったら印刷してあった。17時45分、ついに到着。

ああ、ようやっと終わったなあ。モーテルのトイレで顔をごしごしと洗い、頭に水をかける。ああ、ようやっと終わったなあ。Bobbiからピザをもらいコーラを飲む。ああ、ようやっと終わったなあ。皆にさよならを伝えてクルマへ戻る。ああ、ようやっと終わったよ。

ああ、楽しかった。多分、楽しかった。楽しい人たちと走れた。楽しい人たちと出会えた。この楽しさをしばらく反芻して楽しんでいこう。今年は参加できるブルベはもうないだろう。ああ、楽しかった・・・。
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090608BRM アタックビーフラインUSA その二

長く走れば走るほど、感想は短くなっていく。たぶん、脳の記憶能力には限りがあるので、短いライドのことは詳細まで覚えておけるし、長いライドになるとはしょるように記憶しているんだろう。けれどもこうやってこつこつと掘り起こしていると、圧縮された記憶の隙間が開かれたりする。今書き留めておけば、それをいつの日か思い出して楽しみ直すこともできるだろう。いつか自転車に乗れないような日が来ても、今までのライドを反芻していける。

自転車に乗っていていろんな人と出会い、いろんな出来事があった。辛かったことと楽しかったことばかり思い出す。嫌なことは忘れてしまっているのだろう。それは記録されないから。記録しないから。

この600kmも、今思い出し思い出し書くのは苦痛ですらある。眠いし。眠くなるし。でもここで書いておかないと、あとで思い出せなくなってしまうだろう。せっかく苦しんだのだから、後でゆっくり楽しむ日が来るといいなあと思って、綴っている。

=========

「あなたの後ろにあと二人いるわ。三時間遅れで」とBobbiは言う。それから食事にするかシャワーにするかを聞いてくる。ここは事務本部みたいな扱いなのだろうか。他にブルベライダーのために部屋が取ってあり、後でそこで寝るように促される。パンクして参りました、と僕は言う。食べてからシャワーにします。Bobbiがスープとシチューを皿にいれてくれ、あとベーグルを食う。日中とはうってかわって気温が下がっていたので、暖かい食事がなによりありがたい。エネルギー不足もあって下がっていた体温があがってくるようだ。

「あのクルマにRAAMのステッカーが貼ってあるけど、このグループで出るんですか?」と聞く。Bobbiは「x年前にサポートしたときに貼ってはがしてないのよ」みたいなことを言う。そして「来年は4人チームで出るの」と。はあ、やっぱりRAAMなんですね・・・。「xxxいるじゃない、xxx」多分、ゴールドラッシュジャージの女性のことだ「あの人は去年女性ソロで完走したのよ」という。150mile差だったけど、みたいなことも加える。

「日本でRAAMに出たい人間がいるんですが、どうすればいいんですかね」と聞くと「クォリファイするだけ」と言われる。まあ、そうなんだけどさ。Bobbiは来週もロングディスタンスレースに出るんだそうだ。「ユタでやるの。500、まあ570milesだけど、私遅いから」とのこと。サイクリストの「私は遅い」を信じることほど愚かなことはありません・・・。なんだよ570milesのレースって・・・。

それから僕はフロアポンプを借りてパンク修理したばかりのタイヤに空気を入れ、シャワーを浴びてクルマから持ってきていたTシャツ短パンに。礼をして部屋を移る。時間は1時前くらいか。何時に出発するのかと聞かれたので(予定では3時出発だったな)と思い出し、はっきりと「4時過ぎに出ます」と答える。クリスも4時って言ってわ、3時半に起こすわねという話になって僕はベッドに倒れ込んだ。

結局よく眠れるわけもなく、3時半。クリスは準備を終えてうっすら目を開けていた僕に合図をする。やれやれっていう感じで僕も起き上がって、ポポペクジャージに着替えてBobbiの部屋へ。朝飯としてスープを飲んでいるとクリスが「行くよ」と。僕は眠いんで「もう少ししたら行く」と答えると彼は先に出発(彼は6時間以上睡眠をとっている。おかしいな250kmまで一緒だったのに・・・)。入れ替わるようにブルベライダーたちが入ってくる。僕の後ろを走っていたふたりだろう。かなり消耗しているようだ。

彼らは7時まで眠ろうとかいう話をしていたけど、僕は部屋を出て出発の準備。ゴールドラッシュの女性がまだ部屋着のままで外にいた。「霧が酷いから朝方は走りたくないのよね」というようなことを言っている。たしかにそうなんだよね。なんだかRAAMの話になって、最後のセクションまでついていってた相手が増速して「きゃーついてけなーい」みたいになったとのこと。多分、そんな話。

辞してクルマへ荷物を置き(くさいジャージ、その他)静まり返ったベンチュラの町へ。そして海岸沿いを南下しはじめる。午前4時半すぎ。予定通り200kmを12時間なら16時半ごろゴールだろう。

090608BRM アタックビーフラインUSA その一

備忘録。写真はそのうち入れる。というかとりあえずアルバムと平行してみていて。

・当日まで

PCHRの主催ブルベ「CoolBreezeCentury200km」に出走して、さあ次はどうしようかなと。近くでやっているブルベはサンディエゴでの200km。9月の後半。あとは9月の上旬のPCHRの600kmブルベ。600kmはありえないだろーと思って過ごしていた。「CoolBreezeCntury」の結果を見るために、PCHRにアクセスしたところ、600kmブルベの開催告知があがっていた。いわく「回収車完備」「たった4500mの獲得標高」「400km地点でシャワー&ベッド」。

・・・キューシートは当日配布かな・・・。200kmのときは事前にダウンロードしたから頼んでみよう。

「ハイ! サトーです。参加したいけど引っ越したばかりで不安です。事前にキューシートくれませんか?」「オーケー、今週末に試走なんでそのあと確定したら送るよ」・・・「さあ、ランドナーの"みんな"!今週末は600kmライドだよ!反射ベスト、反射アンクレット、ライトとバッテリーを忘れないで!そんなことでDNFとかバカバカしいからね!」「ありがとう。エントリーフィーの支払いは当日でいい?・・・ところでキューシートは」「支払いは当日で全然OK!資料は送るよ!」「了解」「さあ、みんな前日だけど名簿ができたよ!」・・・キューシート・・・。

キューシートはもらえなかったのだけど、GPXデータだけは手に入ったので、日本の皆さんの協力を得てなんとかガーミンに落とし込む。7時くらいにご飯を食べて、睡眠導入剤を飲んで寝る。1時に起きてウェアを着込み・・・出発。

今回のテーマは「ケツを痛くしない」「補給食」のふたつ。ケツを守るために使い切りシャーミークリームを数本を装備。補給は、悩んだけどパワーバーやパワーバージェルなどを装備。パワーバーは食わなかった。ジェルはとりあえず流し込めばいいからなんとかなるねえ。梅おにぎりや日本で食ってたようなコンビニ弁当は手にはいらないだろうなあ。もう一個の懸念はスポーツドリンク。聞いたところによると、こちらではゲータレードがそれにあたるそうだ。ゲータレード懐かしいね。


・Ventura 午前3時
VenturaのBest Western INNへ到着。ここがスタート地点のはずなんだけど、そんな雰囲気は無いなあ。モーテルの駐車場はほとんど埋まっていて、だけど誰も自転車って感じじゃない。というか人なんかいない。

自転車を組み立てたりしてしばらく待っていても・・・ちょっと自転車でうろっとしてみるとモーテルの横の道にサイクリストたちが。歩道の大型バンの脇にいる人にBobbi(主催者)?と聞く。Bobbiはこっち、と車内を指差される。中には赤毛の女性が受付をしていたので名乗る。名乗るつうか「ハーイ!」って僕の名前を先に言われてしまう。ブルベカードを受け取る。ブルベカードは小さなジップロックビニールに入っていて、出走者&スタッフの連絡先リストと鉛筆(なんで?)も入っている。

受付を終え、クルマを移動してスタート地点へ。「出走者10人なのにスタッフは9人もいるよー」「わははー」みたいな雰囲気のままいきなりスタート。2?3人の飛び出した集団に入って深夜の町を抜ける。「僕はクリス、君は?」と声をかけられる。どうも僕ですと答えるとクリスは一緒に走っている他のサイクリストたちを紹介しようとして、急な曲がり角で会話が途切れる。ああ、他のサイクリストの名前がわからん・・・。

暗いサイクリングロードから暗いフリーウェイへ。僕がなんとかついていける速度。4人のグループは、僕、クリス、女性、リカンベントの男性。女性は「Gold rush」という超長距離ブルベのジャージを着ていた。他の二人もどこかのロングライドイベントのジャージっぽい。

フリーウェイを抜けて山へ向かう途中に第一CP。まだ暗い。登って登って中腹を横切る道を通る。ここはCoolBreezeでも走ったところ。だんだん明るくなってくるけど、霧が深い。だいたいこちらでは夜半は冷え込み明け方に霧がでる。霧雨のときも。でも昼過ぎには灼熱がやってくる。もちろんこの日もそうだった。

サンタバーバラの西で山をおり、再びフリーウェイへ。ほとんどドラフトに入ったまま走り続け、このまませめて100km、できれば200km、もし400kmついていけたら”勝ち”だなあ。第二CPへ到着。高速道路のサービスエリアみたいなところにCPが。テーブルの上には大量の水と補給物資があります。すばらしい補給線。でもなんか胃にもたれそうだなあ。ぼりぼりと食ってみる。

リカンベントの人に「PBPに出たのかい?」と聞かれる「いや、友達のジャージなんだ」というとなんか受ける。「クリスはPBP走ってるんだ」って話もしてくれる。少なくともここに1000kmブルベライダーが二人いるってことか。

ボトルに水も補給すると僕の自転車は受付になっていた大型バンにリカンベントと一緒に積み込まれていた。この先に厳しいトンネル(あったかなあ)があるのでフェリーしてもらえるらしい。こんなこともあるのかあ、と思う。まあ参加者が一桁くらいだったらこういうこともできるんだな。もちろんこの距離は走行距離として入ってません。

クリスとゴールドラッシュラッシュジャージの女性は自走で行くとのこと。ここで先頭集団解散・・・残念。


・車内

クルマのフロントウィンドウには「Race Across America」の文字が。でも特にその話はしなかった。Bobbiがここの6%の坂が(下りとして)長過ぎるのよねーという話をする。あとリカンベントの彼とこの600kmがいかにイージーなコースかというような話をしているようだ。しかしみんな年配の方々ばかり。若くて40代かなあ。


・第三CPへ

ここからは幹線道路を外れる。道がとたんに悪く・・・。景色は牧場か茶色い丘陵のみ。だんだん暑くなってくる。いつのまにかすっかり空は晴れ上がっていて、直射日光が激しく肌に射し込む。

登りになるとリカンベントの人は遅れる(遅れてるのかゆっくり走ってるのかわからぬ)ので単独走。よく覚えてないけど第三CPに到着。牧場の脇にぽつんと補給食満載のテーブルが。ヘーイって感じで僕の名前が呼ばれる。参加者はたった10人、しかもほとんどは常連らしくって新入りでかつ日本人の僕はすでに有名人のようだ(w
※そのあとも一方的にスタッフ&参加者から名前を呼ばれて話しかけられまくり・・・。


・第四CPへ

この区間は長かった。だいたい80kmくらいあったろうか。うち50kmくらいアップダウンの続く牧場丘陵なんだけど、これが困ったことに灼熱の上に商店らしきものが全くない。途中、ああ、ここで立ち止まったりしたら干涸びて死ぬかな、とか思う。ほんとにまったく水が入手できない!ダブルボトルでは足りないの?4本積まないと生き残れないの!?

ある長い登りの頂上でアコードが止まっていて僕に呼びかける。スタッフカーだ。氷と水をくれる。助かった・・・。第四CPは郊外のショッピングモール。ここで一気に4名においつかれた。3名はさっきのメンバーで、もうひとりはピンクのジャージを着た小柄な女性。その背中に背負ったバックパックには「Across America by Bike ||||| |||||」と刺繍されている。

「10回もアメリカ横断したんですか?」と聞くと「うん、XXXXX」という感じ。なんかうち8回はどーのこーのという話であった。


・ロスアラモスへ

モールを出てすぐにハイウェイの横を走る。GPS的にはハイウェイそのものを走るはずだったので、他のランドなーがいたおかげで助かった。とはいえ、やがてハイウェイの端っこを走ることに。緩い下りが続く。ここまでアップダウンを繰り返し、随分高いところまで来ていた。ちなみに風は必ず西から東へ吹いている。

リカンベントの彼とゴールドラッシュの彼女はいつのまにかどこかへ行ってしまった。クリスとピンクジャージの女性と走る。基本的にクリスが引く。ハイウェイを折れてロスアラモスへ向けて延々とまっすぐな道。ロスアラモスというから原爆開発のあそこかと思ったが、それは違う州の話だった。でもまあ、ここも同じように荒野っぽい。日本人的には。

たまには引かなきゃ、、、と思って前へでた瞬間、右太ももに違和感が。手で払うがなんか噛まれたか刺されたか。いてえ。まじか。一気に減速。3人列車から遅れていくが、ちょうどロスアラモスの手前だったので、なんとかCPへ入れた。リタイヤする理由になるなーと思ったものの痛くてもペダリングには影響していないようだ。補給と水を得るが、しかしこんな僻地にまで大量の補給物資を輸送しているロジスティクスに戦勝国の強さを感じる。これでは勝てぬ。


・離散

CPで虫さされの薬は無いかと聞くが、無いと言われる。でも次のCPは町なので手に入るだろうとのこと。第三CPから次までは距離が短くって気が楽。

ロスアラモスからしばらく来た道を戻る。西へ進むので向かい風がきつい。クリスが「1mileずつ回していこう」という。クリス、ピンクジャージ、僕で回す。4?5回交代したところでようやっと方向転換。虫さされの痛みはほぼない(とはいえ現在でも大きく赤く腫れ、かゆい)。クリスが左側をさして「キャベツ畑なんだ」という「へー」と応えると「キャベツは好きかい?」とのこと。キャベツに好きも嫌いもないけど「好きだよ」と返しておく。

ここから三人で登り。すでに250kmくらい走っているわりには軽快だなーと思う。もしかして今なら「300km」くらいは気軽に行けてしまえるんじゃないだろうか。距離の壁をまたひとつぶち破ったんではないだろうか?

峠を下り、町へ。ゴールドラッシュの女性とリカンベントに追いつく。このCPはこの町のどこかのブロックの商店のレシートを得る、という一般的な無人CP。店は特定されてないので、僕はクリスたちとコンビニへよる。クリスが「レシートをもらいなよ」と声をかけてくれたが、一回忘れて買い物し直してしまう。

カップヌードルやらを食おうとして、クリスらに「僕はここでディナーだから気にせず先に行って」と告げる。彼らは「いや、俺らもここで食うし、合流もするんだ」とのこと。少し気を使ってくれているところもあるんだろう、と駐車場に座って飯を食う。カップ麺の塩辛さが食欲を増進させる。

サポートカーがやってきてピンクジャージの女性と何やら話す。クリスがやってきて「僕は先に行く、彼女はリタイヤだ。ゆっくりご飯を食べてって」と言う。何が遭ったかわからない。多分、彼女の友人にトラブルがあったのか、そのあたりだろう。いってらっしゃい、と僕は手を振る。

残り150km(400kmまで)、一人旅かな。


・旅の仲間

50kmほどの山岳。山岳と行ってもたいした標高ではないけどおおらかなアップダウンがつづく幹線道路を行く。ひとりになったせいなのかどうかわからないけど、急に速度ダウン。すごい勢いでパワーダウン。3%程度の坂道をのたのたと進む・・・。長い長い時間をかけて登り、ときどき後ろを振り返るけど誰もいない。もしかしたら僕が最後かしらん。でも、ロスアラモスからの折り返しですれ違ったライダーたちがいたな。多分、あの時点で1時間差以上ついているはずだ。

長い下り。こがずとも60km/h程度の速度で5km以上を一気に進めるスペシャルポイントが到来。一気に駆け下りる。そして再び海へ、と思っていると二人組のブルベライダーたちが背後に迫っているのに気づく。「大丈夫かい?」と声をかけられる。「大丈夫」と3人で幹線道路(便宜上フリーウェイとします)にあるパーキングエリアへ。第一CPの向かい側。

「俺はアントニー」と声をかけられる。僕も名乗る。「そのジャージ、PBP出たの?僕らも完走したんだ」・・・ここまで出会った6人のブルベライダーは全員”自転車の鬼神”だな。とりあえずトイレへ行き出てくると、出発しようとしていた彼らカップルはわざわざ止まって待ってくれる。一緒にスタート。「アントニー、ついて行こうと思うんだけど、切れたら見捨てて」というようなことを告げる。「了解、まあ"ライド"だから」と言われる。競争ではないから気楽に、ということか。

新しい旅の仲間も1000kmオーバー軍団であった。できれば600kmチャレンジャーくらいの人と一緒に行きたいのに・・・。しかしまあ、ついていける速度。ひっぱってもらっているから超楽だ。超楽なんだけど、なんだかへんだぞ。ちょっと後輪に体重を乗っけてみる・・・嫌な予感。「あー僕パンクみたいなんで先へいってて」「えー大丈夫?」「大丈夫」ああ、せっかくの列車から脱落・・・。

海岸沿いのフリーウェイ(自転車通行可能なので、厳密にはフリーウェイではないらしい)でタイヤの様子を見る。めんどくせーなー。うーん、でもタイヤがフラットになっているわけではないぞ。なんか大きなものを踏んだ勢いで空気が漏れただけかな。小さいポンプで空気を補充してみると、特に抜けることも無く入る。あるていど固くなったところで再スタート。フリーウェイの脇を走る。ここらへんは鉄道とフリーウェイが並走していて、一回だけアムトラックが走り行くのを見た。このあたりのアムトラックの路線は数少ない人気路線と言う。

変わり映えのしない景色の中、進行方向はすっかり暗くなり、振り返ったときだけわずかに陽の名残が感じられる。やがてそれもなくなった。なくなったところで、背後からカラフルな照明に照らされる。脇に寄せて停車し、ゆっくり振り返ると白バイの警官がこちらへ来て言う。「お前、ここフリーウェイだぜ」「ええー」「どっから来たんだよ?」「ベンチュラです。どうしたらいいですかね」「次の出口で出てくれよ」という流れ。少し説明すると、この海岸沿いのフリーウェイは他に自転車の走れる道がないときだけ自転車の走行を認めるため(だと思う)にフリーウェイ指定が解除されている。さっきまでは並走する道路が無かったので自転車OKだったのだけど、少し人の住むところに入ってきたので並走する他の道へ自転車は出るようになっていたのだろう(そんな標識は気づかなかったけど)。いくらなんでもブルベコースそのものが自転車通行禁止であるとは思えないし。

白バイに後ろを守られながら次のICへ移動。出口手前で故障車がいたので白バイはそちらへ。僕はフリーウェイをでて本来あるべきと思われる道へ移る。距離は少しだけ遠くなっている程度だろう。もうすでにすっかり暗くなっている市街地を走る。そろそろサンタバーバラ・・・と思うけどなかなかそこに至らない。やがて完全に真っ暗な道に引き込まれる。ああ、思い出してきたぞ。ここはCoolBreeze200kmでも走った道。ゴルフ場の脇のはず。真っ暗なまま海岸沿いの崖の上に出ると月が海面に移ってるのが美しく見える。途中のレストラン駐車場の入り口の明かりを利用してGPSの電池を交換して町中へ。


・第五CP

すこし人通りが多くなったな、と思ったところで歩道の犬を連れた男性から「そこのセブンイレブンだぜ!」というような声をかけられる。えーと第五CP到着。老人と言ってもいい男性が一人で待っていた。「僕が最後ですかね?」「いやーまだ後ろに4人はいるよ」計算が合わない「リタイヤした人がいるんじゃないですか?」「いやー知らんねえ」多分、DNFが数名出ていることを知らないんだろう。

このCPはセブンイレブンだけどトイレ無し。10年くらいまえの日本もコンビニでトイレは借りれないところが多かったが、そんな感じ。まずポンプを借りて後輪に空気を詰め込む。それからコーラ(ほんとは暖かいものが飲みたかった)をもらいまたまたテーブル満載の補給食をぽりぽり食う。スタッフの男性がなにか大きめのタブレットを出してくれる。エレキトロニック??みたいなことを言う。多分、電解質の固まりなんだろう。ボトルに入れてくれた。ここから先はCoolBreezeとほとんど同じルートだよ、とのこと。僕、それでたんですよ、けっこう標高差ありましたね、という話をすると、あれは標高差激しかったねえ(注:とはいえ200kmで2500mくらい)、わしは毎年CoolBreezeなんじゃけど、今年はフラットなサンディエゴ200kmにしたよ、とのこと。

トイレに行きたいので残り50km開始。3時間と見積もる。もう八時すぎているので23時過ぎか。予習では24時だったからいいけど、200km地点あたりでは400kmを18時間くらいで行ける気がしてたのになあ。

サンタバーバラのメインストリートを抜ける。人が多いしにぎやかな感じもある。いくつか公衆便所をあたるがすべて施錠済み。はあ、まいったなあ。最後は立ちションかあ。サンタバーバラを抜け、フリーウェイと平行する道へ。やがて「ああ、ここは朝通ったなあ」というところに戻ってきた。新しめのGSを覗き覗き走っていたらトイレが開いていたので小用を済ます。CoolBreeze200kmを思い出しながらルートを辿り続ける。

だんだん人の暮らす気配がなくなってきた。比例して後輪がふわふわしてきた。うーん、やっぱ駄目かあ。だましだましで持ちそうな距離ではないので真っ暗闇の中にぽつんとある明かりに寄せてパンク修理。CO2ボンベを2本無駄に。ミニポンプでなんとか走れる程度まで復活させて再起動。真っ暗闇の中ミスコースをして戻ってきたりなどしながら残り14miles、フリーウェイに入る(合法的に)。

120km/hくらいでクルマがガシガシ走っている脇を通っている訳だけど、怖くはない。麻痺しているのかもしれないけど。フリーウェイを降りて、旧PCHを走るが、あまりに暗くて対向車の明かりに幻惑されっぱなし。数マイルにわたってキャンピングカーが並んでいる道を走り(定住者たちなの?)、サイクリングロードへ。途中、真っ暗闇の中をランニングしている女性をみかける。しかも薮の中に入って出てきた。うーん、日本でもさすがにこの闇の人気の無い道で無防備な女性は危険な感じなんですけど・・・。まあ、別の危険も感じたけど。

今朝は4人で走ったサイクリングロードを今はひとり。ベンチュラの町へ入る。12時前には到着しそうだ。もう深夜といっていい時間だと思うけど、ダウンタウンの中心はなんだか盛り上がっている。楽しそうな若者たちの間を400kmを走ってきたどろどろの男が通る。Best Western Inn Venturaへ到着。しかしCPが見当たらないので主催者に電話。目の前の部屋のドアが開いてBobbiが出迎えてくれた。ちょうど12時のこと。ここまで400km、走行時間20時間。

600km直前対策(gdgd考えてみる)

結局キューシートは送られてこなかった。どうでもいいような情報はいろいろ送られてきたが(w まあ、gpxデータだけ入手できるので、それを皆さんのアドバイスを得て500ポイントごと3分割して60csへ登録。

出発は土曜日午前4時。ということはタイムアップは日曜の午後8時ということか。前回の初600kmは38時間なので、単純にその計算だと午後6時ごろ帰投できる計算。寝ないで(w 

今回の目標を簡単に考えてみる。

まずコースは前半400kmと後半200kmにわける。400kmで一旦スタート地点のモーテルへ戻ってくるから。主催者側でいくつか部屋が押さえてあってシャワーや着替え、仮眠ができるらしい。すばらしい(時間があればね)。今回はここで寝たりシャワー浴びたり着替えたりしたい。

逆算で考えてみよう。
午後3時に戻って来ることを目標にする。すると全体時間は35時間。最後の200kmループを、えーと12時間ということにしましょうか。すると午前3時にスタートか。で残り時間23時間。400kmを20時間で走って24時に到着しても3時間しか休憩できない。シャワー&着替えを考えると睡眠2時間?わーつらいなー。

だいたい400kmを20時間で走れるのか?銚子は20時間半だったけど、獲得標高1000m無かったとかだものなあ。今回は多分2500くらいはありそうなんだよなあ。まあ、けっきょくよくわかんねえな。とりあえず準備はすませてある程度のシミュレーションを済ませたから出たとこ勝負だこりゃ。

でもいっちばんの問題は、朝4時に行くのが面倒くさいのと、帰って来るのが面倒くさい・・・。走り始めちゃえばね、終えるしか生きて帰る術はないんだから気楽なんだよね。

600km予習

いろいろ装備が整ってないし、こちらへ来てまだひと月も経ってない。交通事情も夜どうすればいいのかもわからない。なので出る気はないのだけど、PCHR主催600kmブルベの予習をしてみた。

まあ、こんな感じ総上昇量は約4500m。最高でも標高300ちょっとのはず。そのピークが数回あってあとはゆるやかなアップダウンだろうか。夜間走行が事実上のフリーウェイ上になるはず。雨の峠を夜越えるほうがマシな気がするぞ。

ちなみにスケール的にはこんな感じ。SF、LA間の最短距離は550km程度ということですが、海沿いを走るとすれば600km以上のように見えます。

でもフロントバッグもまだ届いてないので買ってきたし、ライトも光量が不安だけどフロント二灯準備できるし、反射ベストも届いてないけど、こちらのサイクル反射ベストを購入したし、シャモアクリームも無いけどショップブランドのシャモアクリームを手に入れたし(一回使い切りタイプまである)、全然準備が不足しています。

でもまあ、夢見るだけなら自由だよねえ。
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